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朝の静けさを破るように、マンションの館内アナウンスが響いた。
「えー、聞こえますか? どなたか応答してください! 管理人室からの連絡です!」
俺は一瞬、何が起こったのか分からず、スマホを握りしめたまま固まった。
「……何だ?」
斉藤が眉をひそめ、周囲を見渡す。
「ちょっと待て、なんかヤバい雰囲気じゃね?」
安田も寝袋から飛び起き、耳を澄ませた。
「重要な連絡です! オートロック内で感染者が出ました! くり返します! マンション内部で感染者が確認されました!」
スピーカーから響く声は、焦りと恐怖に満ちていた。
「……嘘だろ」
俺は立ち上がり、窓の外を確認する。マンションのエントランス付近には数人の住人が集まっていた。顔を見合わせ、動揺しているのが遠目にも分かる。
「内部で感染者……?」
高橋が重い口を開いた。
「ってことは、もう安全じゃねえってことか?」
「くそ……」
安田が頭を抱え、スマホを取り出した。
「このマンション、オートロック付きだから安心だと思ってたのに……」
「どこで感染者が出たのか分からないな」
俺は館内アナウンスに耳を傾けながら、スマホでマンションの住人向け掲示板をチェックした。すでに住人たちが混乱している様子が投稿されている。
「上の階で悲鳴が聞こえた」
「さっきまで普通だった人が突然暴れ出したらしい」
「管理人室もパニックになってるっぽい」
「上の階……」
「まずいな。このまま感染が広がれば、ここも安全じゃなくなる」
斉藤の冷静な声が、部屋の緊張を高めた。
「どうする?」
「とりあえず、俺たちは部屋から出ない。玄関の補強を強化する」
「水と食料の備蓄はあるし、すぐに動く必要はないな」
「ただ、問題は……」
「このままじゃ、いずれここにも感染者が来るかもしれないってことだな」
俺はベランダから外の様子を見ながら、歯を食いしばった。
「マンションの住人の皆さん、冷静に行動してください。感染者が確認されましたが、各自部屋に留まり、安全を確保してください。外に出ないようにお願いします」
館内アナウンスが繰り返し流れる。声の調子は努めて落ち着いていたが、動揺が隠しきれていなかった。
「……これ、もう籠城しろってことだよな」
安田がスマホを握りしめながら呟く。
「つまり、他の部屋に助けを求めるなってことか」
斉藤が冷静に分析する。
「中で感染が広がってるのに、下手に移動したら危険だからな。下手すると、誰が感染してるか分からなくなる」
「でも、このまま待ってても……」
高橋が短く言葉を切る。
「ここも安全じゃなくなるかもしれない」
誰もがその可能性を理解していた。
俺は視線を部屋の隅へ向ける。
そこには、ホームセンターで買い揃えた武器が置かれていた。
「とりあえず、こいつを準備しておくか」
俺は壁に立てかけていた刺股を手に取った。
「まさか本当に使う日が来るとはな……」
安田が苦笑しながら、金属バットを手にする。
「日本じゃ銃なんて持てないからな。こういうのが最善だろう」
「刺股は相手を抑え込むのに向いてるが、これで完全に止められるわけじゃない」
斉藤がバールを手に取りながら言った。
「だが、距離を取れるのは大きい。素手よりははるかにマシだ」
「確かにな」
高橋は黙って、工具セットを開けると、ハンマーを手にした。
「俺はこれでいい」
「お前、それでゾンビの頭割る気か?」
安田が半分冗談めかして言うと、高橋はわずかに肩をすくめる。
「やるしかないときは、やる」
「……だな」
俺は刺股をしっかりと握り直しながら、仲間たちを見渡した。
安田は、俺たちの中で一番軽いノリの男だ。だが、ネットの情報収集には長けている。すでに掲示板をチェックし、今後の動向を探っているようだった。
斉藤は冷静で、状況を論理的に分析するタイプ。こういう非常時には貴重な存在だ。今もマンションの状況を整理し、どんな選択肢があるかを考えている。
高橋は寡黙だが、実務的な思考をする。戦いになれば、ためらわずに動く男だろう。
そして、俺自身──三浦拓真。普通の会社員だった俺が、今こうして武器を握り、マンションの一室で籠城している。この異常な状況に、まだ現実味が湧いてこない。
だが、もう元の日常には戻れないことも、分かっていた。
「……とにかく、今は様子を見よう。動くのはまだ早い」
俺の言葉に、全員が無言で頷いた。
外の世界が変わり果てた今、俺たちがどこまで生き延びられるか。
その答えは、まだ分からなかった。
「えー、聞こえますか? どなたか応答してください! 管理人室からの連絡です!」
俺は一瞬、何が起こったのか分からず、スマホを握りしめたまま固まった。
「……何だ?」
斉藤が眉をひそめ、周囲を見渡す。
「ちょっと待て、なんかヤバい雰囲気じゃね?」
安田も寝袋から飛び起き、耳を澄ませた。
「重要な連絡です! オートロック内で感染者が出ました! くり返します! マンション内部で感染者が確認されました!」
スピーカーから響く声は、焦りと恐怖に満ちていた。
「……嘘だろ」
俺は立ち上がり、窓の外を確認する。マンションのエントランス付近には数人の住人が集まっていた。顔を見合わせ、動揺しているのが遠目にも分かる。
「内部で感染者……?」
高橋が重い口を開いた。
「ってことは、もう安全じゃねえってことか?」
「くそ……」
安田が頭を抱え、スマホを取り出した。
「このマンション、オートロック付きだから安心だと思ってたのに……」
「どこで感染者が出たのか分からないな」
俺は館内アナウンスに耳を傾けながら、スマホでマンションの住人向け掲示板をチェックした。すでに住人たちが混乱している様子が投稿されている。
「上の階で悲鳴が聞こえた」
「さっきまで普通だった人が突然暴れ出したらしい」
「管理人室もパニックになってるっぽい」
「上の階……」
「まずいな。このまま感染が広がれば、ここも安全じゃなくなる」
斉藤の冷静な声が、部屋の緊張を高めた。
「どうする?」
「とりあえず、俺たちは部屋から出ない。玄関の補強を強化する」
「水と食料の備蓄はあるし、すぐに動く必要はないな」
「ただ、問題は……」
「このままじゃ、いずれここにも感染者が来るかもしれないってことだな」
俺はベランダから外の様子を見ながら、歯を食いしばった。
「マンションの住人の皆さん、冷静に行動してください。感染者が確認されましたが、各自部屋に留まり、安全を確保してください。外に出ないようにお願いします」
館内アナウンスが繰り返し流れる。声の調子は努めて落ち着いていたが、動揺が隠しきれていなかった。
「……これ、もう籠城しろってことだよな」
安田がスマホを握りしめながら呟く。
「つまり、他の部屋に助けを求めるなってことか」
斉藤が冷静に分析する。
「中で感染が広がってるのに、下手に移動したら危険だからな。下手すると、誰が感染してるか分からなくなる」
「でも、このまま待ってても……」
高橋が短く言葉を切る。
「ここも安全じゃなくなるかもしれない」
誰もがその可能性を理解していた。
俺は視線を部屋の隅へ向ける。
そこには、ホームセンターで買い揃えた武器が置かれていた。
「とりあえず、こいつを準備しておくか」
俺は壁に立てかけていた刺股を手に取った。
「まさか本当に使う日が来るとはな……」
安田が苦笑しながら、金属バットを手にする。
「日本じゃ銃なんて持てないからな。こういうのが最善だろう」
「刺股は相手を抑え込むのに向いてるが、これで完全に止められるわけじゃない」
斉藤がバールを手に取りながら言った。
「だが、距離を取れるのは大きい。素手よりははるかにマシだ」
「確かにな」
高橋は黙って、工具セットを開けると、ハンマーを手にした。
「俺はこれでいい」
「お前、それでゾンビの頭割る気か?」
安田が半分冗談めかして言うと、高橋はわずかに肩をすくめる。
「やるしかないときは、やる」
「……だな」
俺は刺股をしっかりと握り直しながら、仲間たちを見渡した。
安田は、俺たちの中で一番軽いノリの男だ。だが、ネットの情報収集には長けている。すでに掲示板をチェックし、今後の動向を探っているようだった。
斉藤は冷静で、状況を論理的に分析するタイプ。こういう非常時には貴重な存在だ。今もマンションの状況を整理し、どんな選択肢があるかを考えている。
高橋は寡黙だが、実務的な思考をする。戦いになれば、ためらわずに動く男だろう。
そして、俺自身──三浦拓真。普通の会社員だった俺が、今こうして武器を握り、マンションの一室で籠城している。この異常な状況に、まだ現実味が湧いてこない。
だが、もう元の日常には戻れないことも、分かっていた。
「……とにかく、今は様子を見よう。動くのはまだ早い」
俺の言葉に、全員が無言で頷いた。
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その答えは、まだ分からなかった。
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