脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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海への遠征依頼

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冒険者ギルドの掲示板を何気なく眺めていたリディアは、受付の女性に呼び止められた。

「リディアさん、久しぶりに騎士団からの遠征依頼が届いていますよ。」
「えっ、また騎士団?どんな依頼なの?」
リディアが興味津々に聞き返すと、受付の女性は書類を手に微笑んだ。
「今回は遠征先が海なんです。タコやカニの魔物が異常発生していて、その原因を探るのが目的だそうです。」

「海!」
リディアの目が輝いた。今までの冒険では森や山、廃墟が主だったが、海となれば新しい発見があるに違いない。

騎士団本部に向かったリディアは、いつものように熊騎士ことハーゲンと美形騎士のセリルに迎えられた。
「おお、来たか!リディア!」
ハーゲンが豪快に笑いながら手を振ると、セリルは柔らかく微笑みながら資料をリディアに差し出した。
「今回の遠征先は海だ。タコやカニの魔物が異常発生していて、沿岸の村々が困っている。」

リディアは資料に目を通しながら頷いた。
「それで、その原因はわかってるの?」
「まだ特定はできていないけれど、以前の森の異常と似ている。おそらく、どこかに黒いクリスタルがあるのではないかとにらんでいます。」
セリルが真剣な表情で答えると、リディアは少し考え込んだ。

「黒いクリスタル……またあれが絡んでるのかもしれないね。でも、今回は海かぁ。秘密基地の準備もちゃんとしておかないと!」
熊騎士が豪快に笑った。
「おいおい、今回はお前の秘密基地は関係ないだろう?」
「そんなことないよ!ちゃんと準備しておくのがリディア流なんだから!」

遠征計画では、いくつかの小舟に分かれて川を下り、海へと向かうことになっていた。途中の川辺でキャンプを張りながら進む予定だという。
「小舟に乗るのって楽しそう!タフィーちゃんとメリーちゃんも喜びそうだね!」
リディアが目を輝かせると、セリルが苦笑しながら言った。
「まあ、君たちならどんな状況でも楽しむでしょうね。ただ、今回は海での戦闘が予想される。準備はしっかりしてください。」

リディアは真剣な表情で頷きながらも、心の中では早く海に行きたい気持ちでいっぱいだった。波の音や塩の香りを思い浮かべながら、胸を躍らせていた。


秘密基地に戻ったリディアは、ふわふわ毛のメリーちゃんを見ながら意気揚々と宣言した。

「よし!今回は海だからね!可愛い水着とか、絶対に用意しなきゃ!」

そう言うと早速、秘密基地のクローゼットを開けて水着を探し始めた。しかし、ふと気づいて手を止める。
「そっか、私、水着持ってなかったんだ……」

少ししょんぼりしながらも、すぐに笑顔を取り戻したリディアは、
「じゃあ、街で可愛いのを買いに行こう!メリーちゃんもタフィーちゃんも一緒にね!」
とひよこ柄のバッグを肩に掛け、秘密基地を飛び出した。

街の商店街は活気に満ちていた。リディアは水着屋さんで水色のフリルがついた可愛いワンピース型の水着を選び、さらにピンクと白のストライプが入ったビーチボールと、水色のイルカ型の浮きをカゴに入れた。

「これで海に行く準備はバッチリだね!」
リディアは笑顔を輝かせながらレジで支払いを済ませると、隣でふわふわ毛を揺らすメリーちゃんに目を向けた。
「メリーちゃんも海で遊びたいよね?ビーチで可愛い貝殻も集めようよ!」

「メェ!」と力強く鳴くメリーちゃんに、タフィーちゃんもぷるぷると体を震わせて応えた。

秘密基地に戻ると、リディアは購入したアイテムを一つ一つ確認しながら準備を進めた。
「水着よし!浮き輪よし!ビーチボールも忘れずに持ったし……」

その様子を見ていたメリーちゃんは、ふわふわ毛から砂浜で遊べそうなアイテムを次々と取り出し始めた。カラフルなバケツやスコップ、貝殻の形をした型抜きなど、リディアの遊び心をさらに掻き立てるアイテムばかりだった。

「メリーちゃん、すごい!これで浜辺でもいっぱい遊べるね!」
リディアは大喜びでアイテムをひとまとめにすると、ふと遠くを見つめた。

「そういえば、黒いクリスタルを探すんだっけ……でも、まずは可愛い貝殻を見つけてからだよね!」

完全に遊ぶ気満々のリディアを、メリーちゃんとタフィーちゃんはあたたかく見守りながら、次の冒険に胸を弾ませていた。
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