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「我が娘に、随分と好き勝手言ってくれたみたいじゃないか。え? ヴァルトベルク伯爵。修道院送りにして、二度と再婚できないようにするそうじゃないか」
「いえ、それは単なる言葉のあやで……」
「証拠もなくイザベラを殺人未遂犯に仕立て上げたのも、言葉のあやだと?」
初老の公爵様は、眉間に皺を寄せて旦那様を問い詰めました。旦那様は青い顔をして何か弁明をしようとしますが、言い返すことができずに口をつぐみました。
やつれてしまったイザベラさんの表情が少し和らいだのとは対照的に、アイリーンさんの顔には焦りが見られます。
公爵様と旦那様のやり取りを見るに、結局離縁は避けられなさそうなのですが、彼女に何か不都合なことでもあるのでしょうか。旦那様が予定よりも多額の見舞金を支払うことになることは確かでしょうけど。
その後、公爵様はイザベラさんを連れて伯爵家を出て行きました。ゾフィーさんとマリアさんは自室へと帰って行きましたが、実家に連絡を入れ次第すぐに実家に帰るそうです。
さて、私はどうしたものでしょう。実家は海の向こうですからすぐに帰ることもできません。
騒がしくなった居間にぼーっと立ち尽くしている私を見かねてか、それまで静観していた王弟殿下が私に声を掛けられました。
「ここでは落ち着かないだろう。私の屋敷で今回の経緯を説明しようと思うんだが、構わないか?」
私もそれは気になるところであったので、伯爵邸前につけてあった豪華な馬車に乗って殿下の対面側に座ります。
「すまない。先に一つ謝っておく。貴女の仕事道具を私の屋敷に一旦保管させてもらうことにした。なにぶん、伯爵の屋敷に置かれたままではどうなることかわからなかったからね」
「殿下が謝られるようなことではありません。大切な仕事道具を守ってくださってありがとうございます」
一番の懸念は人形作りに必要な道具のことだったので、安全な場所に保管されるならそれ以上はありません。
「第五夫人以外の夫人は、実家に戻って静養するそうだ。貴女は外国の王族だし、その、色々と大変だろう。それでも意向を聞いておきたい」
私の祖国は存亡の危機にあります。歴史は長いのですが、延々と敗戦を繰り返して国土は縮小するばかり。
政略結婚という名目ではありましたが、伯爵とはいえ第三夫人として嫁いだのは事実上の亡命だったからなのです。
「祖国に離縁した旨の文を送ってどうするか決めたいと思います。私はできればこの地に留まりたいのですが……お得意様もいらっしゃいますから」
こればかりは、私の一存ではどうにもなりません。祖国に文書を送ってその後帰郷するか、再婚するかお伺いを立てることは間違いありませんが、それまで私の行き場がないことが問題です。
すると、私の不安を感じ取ったのか、殿下は信じられないようなことを仰いました。
「もし、貴女が嫌でなければ……の話だが、私の屋敷に滞在するのはどうだろうか」
「いえ、それは単なる言葉のあやで……」
「証拠もなくイザベラを殺人未遂犯に仕立て上げたのも、言葉のあやだと?」
初老の公爵様は、眉間に皺を寄せて旦那様を問い詰めました。旦那様は青い顔をして何か弁明をしようとしますが、言い返すことができずに口をつぐみました。
やつれてしまったイザベラさんの表情が少し和らいだのとは対照的に、アイリーンさんの顔には焦りが見られます。
公爵様と旦那様のやり取りを見るに、結局離縁は避けられなさそうなのですが、彼女に何か不都合なことでもあるのでしょうか。旦那様が予定よりも多額の見舞金を支払うことになることは確かでしょうけど。
その後、公爵様はイザベラさんを連れて伯爵家を出て行きました。ゾフィーさんとマリアさんは自室へと帰って行きましたが、実家に連絡を入れ次第すぐに実家に帰るそうです。
さて、私はどうしたものでしょう。実家は海の向こうですからすぐに帰ることもできません。
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「ここでは落ち着かないだろう。私の屋敷で今回の経緯を説明しようと思うんだが、構わないか?」
私もそれは気になるところであったので、伯爵邸前につけてあった豪華な馬車に乗って殿下の対面側に座ります。
「すまない。先に一つ謝っておく。貴女の仕事道具を私の屋敷に一旦保管させてもらうことにした。なにぶん、伯爵の屋敷に置かれたままではどうなることかわからなかったからね」
「殿下が謝られるようなことではありません。大切な仕事道具を守ってくださってありがとうございます」
一番の懸念は人形作りに必要な道具のことだったので、安全な場所に保管されるならそれ以上はありません。
「第五夫人以外の夫人は、実家に戻って静養するそうだ。貴女は外国の王族だし、その、色々と大変だろう。それでも意向を聞いておきたい」
私の祖国は存亡の危機にあります。歴史は長いのですが、延々と敗戦を繰り返して国土は縮小するばかり。
政略結婚という名目ではありましたが、伯爵とはいえ第三夫人として嫁いだのは事実上の亡命だったからなのです。
「祖国に離縁した旨の文を送ってどうするか決めたいと思います。私はできればこの地に留まりたいのですが……お得意様もいらっしゃいますから」
こればかりは、私の一存ではどうにもなりません。祖国に文書を送ってその後帰郷するか、再婚するかお伺いを立てることは間違いありませんが、それまで私の行き場がないことが問題です。
すると、私の不安を感じ取ったのか、殿下は信じられないようなことを仰いました。
「もし、貴女が嫌でなければ……の話だが、私の屋敷に滞在するのはどうだろうか」
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