23 / 23
⭐︎参加型企画⭐︎
しおりを挟む
このたびの連載、最後までお付き合いいただきありがとうございました。皆さんのコメントを拝見しながら、ふと「書き溜めなしで連載してみるのも面白いのでは?」と思い至りました。リアルタイムで進むからこそ生まれる予測不能な展開や、読者の皆さんとのライブ感のあるやり取り――それらを楽しみながら、新しい挑戦として取り組んでみようと思います。
もちろん、途中で思わぬ壁にぶつかることもあるかもしれません。それも含めて、この試みを一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
ルールとしては、みなさんのコメントを参考に次の話を作成していくスタイル。修正は基本的に前回の一話分までとし、軽微なものなら少しさかのぼることも可能。しばらくコメントが集まらない場合は、そのまま物語を進めていきます。
どんな物語が生まれるのか、自分でも楽しみです。ぜひ、これからも一緒に盛り上げてください!
とりあえず冒頭を用意しました。今のところコメディに全振りした展開になりそうな予感ですが、シリアスな設定に変えてみるのも面白いかもしれません。
「もっとこうしたほうがいいかも」「別の方向性も見てみたい」など、ご意見があればぜひ聞かせてください!
まずは冒頭案をご覧ください。
※※※
「これにて婚約は破棄させていただく!」
広間に響き渡る声とともに、貴族の青年が鼻を鳴らして腕を組んだ。彼の名はレオン・ハリフォード侯爵家の嫡男。金髪碧眼の整った容姿を持ちながら、歪んだ笑みを浮かべている。
「理由は言うまでもないだろう。お前のその醜い姿、見ているだけでうんざりする。貴族の婚約者として相応しくない」
広間の空気が凍りついた。招かれた貴族たちが一様に息をのむ。だが、宣告を受けた本人――クラリッサ・ウォルターズは、呆れたようにため息をついた。
「それで?」
「……は?」
レオンが眉をひそめる。周囲もざわめいた。普通なら泣き崩れるか、せめて取り乱すところだろう。しかし、クラリッサは微動だにしない。どころか、少しむくれたような顔で彼を見上げた。
「理由はそれだけなの?私、ちょっとぽっちゃりしてるくらいなのに、失礼じゃない?」
場が静まり返る。次の瞬間、口元を押さえながら吹き出したのは、クラリッサの友人であるミレーユだった。
「ちょっと……? いやいや、クラリィ、椅子壊したの昨日だけでも二回でしょ?」
「……あれは椅子の作りが悪かったのよ!」
「普通の人はそんなに壊さないんだけどねえ……」
ミレーユは苦笑しながら肩をすくめる。その様子に、クラリッサは頬を膨らませた。
「とにかく、私はちょっとぽっちゃりしてるだけよ。これくらいで婚約破棄なんて、むしろ願ったりじゃない?」
レオンは何か言いかけたが、クラリッサのあまりの余裕ぶりに言葉を失っていた。そして、そのままバツが悪そうにそそくさと立ち去る。涙目になっているように見えるのは、気のせいだろうか。
「……思ったよりあっさりね」
「まあ、レオン様には見る目がなかったってことよ。さ、甘いものでも食べに行きましょ!」
「……だから痩せないのよ」
ミレーユの呆れ顔をよそに、クラリッサは軽やかに歩き出した。
翌日。学園の中央広場には陽光が降り注ぎ、華やかな装いの貴族の子女たちが談笑していた。その中心にいるのはレオンだった。腕には派手な赤いドレスを纏った美女がまとわりついている。
「おや、クラリッサじゃないか」
彼はクラリッサを見つけると、薄く笑いながら声をかけた。その声には明らかに嘲るような響きが混じっている。
「いやあ、自由になった気分だよ。見るだけでうんざりするものが目の前にないっていうのは、実に爽快だな」
美女がくすくすと笑い、レオンの腕にさらに寄り添う。周囲の生徒たちも興味深げに二人のやりとりを見守っている。
だが、クラリッサはというと、レオンの言葉など耳に入っていなかった。
「へえ……今日の新メニューは『チーズたっぷりベーコンパイ』か……」
彼女の視線は、学園の食堂前に掲げられた黒板に釘付けになっていた。目を輝かせながら口元を押さえ、じっとその文字を眺めている。
「クラリッサ?」
レオンが苛立たしげに声をかけるが、彼女はまるで聞いていない。
「ミレーユ! 早く行かないと売り切れちゃうかも!」
「……いや、今、レオン様に絡まれてるんだけど?」
「そんなことより、パイよ! ベーコンとチーズよ!」
「……本当に幸せそうね、あんた」
ミレーユはため息をつきながら、クラリッサを追いかけた。レオンは顔を真っ赤にしながら、食堂へ走っていく彼女たちの背中を呆然と見送るしかなかった。
それから数日後。
レオンはリディアとともに観劇に出かけていた。華やかな劇場、周囲には社交界の名士たちが集まり、リディアはそんな場にふさわしく優雅に微笑んでいた。
しかし、舞台が始まると、レオンは無意識に隣を見た。そして口を開きかける。
「なあ、クラリ……」
言いかけて、慌てて口をつぐんだ。そこにいるのはクラリッサではなく、リディアだ。
「レオン様?」
リディアが怪訝そうに彼を見上げる。レオンは咳払いして誤魔化し、「いや、なんでもない」と視線を前に戻した。
(……そういえば、俺、いつもクラリッサと観劇に来てたっけな)
舞台の感想をぽつりと漏らせば、「へえ、そうなの?」と適当に流しながらも、クラリッサはちゃんと聞いていた。彼女のその反応が心地よかったのだと、今さらながら気づく。
リディアは熱心に舞台を見ている。感動したように手を胸に当て、時折ため息を漏らしていた。そんな彼女を見ながら、レオンはなんとも言えない違和感を抱く。
(……なんでだろう。俺いま、別に楽しくない?)
だが、そんな気持ちを自覚するのは、まだ少し先のことだった。
もちろん、途中で思わぬ壁にぶつかることもあるかもしれません。それも含めて、この試みを一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
ルールとしては、みなさんのコメントを参考に次の話を作成していくスタイル。修正は基本的に前回の一話分までとし、軽微なものなら少しさかのぼることも可能。しばらくコメントが集まらない場合は、そのまま物語を進めていきます。
どんな物語が生まれるのか、自分でも楽しみです。ぜひ、これからも一緒に盛り上げてください!
とりあえず冒頭を用意しました。今のところコメディに全振りした展開になりそうな予感ですが、シリアスな設定に変えてみるのも面白いかもしれません。
「もっとこうしたほうがいいかも」「別の方向性も見てみたい」など、ご意見があればぜひ聞かせてください!
まずは冒頭案をご覧ください。
※※※
「これにて婚約は破棄させていただく!」
広間に響き渡る声とともに、貴族の青年が鼻を鳴らして腕を組んだ。彼の名はレオン・ハリフォード侯爵家の嫡男。金髪碧眼の整った容姿を持ちながら、歪んだ笑みを浮かべている。
「理由は言うまでもないだろう。お前のその醜い姿、見ているだけでうんざりする。貴族の婚約者として相応しくない」
広間の空気が凍りついた。招かれた貴族たちが一様に息をのむ。だが、宣告を受けた本人――クラリッサ・ウォルターズは、呆れたようにため息をついた。
「それで?」
「……は?」
レオンが眉をひそめる。周囲もざわめいた。普通なら泣き崩れるか、せめて取り乱すところだろう。しかし、クラリッサは微動だにしない。どころか、少しむくれたような顔で彼を見上げた。
「理由はそれだけなの?私、ちょっとぽっちゃりしてるくらいなのに、失礼じゃない?」
場が静まり返る。次の瞬間、口元を押さえながら吹き出したのは、クラリッサの友人であるミレーユだった。
「ちょっと……? いやいや、クラリィ、椅子壊したの昨日だけでも二回でしょ?」
「……あれは椅子の作りが悪かったのよ!」
「普通の人はそんなに壊さないんだけどねえ……」
ミレーユは苦笑しながら肩をすくめる。その様子に、クラリッサは頬を膨らませた。
「とにかく、私はちょっとぽっちゃりしてるだけよ。これくらいで婚約破棄なんて、むしろ願ったりじゃない?」
レオンは何か言いかけたが、クラリッサのあまりの余裕ぶりに言葉を失っていた。そして、そのままバツが悪そうにそそくさと立ち去る。涙目になっているように見えるのは、気のせいだろうか。
「……思ったよりあっさりね」
「まあ、レオン様には見る目がなかったってことよ。さ、甘いものでも食べに行きましょ!」
「……だから痩せないのよ」
ミレーユの呆れ顔をよそに、クラリッサは軽やかに歩き出した。
翌日。学園の中央広場には陽光が降り注ぎ、華やかな装いの貴族の子女たちが談笑していた。その中心にいるのはレオンだった。腕には派手な赤いドレスを纏った美女がまとわりついている。
「おや、クラリッサじゃないか」
彼はクラリッサを見つけると、薄く笑いながら声をかけた。その声には明らかに嘲るような響きが混じっている。
「いやあ、自由になった気分だよ。見るだけでうんざりするものが目の前にないっていうのは、実に爽快だな」
美女がくすくすと笑い、レオンの腕にさらに寄り添う。周囲の生徒たちも興味深げに二人のやりとりを見守っている。
だが、クラリッサはというと、レオンの言葉など耳に入っていなかった。
「へえ……今日の新メニューは『チーズたっぷりベーコンパイ』か……」
彼女の視線は、学園の食堂前に掲げられた黒板に釘付けになっていた。目を輝かせながら口元を押さえ、じっとその文字を眺めている。
「クラリッサ?」
レオンが苛立たしげに声をかけるが、彼女はまるで聞いていない。
「ミレーユ! 早く行かないと売り切れちゃうかも!」
「……いや、今、レオン様に絡まれてるんだけど?」
「そんなことより、パイよ! ベーコンとチーズよ!」
「……本当に幸せそうね、あんた」
ミレーユはため息をつきながら、クラリッサを追いかけた。レオンは顔を真っ赤にしながら、食堂へ走っていく彼女たちの背中を呆然と見送るしかなかった。
それから数日後。
レオンはリディアとともに観劇に出かけていた。華やかな劇場、周囲には社交界の名士たちが集まり、リディアはそんな場にふさわしく優雅に微笑んでいた。
しかし、舞台が始まると、レオンは無意識に隣を見た。そして口を開きかける。
「なあ、クラリ……」
言いかけて、慌てて口をつぐんだ。そこにいるのはクラリッサではなく、リディアだ。
「レオン様?」
リディアが怪訝そうに彼を見上げる。レオンは咳払いして誤魔化し、「いや、なんでもない」と視線を前に戻した。
(……そういえば、俺、いつもクラリッサと観劇に来てたっけな)
舞台の感想をぽつりと漏らせば、「へえ、そうなの?」と適当に流しながらも、クラリッサはちゃんと聞いていた。彼女のその反応が心地よかったのだと、今さらながら気づく。
リディアは熱心に舞台を見ている。感動したように手を胸に当て、時折ため息を漏らしていた。そんな彼女を見ながら、レオンはなんとも言えない違和感を抱く。
(……なんでだろう。俺いま、別に楽しくない?)
だが、そんな気持ちを自覚するのは、まだ少し先のことだった。
571
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
天然と言えば何でも許されると思っていませんか
今川幸乃
恋愛
ソフィアの婚約者、アルバートはクラスの天然女子セラフィナのことばかり気にしている。
アルバートはいつも転んだセラフィナを助けたり宿題を忘れたら見せてあげたりとセラフィナのために行動していた。
ソフィアがそれとなくやめて欲しいと言っても、「困っているクラスメイトを助けるのは当然だ」と言って聞かず、挙句「そんなことを言うなんてがっかりだ」などと言い出す。
あまり言い過ぎると自分が悪女のようになってしまうと思ったソフィアはずっともやもやを抱えていたが、同じくクラスメイトのマクシミリアンという男子が相談に乗ってくれる。
そんな時、ソフィアはたまたまセラフィナの天然が擬態であることを発見してしまい、マクシミリアンとともにそれを指摘するが……
二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。
【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる