113 / 137
第三章 地下迷宮挑戦編
第98-2話 戦争の気配
しおりを挟む
初めてあさひが手合せをした時、あの時はわからなかった。アレクの記憶が戻った時に感じた違和感があった。オスカーが随分弱くなっていたと。
手加減していても昔のオスカーはあんな物じゃなかった。20年のブランクがそうさせたと思っていたが違った。
(オスカー病気なのか!?それもかなり悪そうだぞ………)
(えっ?なぜ、それを!?)
アメリアが驚いている。ユヅキ、ステラも驚いている。
(ふう………、あなたには隠し事は無理ね………言うなと言われてるけど、バレちゃったんなら仕方ないわね………たぶんもう長くない。持って一ヶ月か。二ヶ月か、わからない。一ヶ月持たないかも。この情報が他国に漏れている気がする。警戒していたけど、内通者が紛れているかもしれない)
(そ、そんな。ソフィアでも治せないの!?)
ユヅキがソフィアに聞くと、ソフィアが下を向く。
そうか………ソフィアでも治せないとなると俺やユヅキでも厳しい。
(それで神聖国と帝国は強気なのね。オスカーがいなければイーグリア王国は怖くない。邪魔なソフィアは確実に殺したい………)
(オスカーは自分の残り時間が少ない事をわかっていたわ。そしてこの時期にあさひとユヅキが目覚めた。彼は心から喜んでいた。これで大丈夫だって。あの二人ならなんとかしてくれるって。ルイスとルーシーを鍛えて貰いたいと。自分が生きているうちにルイスと王を交代して、国を安定させておきたかった。でも最近病状の悪化が一気に進んでしまって………間に合わないかもしれない………)
そうか。それであんなにルイスを気にかけていたのか。くそっ、俺はなんで気付いてやれなかった。
(なあ、アメリア。もしも、もしもだけど、オスカーの病気が治ったら、神聖国と帝国は攻めてこないのか?)
俺は仮定の話を聞いてみる。
(わからない。でも、帝国は攻めて来ない可能性が高くなる。しかし、ソフィアが狙われ続けるのは間違いない)
(ソフィアを狙ってるのは教皇か?枢機卿か?)
(恐らく教皇ね。枢機卿はソフィア信者のはず。神聖国の全員がソフィアを狙っているわけではないはず。ソフィアの信者も多いわ。だけど新たな聖女が現れればそちらに流れる事も考えられる。まあ、私達は神聖国とは色々因縁があるんだけど……)
猶予は半年か………アメリアが言うなら、ほぼ間違いないだろう。
皇帝と教皇を殺しに行くか?ここからホーリン神聖国家まで半年はかかる。皇帝は帝都にいるのか?殺しに行くにも時間が掛かり過ぎるな。それに上手くいくとも限らない。
(私が教皇と皇帝を殺してきます。あさひ様、ご許可を!)
うちのステラ秘書は俺と同じ事を考えていた。殺気が漏れている。でもそれは良い策では無いな。それに皇帝があいつのままなら、ステラだけでは恐らく無理だろう。
よし、決めた。俺の大事な友の国を攻めて来る愚か者は全て返り討ちにしよう。
二度と攻め込む気がなくなるように完膚なきまでに叩きのめそう。【神の眼】を狙ってる奴もいる。結局力を付けるのが優先だ。それは変わらない。その為にオスカーとアメリアは俺にこの環境を用意してくれているんだ。
問題はオスカーの病気だ。ソフィアでも治せないなら、俺にも………いや待てよ。
【AI】を獲得した今ならもしかしたら………ユヅキもいる。
俺は病気を治した事はない。治せる可能性は低いかもしれない。だけど……とにかく病状を見る必要がある。
僅かな希望があるかもしれない………
オスカーを死なせたくない。俺の、アレクの親友だ。
攻め込んで来た愚か者は全て返り討ち。
【魔眼】【神眼】を狙う奴も返り討ち。
オスカーは治す。
ソフィアも守る。
簡単だ。簡単な事だ。全部やってやる。
(ステラ、それは許可しない。猶予は半年ある。それまで俺達は時間が許す限り、限界まで強化するぞ。今ならもう片方の【魔眼】もステラに渡せる。それとオスカーの病気は治す。俺が絶対に治す。ソフィアも守る。この国を攻めて来る奴は全て返り討ちにする。簡単な事だ)
(あさひ様。承知致しました。くすくすくす、あさひ様が仰ると全て簡単な事に聞こえますね)
ステラが俺を見て微笑む。
(はぁ、全くその通りね。色々考え過ぎてるこっちが馬鹿みたいに思えてくるわ。まあ、あさひならやってくれそうね)
(そうよ!アメリア、私達に任せて!そんな奴らとことん追い詰めてやるわ!それとまずはオスカーの病気のことね……)
ユヅキさんが気合い入っている。そして考え込んでいる………
よし、先ずはオスカーを治す。俺はドクターAだ。
オペだ。オペをするぞ。メス使えないけどオペをしてやる。
(私はドクターYよ。アメリア、オスカーに合わせて。あさひと治すわ。大丈夫。私失敗しないので)
お、おまっ、お前!それは俺が言おうと思ってた台詞じゃねーか。くそっ。うちの美人秘書は優秀過ぎて全部俺の見せ場を奪う。ぐぬぬぬぬっ。
(ドクターY?なにそれ?)
ソフィアが首を傾げている。
(わかったわ。ドクターYは意味分からないけど、これから行きましょう。オスカーには伝えるわ)
俺達は王城のオスカーの部屋に向かった。
手加減していても昔のオスカーはあんな物じゃなかった。20年のブランクがそうさせたと思っていたが違った。
(オスカー病気なのか!?それもかなり悪そうだぞ………)
(えっ?なぜ、それを!?)
アメリアが驚いている。ユヅキ、ステラも驚いている。
(ふう………、あなたには隠し事は無理ね………言うなと言われてるけど、バレちゃったんなら仕方ないわね………たぶんもう長くない。持って一ヶ月か。二ヶ月か、わからない。一ヶ月持たないかも。この情報が他国に漏れている気がする。警戒していたけど、内通者が紛れているかもしれない)
(そ、そんな。ソフィアでも治せないの!?)
ユヅキがソフィアに聞くと、ソフィアが下を向く。
そうか………ソフィアでも治せないとなると俺やユヅキでも厳しい。
(それで神聖国と帝国は強気なのね。オスカーがいなければイーグリア王国は怖くない。邪魔なソフィアは確実に殺したい………)
(オスカーは自分の残り時間が少ない事をわかっていたわ。そしてこの時期にあさひとユヅキが目覚めた。彼は心から喜んでいた。これで大丈夫だって。あの二人ならなんとかしてくれるって。ルイスとルーシーを鍛えて貰いたいと。自分が生きているうちにルイスと王を交代して、国を安定させておきたかった。でも最近病状の悪化が一気に進んでしまって………間に合わないかもしれない………)
そうか。それであんなにルイスを気にかけていたのか。くそっ、俺はなんで気付いてやれなかった。
(なあ、アメリア。もしも、もしもだけど、オスカーの病気が治ったら、神聖国と帝国は攻めてこないのか?)
俺は仮定の話を聞いてみる。
(わからない。でも、帝国は攻めて来ない可能性が高くなる。しかし、ソフィアが狙われ続けるのは間違いない)
(ソフィアを狙ってるのは教皇か?枢機卿か?)
(恐らく教皇ね。枢機卿はソフィア信者のはず。神聖国の全員がソフィアを狙っているわけではないはず。ソフィアの信者も多いわ。だけど新たな聖女が現れればそちらに流れる事も考えられる。まあ、私達は神聖国とは色々因縁があるんだけど……)
猶予は半年か………アメリアが言うなら、ほぼ間違いないだろう。
皇帝と教皇を殺しに行くか?ここからホーリン神聖国家まで半年はかかる。皇帝は帝都にいるのか?殺しに行くにも時間が掛かり過ぎるな。それに上手くいくとも限らない。
(私が教皇と皇帝を殺してきます。あさひ様、ご許可を!)
うちのステラ秘書は俺と同じ事を考えていた。殺気が漏れている。でもそれは良い策では無いな。それに皇帝があいつのままなら、ステラだけでは恐らく無理だろう。
よし、決めた。俺の大事な友の国を攻めて来る愚か者は全て返り討ちにしよう。
二度と攻め込む気がなくなるように完膚なきまでに叩きのめそう。【神の眼】を狙ってる奴もいる。結局力を付けるのが優先だ。それは変わらない。その為にオスカーとアメリアは俺にこの環境を用意してくれているんだ。
問題はオスカーの病気だ。ソフィアでも治せないなら、俺にも………いや待てよ。
【AI】を獲得した今ならもしかしたら………ユヅキもいる。
俺は病気を治した事はない。治せる可能性は低いかもしれない。だけど……とにかく病状を見る必要がある。
僅かな希望があるかもしれない………
オスカーを死なせたくない。俺の、アレクの親友だ。
攻め込んで来た愚か者は全て返り討ち。
【魔眼】【神眼】を狙う奴も返り討ち。
オスカーは治す。
ソフィアも守る。
簡単だ。簡単な事だ。全部やってやる。
(ステラ、それは許可しない。猶予は半年ある。それまで俺達は時間が許す限り、限界まで強化するぞ。今ならもう片方の【魔眼】もステラに渡せる。それとオスカーの病気は治す。俺が絶対に治す。ソフィアも守る。この国を攻めて来る奴は全て返り討ちにする。簡単な事だ)
(あさひ様。承知致しました。くすくすくす、あさひ様が仰ると全て簡単な事に聞こえますね)
ステラが俺を見て微笑む。
(はぁ、全くその通りね。色々考え過ぎてるこっちが馬鹿みたいに思えてくるわ。まあ、あさひならやってくれそうね)
(そうよ!アメリア、私達に任せて!そんな奴らとことん追い詰めてやるわ!それとまずはオスカーの病気のことね……)
ユヅキさんが気合い入っている。そして考え込んでいる………
よし、先ずはオスカーを治す。俺はドクターAだ。
オペだ。オペをするぞ。メス使えないけどオペをしてやる。
(私はドクターYよ。アメリア、オスカーに合わせて。あさひと治すわ。大丈夫。私失敗しないので)
お、おまっ、お前!それは俺が言おうと思ってた台詞じゃねーか。くそっ。うちの美人秘書は優秀過ぎて全部俺の見せ場を奪う。ぐぬぬぬぬっ。
(ドクターY?なにそれ?)
ソフィアが首を傾げている。
(わかったわ。ドクターYは意味分からないけど、これから行きましょう。オスカーには伝えるわ)
俺達は王城のオスカーの部屋に向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,120
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる