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24.我が輩は石である。石としての才能は皆無の石である。
しおりを挟む人間にだけ種族を定義しないのは、人間差別では無かろうか?
やれやれ、思考がだいぶ迷走してきた。
誰か何とかして欲しいところだが。
我が輩は石である。名前など有るわけが無い。
さて、才能について考察をしていた訳だが、とんでもない理論にたどり着いてしまったものだ。
「隣の人は人間の皮を被った別種の生物」などと、どこの誰が考えただろうか。
人間の分類はせいぜい職業別程度の分類であったというのに。
人類皆兄弟説を真っ向から踏みにじった理論である。
人間意識が薄れてきたということは、我が輩も石であることが板に付いてきた、ということだろうか。
いや、石に付いてきた、か。
石だけに。
もちろん、この理論の反証は可能である。
それは人間は人間であり、才能も全て平等であり、その人間の努力如何で才能は開花する、という理論である。
だがこの論説は、才能の差が存在する、という現実から、大幅に目を逸らした考え方であろう。
なにせこの理論は「才能は平等」と前提条件に入れてしまっているからだ。
例えば、諸姉諸兄諸君等の憧れるスポーツ選手を思い浮かべて欲しい。
彼らと同じ努力をしたとして、彼らと同じ成功が出来るであろうか?
我が輩は、不可能である、と断言する。
即ち、才能の差、である。
才能の差は器ごとに違う。
それならば、入る器の”名前”が違うという理屈を否定する必要などあるまい。
器の段階で才能が違うなら、才能ごとに種族を分けて、何が問題だというのか。
我が輩でこの理論の正当性を訴えよう。
石像になった石があったとする。
素材としては同じ石であるが、この場合は岩と分類されるであろう。。
石は石。
されども、大きさによって呼び名は変わり、利用用途を見いだされることが、その石の才能であろう。
我が輩はどうか。
握りこぶし大の、タダの石である。
すなわち。
我が輩は石である。名前など有るわけが無い。
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