FREEDOM〜自由の世界へ〜

第二十章 旅立ち

１

「本当に……行ってしまうんだね？」


ロバートは寂しそうな様子でカイルに尋ねました。


 「はい。やっぱり、あいつ……ジョセフィーヌは、ここでゴーストとして仮初めの幸せの中にいてはいけない。あいつが本当に想う人……ウィリアムと再会して、本当の幸せを掴むべきなんだ」

 「でも、君は本当は、ジョセフィーヌのことを……」


ロバートがそう言うと、カイルは少し赤くなりました。


 「はい……。でも、俺がどれだけ想っていても、あいつの中にはウィリアムしかいない。
 俺は、あいつのことが好きだから……
あいつのことを大事に想っているから、あいつには本当の幸せを掴んで欲しいんだ」


すると、ロバートはにっこりと微笑みました。


 「カイル。君……すごくいい顔をしてるよ」

 「えっ？」

 「ここで、初めて会った時とは比べ物にならないくらい。初めて会った時の君は、全てを失って、孤独に震えていて……でも、今の君は、自信に満ち溢れている」

 「えっ、そんな……」


カイルは照れてさらに赤くなりました。



 「今の君になら……ジョセフィーヌも安心して預けることができる。
カイル……君の強さと優しさ、それにポセイドンにも命を助けられたほどの純粋さ……私は、信じているよ」

 「はい！」


カイルはロバートを真っ直ぐ見つめました。


 「俺は……絶対にジョセフィーヌを不幸にしたりなんてしません。そして、俺も……もういなくなろうなんて思ったりしません。
だって、俺がいなくなったりしたらジョセフィーヌは悲しむから……
俺はジョセフィーヌの近くで彼女の幸せを見守り続けます」


カイルの青く澄んだ瞳には、赤い決意の炎が燃えていました。