脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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騎士団の勇姿

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お祭り当日。秘密基地のリビングには朝からリディアのはしゃぐ声が響いていた。

「今日はお祭りだよ! 仮装して思いっきり楽しむんだから!」
リディアはお気に入りの変身ステッキを手に取り、胸を張って宣言した。

ステッキを高く振ると、小さな星のような光が弾け、リディアの体を包み込む。その瞬間、彼女の衣装は可愛らしい魔法使い風のものに変わっていた。柔らかなパステルカラーのローブにフリルのついたマント、そしてふわふわの帽子が愛らしい。

「どうかな? 似合う?」
リディアが振り返ると、メリーちゃんが「メェ!」と大きく頷き、タフィーちゃんは「ぷるぷるん!」と跳ねながら彼女を褒めているようだった。

「じゃあ次は二人も仮装しよう!」

メリーちゃんには、リディアが作った天使の羽根と輪っかを装着。ピンクのふわふわ毛に金色の輪っかがぴったりで、まるで本物の天使みたいだ。

タフィーちゃんは小さなマントとシルクハットをつけて、紳士風に変身。マントが弾むたびにキラリと光る飾りが目を引く。

「二人ともすごく似合ってるよ! これならお祭りで注目されちゃうね!」

街に着くと、仮装した人々が溢れかえっていた。ドラゴンの着ぐるみを着た子供たち、貴族風の衣装に身を包んだ大人たち、動物の耳やしっぽをつけた青年たち。それぞれが工夫を凝らした仮装で、お祭りの雰囲気をさらに盛り上げている。

「すごい! みんな楽しそう!」
リディアは目を輝かせながら、仮装した人々を見て回った。

街の通りには、カラフルな屋台が立ち並び、甘い香りや香ばしい匂いが漂っている。焼きたてのパン、彩り豊かなフルーツ、揚げたてのお菓子……どれもが美味しそうで、リディアは目移りしてしまった。

「リディア!」
振り向くと、アラニスが露店の前から手を振っていた。彼女の店には、リディアたちが試作したお菓子が美しく並べられている。

「見て! 魔法のキャンディーもフルーツ飴も大人気よ!」
アラニスが嬉しそうに言うと、リディアも誇らしげに笑った。

「本当だ! 作った甲斐があったね!」

街の中を歩くリディアたちも、仮装を褒められるたびに得意げな顔を見せ、楽しい時間を過ごしていた。お祭りはこれからが本番。どんな出来事が待っているのか、胸が高鳴るばかりだった。

お祭りの賑わいの中、リディアたちは騎士団の演武が行われる広場へ向かった。
広場の中央には大きな特設ステージが設置され、観客が周囲に集まっている。

リディアたちは特等席として用意された一番前の席に案内され、期待に胸を膨らませた。

「どんな演武を見せてくれるのかな? 熊騎士やセリル、きっとカッコいいところを見せてくれるよね!」
リディアはワクワクしながら、舞台の方に目を向けた。

演武が始まると、騎士団の精鋭たちが次々とステージに現れた。彼らは息の合った動きで剣を交えたり、大型の武器を使って迫力ある技を披露したりしている。
その中でもひときわ目を引いたのは、熊騎士ハーゲンの豪快な一撃と、セリルの優雅で精密な剣技だった。

「熊騎士は力強いね! でもセリルの剣技、ほんとに綺麗!」
リディアが拍手を送りながら言うと、メリーちゃんも「メェ!」と大きな声で応えた。タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と跳ねながら、小さな体で剣技の真似をしている。

「ふふ、二人とも楽しそう!」
リディアは笑いながら、再び舞台に目を向けた。

ステージでは、騎士たちが見事な連携で敵を想定した戦闘を再現していた。激しい攻防の中で剣がぶつかり合う音が響き渡り、観客から大きな歓声が上がった。

「さすが騎士団! かっこいいところ、ちゃんと見せてくれたね!」
リディアも満足そうに笑いながら拍手を送った。

演武が終わり、広場には再びお祭りの賑やかな空気が戻った。太陽が沈み始めると、空は美しい夕焼けに染まり、いよいよお祭りのクライマックスが近づいてきた。

「次は魔法の花火だね!」
リディアは期待に胸を膨らませながら夜空を見上げた。

広場の中央には街の魔法使いたちが集まり、それぞれが杖を手にして呪文を唱え始めた。すると、夜空に大きな光の玉が現れ、次々と美しい花火が打ち上がっていく。

大輪の花のように広がる火花、流星のように空を駆ける光、そして最後には空一面を覆う金色の星々。花火は色とりどりの輝きを放ち、観客の歓声と拍手が響き渡る。

「わあ……こんなに綺麗な花火、初めて見た!」
リディアは感動して目を輝かせ、隣に座るメリーちゃんとタフィーちゃんにも声をかけた。

メリーちゃんは「メェ~!」と嬉しそうに鳴き、タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と体を弾ませながら花火を見上げている。

街全体が光と音に包まれる中、リディアは静かに微笑んだ。
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