神様自学

天ノ谷 霙

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10月19日 昼休みドアの前

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昼休み。飲み物が無くなってしまったので、再度買いに来た。教室に戻る途中、教室のドアの前でひそひそ話している女の子2人組を見つけた。上履きの色から、1年生だろう。
先輩に用があって、入りにくいのかな。
私はそう思って、声をかけた。1人は慌てた様子で口をパクパクさせていたが、もう1人の眼帯をしている子はじりっと後ずさりをしてもう1人の後ろに隠れた。
「え、えっと…?」
対応を間違えたか、と背中に冷や汗が伝う。見知らぬ先輩に話しかけられるのがそんなに怖かったかな、と反省しながら、手に持ったパックのお茶を握る。やけに冷たく感じた。
「どうしたの、夕音」
「由芽」
私がドアの近くにいるのが見え、入ってこないのが気になって来てくれたという。ありがたい。
「…あ。亜美ならいるわよ。呼んで来ようか?」
1人を見た瞬間、由芽はそう言った。流石情報通、と言ったところか。ある程度は全校生徒を把握しているらしい。
「…あっいや、あのっ…用は、なくて…その…えっと…」
言われた方は目を泳がせながら手を後ろに隠した。もう1人は、眼帯で隠れていない方の瞳でまっすぐ由芽を見つめていた。見つめるというより、睨みつけているようだった。
その様子を見ていた由芽はピンときたのか、踵を返して亜美を呼びに行った。お昼を食べている途中だったらしく、慌てて箸を置いてドアまでやって来る。
「あ、菜古ちゃん!どうしたの??」
菜古ちゃん、と呼ばれた小柄な女の子は、顔を真っ赤にして小さく、すいません、と呟いた。そして、おずおずと水色のリボンのかかった可愛らしい袋を差し出した。リボンは、菜古ちゃんの髪につけているものとお揃いだった。
「…あ、あの…っお菓子、焼いてくる約束…してたので、今日、部活ないですし…」
そんな言葉を聞いて、亜美は目を輝かせる。
「作ってきてくれたの!?ありがとう!!」
笑顔でそう言う亜美に、固まってしまう菜古ちゃん。微笑ましい。仲の良い先輩後輩の会話だが、何故か私の心はざわつく。
「…で、だな…」
「そう……ですね」
男子2人の楽しそうな声が聞こえた。その瞬間、菜古ちゃんの表情が暗いものに変わり、硬直した。同時に伝わってくる心に雨に降って風が吹く。嵐のように、心は姿を変える。

ずるい。私の方が、亜美先輩のこと、好きなのに。

伝わる心の音。ノイズがかかってるかのようにうるさく降る雨。
近付いてきた男子2人は、北原くんと潮賀くんだった。
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