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元王子アール
三度、魔王城
しおりを挟む拠点を移す度にカメリアがその地で聖女として全力で働くので、本来なら2ヶ月で北の大地に着くはずが3倍の半年以上かかってしまった。
一日の終わりは二人とも毎日クタクタだったが心地良い疲労感だった。
ーー各地で人々を癒しながら半年、ついに瘴気溢れる北の大地に到着した。
「カメリア、ここからはきっと黒髪黒目勇者しか入れない。
何か手段はあるのか?」
近くにいるだけでゾクゾクする瘴気なのに、彼女は少しも動じていない。
「はいっ!勿論ありますよっ!」
頼もしく返事をした後、彼女は説明を続けた。
「えーとっ、まずはアタシ達二人に結界魔法をかけますっ!
これで魔王の瘴気と結界魔法に対する防御ができますっ!
北の大地に入った後、魔王城に向かうまでに襲ってくる魔物達も大体はこれで吹っ飛ばせますっ!」
カメリアは軽く言っているが、魔王よりも魔力がないとできない大技だ。
創造神の啓示の時に歴代勇者並みの力も授かったのだろう。
「流石に魔王の攻撃は無効化はできないんで、そこからはアタシ達の力比べですねっ!」
…ボクは不死身なだけで攻撃力は期待しないでほしいんだが。
「アール様がいるなら百人力ですっ!!」
…イヤ、本当に無理だって。
「さぁっ、元気を出して行きましょーっ!!」
ポジティブカメリアはボクの心情が分からないまま結界魔法をかけた。
そして、北の大地へと踏み込んだ。
…何も起こらない。
魔王による結界魔法が効かず、無事にその先へ進める。
「イェーイッ!ねっ、大丈夫だったでしょっ?」
大技をかけた本人はバク転が成功したぐらいの軽さだ。
ボクに向けてピースサインまでしている。
「あぁ、すごいよ。
流石だな、カメリア。」
ボクが褒めるとパアァと効果音が出そうな嬉しそうな顔をした。
不覚にもボクはそんなカメリアを少し可愛いと思ってしまった。
ーー年月が経っていても2度も行っている場所で、道順はほぼ一本道だ。
ボクが少し先を歩いて、カメリアを先導する。
途中、何度か魔物が襲ってきたが彼女の言った通り弾き飛ばしていた。
そして、いよいよ魔王城に到着した。
ボクが入口の大きな扉を開けようとした時
「待ってくださいっ、ここからは危険ですっ!
私が先を歩きますっ、アール様は念の為に後ろをよろしくお願いしますっ!」
カメリアが緊張している顔を初めて見た。
ここは大人しく彼女の言うことに従っておく。
「…分かった、カメリアもくれぐれも気を付けてくれ。」
カメリアは無言で頷き、ボクにウインクしながらサムズアップをした。
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