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12月30日 もう1人
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紺様の瞳に、私の朱色の目が映る。私はその場にいた者でないから見ることしか出来ない。だが、見たことを記録して伝えることは出来る。
パチパチと炎の弾ける音に耳を澄ませば、引き出されるのはきっと。
「…苦しませて、すまなかった」
紺様の瞳から、静かに雫が流れた。私が見せたのは暗闇の中、燃え盛る炎の光景。それを見ながら泣き叫ぶ少女と、その後ろに近付く男性の姿。その男性の容姿が、前と違ってはっきりと見えた。その姿は紺様に重なって、声もはっきり聞こえる。おそらく、紺様の奥に眠る先祖の記憶。紺様こそが、前世における扇様の婿、帝であり、後妻として舞茶さんを娶った男性だったのだ。
ずっと疑問に思っていた。私が見た記憶には4人の登場人物がいた。扇様の先祖である奥方、深沙ちゃんの先祖である舞茶さん、青海川くんの先祖である随筆家、そして帝。前世で深い関わりのあった4人のうち、1人だけが再会していない理由。深い結び付きは輪廻を超えて再び巡り合う。ならば、絶対に存在するはずなのだ。帝を先祖に持ち、3人と再会する可能性のある誰かが。そして紺様がその誰かである可能性に賭けた。その予想が当たっていて心底ホッとする。そうでなければ、私の見せる記憶は意味のない気味の悪いものになってしまっていたから。
私は紺様から離れ、力を解く。紺様は顔を伏せ、涙を拭う。
「…今と同様の体験を、扇様にしていただきます。扇様の奥底に眠るあのお方の記憶を見せていただきます。澪愛の他の力を知るきっかけくらいにはなるかもしれません」
「…そう、だな」
「紺様」
私はまっすぐに紺様を見つめ、深く呼吸をしてから言葉を続けた。
「このことは他言無用に願います」
「…今のは君が…?」
他に誰が、と返そうとしたが紺様が小さく首を横に振ったので口を噤む。
「いや、わかっている。驚いて口が滑っただけだよ」
紺様は短く息を吐くと、顔を上げて真剣な表情をした。
「約束しよう。そして信じよう。君を扇の元へ連れて行く。私の権限を持って君をサポートさせてもらう。だから頼む、澪愛の女系を熱を帯びた痛みから救ってくれ」
紺様は深く頭を下げた。私は驚いて制止を促そうとしたが、少し考えて、言葉だけ返すことにした。
「紺様の信頼に応えられるよう、全力で」
私の答えに、紺様はふっと頬を緩めた。そして扉に手を掛け、廊下に出る。
「ついて来なさい。離れに移動する」
「はい」
私は深呼吸をして、紺様の背を追った。
パチパチと炎の弾ける音に耳を澄ませば、引き出されるのはきっと。
「…苦しませて、すまなかった」
紺様の瞳から、静かに雫が流れた。私が見せたのは暗闇の中、燃え盛る炎の光景。それを見ながら泣き叫ぶ少女と、その後ろに近付く男性の姿。その男性の容姿が、前と違ってはっきりと見えた。その姿は紺様に重なって、声もはっきり聞こえる。おそらく、紺様の奥に眠る先祖の記憶。紺様こそが、前世における扇様の婿、帝であり、後妻として舞茶さんを娶った男性だったのだ。
ずっと疑問に思っていた。私が見た記憶には4人の登場人物がいた。扇様の先祖である奥方、深沙ちゃんの先祖である舞茶さん、青海川くんの先祖である随筆家、そして帝。前世で深い関わりのあった4人のうち、1人だけが再会していない理由。深い結び付きは輪廻を超えて再び巡り合う。ならば、絶対に存在するはずなのだ。帝を先祖に持ち、3人と再会する可能性のある誰かが。そして紺様がその誰かである可能性に賭けた。その予想が当たっていて心底ホッとする。そうでなければ、私の見せる記憶は意味のない気味の悪いものになってしまっていたから。
私は紺様から離れ、力を解く。紺様は顔を伏せ、涙を拭う。
「…今と同様の体験を、扇様にしていただきます。扇様の奥底に眠るあのお方の記憶を見せていただきます。澪愛の他の力を知るきっかけくらいにはなるかもしれません」
「…そう、だな」
「紺様」
私はまっすぐに紺様を見つめ、深く呼吸をしてから言葉を続けた。
「このことは他言無用に願います」
「…今のは君が…?」
他に誰が、と返そうとしたが紺様が小さく首を横に振ったので口を噤む。
「いや、わかっている。驚いて口が滑っただけだよ」
紺様は短く息を吐くと、顔を上げて真剣な表情をした。
「約束しよう。そして信じよう。君を扇の元へ連れて行く。私の権限を持って君をサポートさせてもらう。だから頼む、澪愛の女系を熱を帯びた痛みから救ってくれ」
紺様は深く頭を下げた。私は驚いて制止を促そうとしたが、少し考えて、言葉だけ返すことにした。
「紺様の信頼に応えられるよう、全力で」
私の答えに、紺様はふっと頬を緩めた。そして扉に手を掛け、廊下に出る。
「ついて来なさい。離れに移動する」
「はい」
私は深呼吸をして、紺様の背を追った。
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