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水無月景の場合
しおりを挟む……放課後。
学生にとって、それは様々な出来事を、様々な意味を持つ言葉だろう。
部活動に励み……。
図書室でテスト勉強に追われ。
帰り道で、友人たちと寄り道をしたり。
教室で、大切な人と過ごす時間。
私は、誰もいない屋上で夕日に照らされながら一人でいることが好きだった。
オレンジ色に照らされたその場所で、ギターを握りながら一人歌を歌う。
自慢じゃないけど、そこそこ上手いとは思っている。
学校の帰り道に制服から着替えて、既に陽が落ちた街のライトに照らされる中、路上で歌を歌うことが好きだった。
駅前だからかもしれないけど、それなりにギャラリーもいる。
でも、本当はそんなものは私のちっぽけな自己満足を満たすことに過ぎない。
ただ、私は何かに夢中になっていたかった。
家にいたくなかった。
学校を思い出したくなかった。
ただ、好きなことをしていたかった。
……誰もいない家も、友達のいない学校も、私にとっては退屈だったから。
でも、そんな私もある日を境に……変わっていった。
「なんか飲む?」
「じゃあ、私は……」
「コカ・コーラでしょ?」
「さすが私……話が早い」
真っ暗な夜の中、薄暗く輝く自動販売機の前で、ギターを背負いながら会話する私達。
その影はまったく同じで……振り返った私の前にいる彼女は、私と同じ顔をしている。
ある日っていうのは、私……水無月景(みなづき・ひろ)が二人になってしまった日から……。
「私」は『私』と恋をする。
episode 2 水無月景
「「ただいま」」
暗く静まり返った家にと私達は声を揃えて帰ってくる。
私の家に人がいる気配はない……夫婦は別居、父親は単身赴任。
私の幼いころから、喧嘩ばかりしていた親に、いい思い出などある筈がなかった……。私は、自分のことを本当に想ってくれる人がいない環境の中で育ち、学校と言う場所では、周りの表面上の付き合いに疲れてしまっていた。私は前髪を長くして、髪の毛は、黒髪で耳にかかる程度……。一般的な高校生の身長と体重だと私は自負をしている。ただ、胸はそこまで大きくないのがたまに傷か。そんな私達が家にと返ってきて、部屋にと電気をつける。私達は、ギターを並べて置き服を着替える。ベットにと座った私達は、ベットの前にとあるカレンダーにと目をやる。
「もう、一ヶ月になるんだな……私が二人になって」
「ホント……月日が経つのはやい。後……」
「慣れるのが怖いって?」
隣にいる私が答える前に私が答えてやる。隣に座っている私が私を見て、頷きながら笑って答える。
今でこそ、こうして二人で並んで歌を歌ったりしているけど、最初は喧嘩ばかりしていた。
二人になってしまった私達……、始まりは本当に突然だった。何の前触れもない……朝、目を覚ましたら二人になっていた。寝ぐせのついている髪をした、目の前の私は、身を起して私を見ている。最初は、その状況を理解できずに、ぼーっとしている目の前の私を私達は鏡でも見ているんじゃないかと思ってしまっていた。いきなり自分自身を見せられればそうなるだろう。私は、こんなところに鏡なんかあったかなと思いながら、手を伸ばす。手は交錯し、私達は私達の身体にと触れる。
「「……」」
鏡ではありえない、柔らかい肌の感触。
「「うわあああああああああっ!!!!!!!」」
悲鳴が部屋の中で響きわたる。
幸か不幸か、防音体勢になっている私達のマンションのおかげで、この悲鳴は外には漏れなかった。もし漏れていれば警察に通報されていたことだろう。私達は、そのままベットから転げ落ちていた。あまりの衝撃だったが、頭をうったおかげで少し冷静になれた。私達は身を起してベットを盾にしながら、お互いを見る。その髪型にいつみる顔に私と同じリアクション……。
「あ……あんた誰?」
「あんたこそ誰よ?」
「「私は、水無月景」」
同じ答えに私達は、ますます頭を痛ませる。
私達はベットの上にと上がりながら、興奮した表情で相手を……同じ顔をした私の顔を睨みつける。
「「私が本物の水無月景だ!!」」
「「ぐぐぐぐっ……」」
「私の体重、身長いってみろ!」
「155センチ、体重は43キロ!スリーサイズいってみろ!」
「上から79、54、79だ!!」
「「うううっ……せ、正解だ」」
私達は自分しか知らないことをいってやるものの、そのすべてを答えられてしまうことに、相手を本物と認めざるを得なかった。同じ記憶に同じ性格を持ってしまっている以上、偽物と私自身は判断できないわけだ。私達は、言い合いに疲れて、ベットの上で背中わせになりながら互いに寄りかかっている。
「本当に、あんた……私なのか……」
「どうやら、本当に私は二人になってしまったみたいだね」
「自分がこんな面倒な奴だとは知らなかった」
「その言葉そっくりそのままお返しする」
「どうすんのさ……これから」
私達は、互いに体重をかけ合いながら、顔だけを相手の肩にと乗せて、お互いを見る。
「まあ、家に親がいないのが不幸中の幸いか……」
「後は、学校を交互に行くようにするしかないかな、残った一人は家事全般を行うってことで」
お互い、同じことを考えているらしく話が早い。
そこで、私達は背中わせからお互いの方にと身体を向ける。
「えー、でも私ギター弾きたいし、歌うたいたし」
「そりゃー私だってそうだよ。あ、でも!!」
「そうそう、別に外だったら私が二人いても問題ないでしょ?」
「双子姉妹ってことで話通せばいい訳だしね」
そこから……私と私の奇妙な共同生活が始まったのだ。
片方が学校に行くときは、片方が家で留守番をする。
時間になったら、携帯電話で、家に電話をして待ち合わせをして合流をする。
学校帰りと言うこともあって、制服姿の景と、帽子を被りながら顔を隠してやってくる景。
そんなまるで芸能人いや、どちらかというと不審者のような格好の自分の姿に思わず笑ってしまう景。
「ぷっ……」
「イラ……」
苛立った私の肘が、私の脇腹にと入る。思わず隣で悶絶するもう一人の私。
私は、そんな私を放って進んで歩きながら、振り返る。
「いたたたた……」
「ったく、滅茶苦茶退屈だったんだから……まあ、ギターの練習はできたけど」
「悪かったって、明日はそんな気持ちを私がするんだからさ」
私達は、そういって夜も更けた駅前のダブルデッキとなっている既に閉っているデパートを背にしながらギターを置く。
制服姿だった私も、不審者(?)姿だったもう一人の私も、着替えて私服姿になっている。
こうして歩いている姿だけ見れば完全に双子の姉妹だろう。
「なんか、普通に此処まで一緒に来ちゃったけど……一緒に歌うってこと?」
「それはこっちの台詞なんだけど……まあ、別にいいけどさ」
私達はギターの紐を肩にとかけてそこで歌い出す。
「「♪~~~~~♪~~~~~♪」」
私たちの歌声に、終電を急ぐ会社員や、飲み終えたフリーター達が通り過ぎていく。
私達にとってみれば、隣に誰かがいて歌を歌うなんて言うのは、初めてのことで。でも、それは私自身なんだけれど。私達は、気持ちよく歌おうとしているのだけれど、隣から聞こえてくる声に気持ちが、耳が傾いてしまう。自分が歌っている声なんか初めて聞いたもんだから。勿論、録音をとって聞いたことはある。でも、それはあくまで機械での音声。こうして生で聞いているわけじゃない。
「「♪~~~~♪」」
あんまり……上手じゃない。
音程も怪しいし、声もぶれている。
嫌なところと言うのは目につくものだ、徐々に聞いていられなくなっていく。あれもダメ、これも駄目……。私達のギターの音が止まってしまった。まるで見計らったかのように視線を合わせる私達。私達はお互いを睨んでいる。
「「ちょっとさ、下手なんだけど……」」
お互いの言葉が、私と同じ声で私にと突き刺さる。
自信がないと言われれば嘘になる。それなりに上手にやっていると思っていた。それを自分に否定される。相手が私であると言うのは知っているし理解していた。だからこそ、その言葉は私にとって衝撃的で、私が感じているってことは、やっぱり相手も思っていると言うことで。
「「あ、あんたに言われたくない!!」」
「私が下手だってことはあんたも下手ってわかってる!?」
「わかってるよ!!だから、あんたに言われたくないっていうの!」
「じゃあ、誰が言うんだよ!私の隣で私と同じ声で私と同じ歌を歌って……」
「私が私に言わなきゃ……他に、誰もいないんだからさ」
私達のいい争いを周りの人間たちは黙って通り過ぎていく。
ただ、目の前にいる自分が嫌だった。
自己嫌悪の対象がいるということは、私達にとっては幸か不幸か。
「……帰ろう」
「うん」
その日は……最悪だったことを今でも覚えている。
ずっと、帰り道を黙りながら酷く傷ついている自分を感じていた。
大好きな歌も、そこまででもなくて……私にはもう何も残っていないような、そんな気持だった。その後は、ただ黙って、私達同士で会話もなくて家にと帰った。荷物を置いて、私は部屋から外のベランダにと出る。
「はあ……」
ベランダから夜の星空を見ながら私は小さくため息をつく。
「きゃあっ!!」
私の頬にあたったのは冷たいジュース。もう一人の私がジュースを持って来てくれたのだった。グラスに入ったジュースを受け取る私。
「ま、こんなことだろうとは思っていたけどさ……いざ知ると傷つくよね」
「……なんで、私と同じあんたが、そんなに元気なのよ?」
「ベランダで一人しょぼくれている私を見て、私も同じだと思うとなんかイヤでさ」
「なにそれ?!私がしょぼくれているって……」
そう言い返しそうになった私の口に人差し指をあてる、もう一人の私。
「あんたも私なら……わかるでしょ?冷静になればさ」
もう一人の私の言葉に、頭に血が上っていた私は、少し気持ちを落ち着かせる。
「わかるけど……」
冷静になった私を見て、もう一人の私は、指を引っ込めて窓ガラスにと背中をあててよりかかる。
「それにさ……自分が下手だってことに気がつけたのなら、上手くなろうって思える訳じゃん」
「前向きに考えれば……そうだね。それに、お互いで自分の声を聞いて駄目だしもできたりする」
「うっわぁ……自分に駄目出しかぁ……。心折れそうになるなぁ」
思わず苦笑いを浮かべてしまうもう一人の私。
そんな私の顔を覗き込むようにする私。
「あんたが言ったんでしょ?前向きにって……自分から言った言葉なんだから責任はとりなさいよね?」
「はいはい……ったく、変に元気づけて損した」
そういって、私がベランダから出ていこうとする。
私にと背中を見せたもう一人の私を、私は見つめる。
「……ありがとう」
小さな声で……でも、彼女には届く声で私は告げた。
立ち止まるもう一人の私。
「自分の落ち込んでいる顔なんて見たくないんだから」
そういって、彼女はベランダから出て行った。
私の気持ちをよくわかっている。同じ私だから当然かもしれないけど、私が彼女と同じ立場だったら同じことをしただろうし、きっと、彼女が私と同じ立場だったら、私と同じことを言って、行動しただろう。これはもうあいつを私と認めないわけにはいかないか……。どこまでも一緒なんだから……。
「……もっと、向こうへ行け。暑い」
「それはこっちの台詞だ。もっとあっちへいけ!」
「これ以上端に行ったら落ちちゃうだろう!」
「それじゃあ、下で寝ろ!暑くて寝れないんだから!」
「下で寝るのはそっちだ!!」
同じベットの上で言い争いを始める私達。
毛布のを引っ張り合いながら足は蹴り合い、腕は互いの身体を押し合って……。
翌朝は……。
「あー……やっぱり、あんたは私の手で消しておかなきゃダメのようね」
「奇遇ね、私も今それを思っていたところ……」
二人してベットから落ちて目を覚ます。
そうやって朝からまた喧嘩……。
そうして……日々が過ぎていった。
カレンダーを見つめながら、二人で肩を並べ合って座っている私達。今では、これが当たり前となり……私達は、私達と一緒にいることが、当たり前になりつつあった。勿論、喧嘩は今でもする。先にお風呂入ったとか……、勝手に私の買ってきたオヤツ食べたなとか……。
「なんだか自分で思い出すだけでバカバカしい」
「い、言わなきゃいいことをわざわざ言うな」
もう一人の私が私に突っ込みを入れる。
ベットの上、私達は学校に行く回数は減り始めていた。以前決めていた交互に行くと言うのはお互いが暇だと不満を言い合った結果、二人で学校に行き、1人は屋上で待っていて授業ごとに交換するようになっていた。でも、それも面倒な時は二人で屋上で喋っている。今日もそうだった。自分と話しても面白いことなんか何もないとか思っていたんだけど……。ギターの練習を一緒にしていたり、一緒にご飯を食べたり……全然、苦にならない。
「はあ……私達、単位まずいんじゃないの?」
「そういってあんただって、授業でなかったじゃん。私でたくない、面倒!とかいってさ」
「それはそっちもでしょう?退屈だし~~、先生嫌いだし……嫌だ!とかいっちゃって」
「同じ私だから思うことも一緒か……いいのか、悪いのか」
ため息をつき、ベットにと倒れる私。
「以心伝心……想うことも、考えることだって、これまでもずっと一緒だったでしょ?」
そういってベットにと倒れた私を見る私。
「私もあんたも、同じ水無月景だから……」
「そう……。こんだけ全部一緒なんだもん……私達」
ベットに倒れている私を見る私……窓から漏れるオレンジ色の光が私達を照らし出している。
……ドクン
あれ?今、なんか胸が強く鳴ったような。
倒れている私を見ていた私は手を胸にと当てる。気の……せいか。私は、胸から手を離してもう一度、もう一人の私を見る。
「そろそろ時間だよ、準備していかないと」
「わかった……。ねぇ?」
「ん?」
「……いいや、なんでもない」
「変な奴」
私達は、今日もギターを担いで駅前まで路上ライブをしにいく。
熱帯夜が続く中、私達は一か月前と同じように横に並んでギターを同じように握り、同じように弾き始める。以前と違うのは、私達はお互いの声をずっと聞いていた。そして、相手が少し音程がずれていると考えると自分もまた修正をするようになった。私と隣にいるこいつは同じ存在。あいつが音を外してれば、それは私も同じこと。だから私達はお互いを常に意識をしながら、お互いの声を聞きながら歌を歌う。
「「♪~~~~~♪」」
私達の前には、数十人の人が集まりつつあった。
それは今までよりとは明らかに人の多さは違う。これも私達が互いに互いの歌を変えていったおかげだろうか。
「「~~~♪~~~~♪」」
歌が終わると、周りからは拍手が起こる。
私達はそんな周りからの音を聞きながら互いを見て笑顔を見せた。
ドクン……。
まただ。
私は再度、胸元を抑えながら大きく息を吐く。
「二人とも、上手いね?」
「双子だからか、相性抜群だし」
「これからも聞きに来るから、応援してるよ」
周りからの声に私は笑顔で答える。
「ありがとうございます。また見に来てくださいね」
私はそういって頭を下げながら、立ち去っていく人たちを見送る。
そんな私の手を掴むもう一人の私。その手は強く握りしめられていた。
「どうした?」
「ううん、もう遅いし……早く帰ろう」
「そうだね……でも、嬉しかったな、あれだけお客さん来てくれるなんて」
「本当。ただあれだけ増えてきちゃうと、かえってやり辛いと言うか恥ずかしいと言うか」
「それはある!でもまあ、私達の歌がうまくなっているっていう証拠でもあるでしょ?」
「まーね」
私達は部屋にと帰り、荷物を置くと……いつの頃か当たり前のようになっている一緒にお風呂。
別に相手は自分。そのスタイルも、身体の一部一部すべてが私と同じ。恥ずかしがるなんていうこともそもそも変なので、私達は気兼ねなく一緒に生まれたままの姿を晒し合い、お風呂に入っていた。目の前で髪の毛を洗うもう一人の私。シャンプーを短い髪の毛につけて泡だらけにする私の身体を自然と私は目で追いかけていた。なぜか顔が熱い……お風呂のせいなのか、それに、胸も……痛い。私は、熱い息を吐きながら、目の前で身体を洗っているもう一人の私をただ見つめ続けていた。そんな視線に気がついたのか、もう一人の私が、私の方にシャワーを浴びせる。
「きゃあっ!!な、なにするんだ!!」
「うん?悪戯」
悪びれもせずに告げる私に、私は目を細める。
「なるほど……そっちがその気なら」
私は相手の身体めがけお湯かけのつかって、相手にとお湯をかける。
髪の毛を拭いていた彼女の全身が水浸しになる。
「あ~~ごめんごめん」
私は棒読みでそう答えてやると、私と私の視線が重なる。お互いを笑顔で見つめ合いながらその手にはシャワーとお湯かけが握られている。
その日は、お風呂場で水をかけ合い、お風呂の中を泡だらけにしながら、遊んでしまった。
自然と笑みがこぼれて、私は目の前で笑っているもう一人の私だけを見つめていた。
「……逆上せちゃったでしょう」
「誰のせいだ、誰の!!」
ベットの上で寝転びながら私達は薄着でいた 二人で共有してつかっている枕に顔を乗せている私の前にとifoneの画面が視界にと入り込んでくる。そして、私の隣に寝転び肩をつけながら身を近づけてくるもう一人の私。私は、そんなもう一人の私と密着している肌が熱くなるのを感じながら、ifoneを見た。そこには、私達のtwitterにレスがつき、路上ライブのことが書かれていた。それは称賛のレスがほとんど。
「メールきてて、今度箱借りてライブでもしないかって?」
「本当に!?」
私はもう一人の私に顔を近づけて、大きな声で問いかける。もう一人の私は、頬をかきながら、私から視線を逸らす。
「う、うん……双子で路上ライブしている奴なんてそうそうしないからじゃないかな」
「でも、私達のやっていることが認められたってことでしょ!?やったじゃん!!」
「ああ、よかった。本当に……」
なぜだろう。
嬉しいはずの出来事なのに、目の前の私は喜んではいなかった。口も表情も喜んでいるように見える。でも、彼女は喜んではいない。それは同じ私……水無月景だから……よくわかった。
「「~~~~♪~~~~♪」」
私達の路上ライブは、徐々に客を増やしていった。
あんまりド派手なことはできないから、多少時間は削らないといけなくなってしまったが、それでも私達の周りは黒い人だかりに囲まれつつあった。それでもやることは変わらない。私達は歌を歌いながら、お互いを見つめ、お互いの息使い、音を聞いて……歌を歌う。彼女の表情、歌い方、ギターの弾き方……全部を見て聞いて感じて……私達は、互いを意識し続ける。歌を終えると周りから盛大な拍手が沸き起こる。すると、その人の集まりから、名刺を持ったスーツの男が現れた。彼は、私にライブハウスでやるライブにぜひ出てみないかと言ってきた。私はもう一人の私を見る。
「受けさせてもらいます」
もう一人の私ははっきりとそう告げた。私は不安だった……だって、こいつは本当は喜んでなどいなかったのに。どうして?私は理解ができないでいた。そんな折、私達を聞きに来ていたファンが、もう一人の私のと声をかけて話をしている。ファンレターでももらっているようだった。私は、それがイヤだった。見ていて、明らかに不愉快だった。私は、ギターを背負い、周りを取り巻くファン達から逃げるようにして、もう一人の私の手を掴み、その場から立ち去っていく。私は、もう一人の私の腕を掴んだまま、足早に家にと向かう。
「……痛いってば!おい!」
「あ……ごめん」
暫く歩いて信号で止まったところで、私はもう一人の私の言葉に気がついて慌てて腕を離した。
「まったく、どうしたんだよ?いきなり?」
「だ、だって……変な奴があんたになんか渡してるから」
「あーファンレターでしょ?ふっふっふ、私達も大きくなったものだ」
「……勝手に喜んでろ」
私は吐き捨てるようにそういいながら、青信号となった横断歩道を歩いていく。
なにを……私は不機嫌になっているのだろう。もう一人の私がファンレターをもらおうが、どうだろうが私には関係のないことじゃないか。でも、ムカツク。私が、もらわなかったから?だから不機嫌になっているのか。嫉妬……あんな誰でもない男に対して?同じ私だからか……。私は、自分の中で解決をして、心を落ち着かせる。何をカリカリしているのだ。たかがファンレターごときに嫉妬なんかしていてバカバカしい。
「ごめん、私らしくなかった」
私は振り返りもう一人の私を見る。
もう一人の私は、立ち止まった私に背後から抱きしめるような形で止まる。
「なに怒ってるか知らないけど……ごめん」
そう私に顔を近づけて告げるもう一人の私に、私の顔が熱くなる。
……違う。
違う……違うっ!!!!
これは、ファンレターに対しての嫉妬じゃない。
以前から感じていたこの胸の痛みも、身体の異変も、心の異変も。
全部、あいつ……もう一人の私に対してのものだ。なんでだ!?どうして?なんで!?私は、もう一人の私にこれ以上ないほど気持ちが動いてしまっている。それは……否定しようにもできないほどで。胸が痛くなり、体が熱くなり……呼吸が乱れ、ずっと見ていたくなってしまって、触れたくて。同じ私なのに。何一つ変わりはしない。なのに……どうして、こんなに気持ちが高鳴ってしまうの。
「なにぼーっとしてるのさ?」
ベットの上で寝転んでいる私の隣に座る私。お風呂上がりの私……私は、彼女の濡れている髪の毛や、頬を染めた表情を見て、生唾を飲み込んでしまう。理解をしてしまった以上、その気持ちはますます拍車がかかり、自分でも止められないものとなってしまっていく。
「なんでもない……今日は疲れたから先に眠るよ?」
「うん……」
私は、もう一人の私に背を向けながら目を閉じる。
これ以上、彼女を……私を見ていたらどうにかなってしまいそうだったから。
私は……おかしい、壊れている。もう一人の自分を好きになってしまって、気持も高鳴り、後戻りもできなくて、相手と一緒に住んでいて、眠る時は同じベットの上で……。そんな状況で私は自分を自分の理性で抑えつける。駄目……諦めなくてはいけない。私が想っている相手は、同性で、血も同じで、存在だって、顔だって、何もかも同じ相手なんだよ!?そんな人を好きになるなんて、あってはいけない。駄目……駄目なの!!わかってる。わかってるよ。そんなことはわかってる。でも……。
「無理……」
私は、毛布の中でつぶやいた。
胸元掴みながら、私は熱い息を吐く。
「止められない……」
私は、自分を押し殺すことが精一杯だった。
「おはよう……」
朝、目を開け広がる視界の中にいるもう一人の私。
「おはよう」
そう言い返しながら、私は胸の痛みを堪える。もう私は、もう一人の私を見ただけでこうなってしまっている。苦しくて、もう何も考えられない。
「今日は、私が料理当番だったか、はあ……朝から面倒」
「当番に文句を言うな」
「はいはい、そこで待っててください~~」
私に背中を向けながら、エプロンを薄着にして料理を作り始めるもう一人の私。私は毛布を掴みながら、この女はわざとなのか!?と言いたくなってしまう。私の視界に映るもう一人の私の背中。私は、自分の気持ちを抑えつけながらベットにと伏せて寝る。見ないようにするしかない。そうすれば、少しは気持も紛れるだろう。運よく、今日の学校の授業担当は私だ。私には悪いが、授業をすべて出て、この滾ったドロドロの気持ちを抑え込むしかない。
「……こんな気持ちがバレたら、一緒に暮らせないんだから」
私は押し殺した声でそう告げる。
「ねぇ?」
「なーにー」
毛布から顔を出して、問いかける私を見る。
「今日の夜に、ライブハウスの件で話をするって言ってるんだけど、平気だよね?」
「……いいんじゃない?」
私の問いかけに、私の背中を見せているもう一人の私はうんとだけ頷いた。
それから、学校にと出席した私は何とか気持ちを押し殺しながら、授業にすべてでた。
もう一人の私にはイヤな顔をされるかもしれない、だけど、もう一人の私とずっと一緒にいたら……自分でもどうなってしまうかわからない。だけど、会わなければ、会わないで幾ら考えないようにしても、もう一人の私のことだけが頭に浮かんでしまう。窓側の席に座っていたからか、窓を見ればそこに映るのは私の姿。私は、何も見なようにして目を閉じる。だけど、それでも……頭の中に浮かぶのは、もう一人の私の姿。私に寄り添い、私もまたも私を見つめ、熱い息をかわして……。
昼食時間……
熱い日差しが降り注ぐ屋上にとやってきた私。
どこからか持ってきたかもわからない扇風機をつけて涼みながらも汗をぬぐいながらもう一人の私は私を待っていた。
もう一人の私は、ギターを弾きながら私を見ている。私は、ゆっくりと歩き、額や肩、背中に汗をかいている彼女を見ながら、もう一人の私の隣にと腰を落とす。隣にいた私は、私を見るとため息をついて
「あんた、ここ最近変だよ?放っておこうかと思ったけど、放っておけないし……なんかあった?」
私からの問いかけに、私は隣を見る。
「……なんかあった?そうね……あったよ」
「なに、っていうかあんた最近、変…んん!?」
そういったもう一人の私に、私は覆いかぶさるようにして唇を塞いだ。
もう……我慢が出来なかった。
突然のことに、もう一人の私は目を見開いている、私はそのまま唇を押し付けながら、目の前の私の手を手で押さえながら、唇の向きを何度も代えながら押し付ける。柔らかくて……温かくて。ほしかった。目の前の私が……欠けた半身が、大切で大好きなもう一人の私がほしくて止まらなかった。なんでこんな風に想ってしまったのか分からない。でも、気がついた時には胸が高鳴り、心がかき乱されて……。頭が真っ白になっていた……もう気が狂いそうなほどだった。今、自分がやっていることがなんなのかもわからなくなってしまっていて。気がついた時には、身体を起こした私と倒れている私の唇から唾液の糸が落ちていた。
「はあ……はあ……はあ……」
「わ……たし……なにして」
倒れている私は大きく肩で息をしていた。私は自分が何をしてしまったのかに気がつく。
「あ……ああ……あ……」
私は立ち上がると、振り返ることなく屋上から出ていく。階段を走りながら私は、溢れる涙を抑えきれなかった。
嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた
「……なにしてんだよ私は!!」
通学路で渡る橋の河川敷に私は大声で怒鳴る。
感情が暴走して……自分自身を押し倒してキスして……あれじゃ強姦と同じじゃないか。しかも自分相手に……。そんなことをして嫌われるにきまってる。嫌われたにきまってる。私は、大きくため息をついて寝転んだ。自然と涙が溢れる。止まらない……本当に、私、もう一人の自分のこと好きになっていたんだ。学校にも、家族にも……誰も私のことを想ってくれている人はいない中で、もう一人の私のと生活は楽しかった。喧嘩ばかりだったけれど、でも本気で自分のことであんなに話したのは、もう一人の私だけだったから。それに……歌を歌う中で相手のことを常に意識をしようってことになっだから……ずっとあいつのことを見るようになっちゃって。もう目も耳も離せなくなっていて。
「あいつに嫌われたら、もう……私」
私は、オレンジ色の日差しに照らされる中、ただもう一人の私のことだけをずっと想い続けていた。
日が落ち、辺りが星空に包まれる中、私の足は自然と学校にと戻っていた。
いつもそうだ。
家族もいなくて、学校にも友達がいない時はいつも学校の屋上にいた。
だから、私達はいつもそこで待ち合わせをして昼食を食べて、ずっと一緒にそこにいた。だから、独りになってしまった私にはその場所が正しい居場所。私はふらつきながら、学校の屋上にと戻ってくる。階段を上り、扉を開ける。私は、星明かりに照らされたその場所で壁にもたれるようにして、腰を落とす。今頃、もう一人の私は、ライブハウスの打ち合わせをしていることだろう。それでいい。私なんかいなくても、私の代わりにあいつがやってくれる。本来二人なんかいちゃいけない私が一人に戻るだけなんだから。
「……だから、私なんかいなくなって構わない」
その声に、私は視線を向ける。
そこにいたのは、制服姿の私……。私は彼女の姿に、足を止める。
「なんで……ここにいるのさ。打ち合わせはどうしたの?」
「あんたがいないのに、いってどうするの?」
「もう、私のことは放っておいて……」
「放っておけないよ」
「放っておいて……」
「おけない!」
私はもう一人の私を睨みつける。
「私があんたに何をしたかわかってるの!?私、あんたを……私を、水無月景が好きになって、あんたに酷いことをした!壊れてる!狂ってるんだよ!!そんな私のことなんか放っておいてよ!!もう……これ以上、私を苦しめないで。お願いだから……」
私はもう一人の私か視線を逸らす。
今でも胸が痛い……こうしてあいつと、もう一人の私と一緒にいるだけで、好きという言葉が溢れて止まらない。これじゃあ、またさっきの繰り返しになってしまう。また傷つけてしまう。わかってる……もう私はまともに生きられない。だから、もう私は……もう一人の私の前から消える。そして、ひっそりと死ぬことにする。あんたがいなきゃ私は生きられない。でも一緒にいられないならもうそれしか選択手段がないのだ。
「私も、あんたのこと好きだよ」
私と同じ声色が私とは違う口でつぶやかれる。
私は、もう一人の私の言葉に一瞬、嬉しいという感情が現れるがそれをすぐに押し殺す。
「……あんたの好きと私の好きとは違う。私は……」
私は……もっとドロドロとしたもの。
貪りたくて、絡み合いたくて、汚くて……私は、あんたとは違う。
「昨日……あんたが寝ているときに、キスした」
その突然の言葉に、私はもう一人の私を見た。
もう一人の私は、笑顔で私を見つめている。
「……ライブハウスもね、本当は断ったんだ。最近の路上ライブは、ずっとあんたのことだけをみていた。いつしか歌が上手くなりたいって言うよりも。ただ……あんたと一緒にお互いを感じたくて。あんたの楽しそうにギターを弾いている顔を見て、音を聞いていたくて……周りのギャラリーがそれを邪魔するのなら、いらない。そんな奴ら、みんないらない。私は、ただあんたを見ていたかっただけなんだから……」
「嘘……嘘だ」
呆然とする私にと抱きついてくるもう一人の私。
「これでも……嘘って言える?」
そういうと、私が何かを言う前に唇が重なる。
同じ顔をして、同じ姿をして、同じ心を持って、魂を持った私達が強く重なる。私はもう一人の私を止めようと私の首元に巻きつけられた腕を離そうとするが、唇がこじ開けられて舌が入り込み私と同じ舌で私の舌が触れ絡め取られると、引きはがそうとした腕の力は弱まり、逆にもう一人の私を引きつけるようになっていた。私が薄眼を開ければもう一人の私が薄眼を開けて涙目になりながら舌を激しく絡ませている。響きわたる水音を聞きながら、私達は完全に目の前の私に溺れてしまっていた。私達の唇が離れ、絡み合っていた舌同士が最後に離れ太い唾液の糸を落とす。
「……私達さ、一緒なんだよ。姿形、性格、記憶……想っていることも全部一緒」
「そう……だから、元々あんたが想っていたことも、私が想っていたことも全部同じ」
「素直に……言えばよかった」
「言えないところも、一緒でしょ?」
「「バカな景」」
私達はお互いを見つめ合い笑みを浮かべる。
今日も屋上でギターを弾く私達。
今ではもう夜遅くに駅前で路上ライブはしていない。なぜなら、私達は隣同士でお互いに向けて歌を歌っていることが好きだから。一番好きなことをしている、私の一番大好きな人を見て、聞いて……感じていたかったから。私達は、お互いを見つめながら、歌を奏でる。私達の観客は私と私二人だけ……。ギターを演奏しながら私達は、隣にいるお互いを見つめ合い、唇を重ねる。ついばむように……何度も何度も。もう……私は独りじゃない。目の前の彼女が……私がいるだけで、私はもう何もいらない。
……私は、私と恋をする。
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