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学びの成果
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透明な言葉が、空に落ちる。夕焼け色に瞬いた空間が、その言葉を溶かして彼らに飲み込ませていく。たった一言なのに、伝えられるだけで嬉しくて。相手が同じ気持ちなら、もっとずっと幸せになれる魔法の言葉。
それは親しみの意味で。
それは友達の意味で。
それは尊敬の意味で。
それは、恋の意味で。
この場にいる全ての心に届くように、精一杯の気持ちを込めた。
「だいすき」
稲穂がふわりと風に消えて、花びらだけが舞い踊る。まるで私の言葉に反応したかのように、いや実質そうなのだろうが、柔らかく空間に光を灯して消えていく。何度も心と言葉に反応して開いたその花が、やっと私のものとして咲き誇る。ずっと恋使の能力だと認識していて、ずっと知らなかった私の力。私はそれも学んだのだ。今も、明日も、学んでいくのだ。新しいことを知って、そしてまた一つ世界を色付けていくのだ。この花が光を灯したように。
「稲…花言葉は、"神聖"」
かつて誰かが定義したその意の通り、神聖さを感じる厳かな光が空間に満ちる。それを私達は最後の一つまで見届けて、やっと息を深く吐いた。
長い長い慈しみの光が消え去った後、ふと顔を上げると既に否守様はいなくなっていた。残ったのは虹様とリーロ、稲荷様に恋音さん、そして羅樹だけだった。
「稲荷」
虹様が妹の名を呼ぶ。
「私が任を賜ったのは、貴方が中途半端に夕音様の力を奪ったからよ。昨日まで目に映してくれた存在が唐突に無視を決め込んだら、何が起こるか貴方でも想像がつくでしょう」
その言葉にはっとして。稲荷様は青褪めた顔を向ける。私はふるふると首を横に振って、微笑みを浮かべた。その顔を見て、稲荷様は泣きそうに顔を歪めた後、私の方に近付く。そして優しく額に手を当てて、何かヒトには聞こえぬ言葉を唱えた。
稲荷様の黄緑色に全身が包まれ、体の底から温かなものが湧いてくる。溶け込むそれは、かつて私の中にあった力だ。
「すまなかった、夕音。わたしは酷く身勝手だった」
「いいえ。私の方が身勝手ですよ。貴方を追ってここまで来てしまったんですから」
微かな微笑みと共に、額から手が離れていく。そうして真っ直ぐ向き合った稲荷様は、小さく口を開いて、確かめるように言葉を紡いだ。
「今更、わたしから言っていいものなのかと迷うが。それでも話さなければ進むまい。夕音、今度はわたしの使ではなく、友として、新たな関係を築いていっても良いだろうか。わたしはもう、夕音を失うことを恐れて身勝手に行動したくない。夕音と話し合って、より良い未来に進みたいのだ」
学んだことを活かして問い掛ける稲荷様に、否やを言う必要など何処にもなくて。私は喜びが込み上げてくる頬を叱咤して言葉を返した。
「はい! こちらこそ、喜んで」
誰か、もっと偉い神様や神を信奉する人間に見られたら鼻で笑われるような、そんな拙いやり取りだったけれど。それでも私と稲荷様、互いが決めた関係だから、誰かに口を挟まれる謂れはない。
神と人という種族違いの存在でも、心を交わすことは出来るのだ。
私は、誰に向けるでもなく胸を張り、微笑んだ。
それは親しみの意味で。
それは友達の意味で。
それは尊敬の意味で。
それは、恋の意味で。
この場にいる全ての心に届くように、精一杯の気持ちを込めた。
「だいすき」
稲穂がふわりと風に消えて、花びらだけが舞い踊る。まるで私の言葉に反応したかのように、いや実質そうなのだろうが、柔らかく空間に光を灯して消えていく。何度も心と言葉に反応して開いたその花が、やっと私のものとして咲き誇る。ずっと恋使の能力だと認識していて、ずっと知らなかった私の力。私はそれも学んだのだ。今も、明日も、学んでいくのだ。新しいことを知って、そしてまた一つ世界を色付けていくのだ。この花が光を灯したように。
「稲…花言葉は、"神聖"」
かつて誰かが定義したその意の通り、神聖さを感じる厳かな光が空間に満ちる。それを私達は最後の一つまで見届けて、やっと息を深く吐いた。
長い長い慈しみの光が消え去った後、ふと顔を上げると既に否守様はいなくなっていた。残ったのは虹様とリーロ、稲荷様に恋音さん、そして羅樹だけだった。
「稲荷」
虹様が妹の名を呼ぶ。
「私が任を賜ったのは、貴方が中途半端に夕音様の力を奪ったからよ。昨日まで目に映してくれた存在が唐突に無視を決め込んだら、何が起こるか貴方でも想像がつくでしょう」
その言葉にはっとして。稲荷様は青褪めた顔を向ける。私はふるふると首を横に振って、微笑みを浮かべた。その顔を見て、稲荷様は泣きそうに顔を歪めた後、私の方に近付く。そして優しく額に手を当てて、何かヒトには聞こえぬ言葉を唱えた。
稲荷様の黄緑色に全身が包まれ、体の底から温かなものが湧いてくる。溶け込むそれは、かつて私の中にあった力だ。
「すまなかった、夕音。わたしは酷く身勝手だった」
「いいえ。私の方が身勝手ですよ。貴方を追ってここまで来てしまったんですから」
微かな微笑みと共に、額から手が離れていく。そうして真っ直ぐ向き合った稲荷様は、小さく口を開いて、確かめるように言葉を紡いだ。
「今更、わたしから言っていいものなのかと迷うが。それでも話さなければ進むまい。夕音、今度はわたしの使ではなく、友として、新たな関係を築いていっても良いだろうか。わたしはもう、夕音を失うことを恐れて身勝手に行動したくない。夕音と話し合って、より良い未来に進みたいのだ」
学んだことを活かして問い掛ける稲荷様に、否やを言う必要など何処にもなくて。私は喜びが込み上げてくる頬を叱咤して言葉を返した。
「はい! こちらこそ、喜んで」
誰か、もっと偉い神様や神を信奉する人間に見られたら鼻で笑われるような、そんな拙いやり取りだったけれど。それでも私と稲荷様、互いが決めた関係だから、誰かに口を挟まれる謂れはない。
神と人という種族違いの存在でも、心を交わすことは出来るのだ。
私は、誰に向けるでもなく胸を張り、微笑んだ。
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