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エピローグ②
しおりを挟む小春はお見舞いのリンゴを剥いて、半分を私に半分は自分で食べている。
リンゴをショリショリ食べながら私に語り始めた。
「あの事故でな助けたあの男の子、楓に突き飛ばされた衝撃でかすり傷は負ったけど無事だぞ。」
「良かったぁ。」
あの男の子を助ける為に生死の狭間を彷徨ったのだ。
無事でホッとする。
「楓は全身打撲だけど骨折はしてなくて、打ち所が悪くて昏睡状態だったんだ。
一歩間違ってたら『タ◯チ』のかっちゃんだ。」
私はあの有名なセリフを思い出す。
『キレイな顔してるだろう。ウソみたいだろう。死んでるんだぜ、それで…』
小春が言いたいのも、恐らくこれだろう。
「まっ、楓が生きてるから言えるジョークだけどな。
でも家族以外、ずっと面会謝絶だったんだぞ。」
私が事故に遭ってすぐに、男の子の家族が男の子を伴って謝罪に来たらしい(車の運転手は直後に逮捕されてしまったそうな)。
父親は早くに亡くしておらず、母親と兄が来たそうだが…
「…驚くなよ、その兄ちゃんが何と…」
小春が言いかけた瞬間
「失礼しますっ!この度は弟のせいで申し訳ありませんでしたっ!!」
そこに立って深くお辞儀をしていたのは今をときめくプロ野球選手の投手、加藤 皐月だった。
しかも私と小春は大ファンだ。
「えぇぇぇーーーっっっ!!!」
個室で良かった、かなり大声が出てしまった。
「驚いただろ、加藤選手は年の離れたお兄さんなんだって。」
加藤選手はまだお辞儀の姿勢のままだ。
「あ、あのっ、こうして私は助かったんで顔を上げて下さい!」
顔を上げた彼と初めて目が合う。
加藤選手はすごく驚いた顔をしていたけれど、この時の私は分からなかった。
この後、私達は弟さんが今は元気だと聞いて安心した。
しかも、ちゃっかり二人してサインまで貰ってしまった。
ーー検査の関係で目が覚めて10日後、つまり今日が退院日だ。
ひいお祖母ちゃんと水平思考ゲームをした日数と一緒だなぁと思いながら、私は両親と小春と一緒に病院を後にした。
「ありがとう、ひいお祖母ちゃん。」
心の中でお礼を伝えた。
《完》
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