闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
135 / 1,010

用意された筋道

 逆らえない。
 中瀬は社長には誰も逆らえないと言った。

 その社長というのは、あの九条の事だと直ぐに分かる。
 九条は圧倒的なオーラを放つ男だ。
 整った顔やその長身だけで言っているのでは無い。
 無慈悲に敵対する人間や場合によっては部下に暴力を奮った姿に、少なからず恐怖を感じたからだ。

 きっと中瀬の言う言葉は正しい。

 逆らえばどんか報復をされるか分かったものではない。

「あ~あとそれに、この前のヤミ金でサインした契約書」

「あっ!!」

 そういえば九条の事ですっかり忘れていたが、契約書に自分はサインをしていた事実を思い出す。
 契約書の効力は絶対のはずだから、何とかしなくてはならない。
 が、どうしたら…そして何故その事を中瀬は知っているのだろうか?

「それについて話しもあるんだよね~契約書俺が今持ってるし」

 そう言って中瀬は懐から1枚の紙を取り出すと、ヒラヒラとこちらへ見せてきた。

「そ、それ…っ!」

 それは確かに自分がサインをした契約書だった。

「話し聞く~?それともヤミ金で、これからせっせと体売って働く~?」

 そこまで言われてしまえば、祐羽の選択肢はひとつしかない。
 ぎゅっと手を握り締めて、震えそうになる唇を開いた。

「は、なし……、聞きます」

 勇気を振り絞った祐羽を見て、中瀬はニコリと笑った。

「殺したりしないから安心して乗って!大丈夫だから、さぁさぁ早く」

 心底嬉しそうに言いながら中瀬は祐羽の側まで来ると、優しくけれど力づくで車へと乗せた。

 白昼、堂々と祐羽は半ば拉致に近い形で連れられて行った。
 選んだつもりが、それは全て相手の用意した道へただ進まされているに過ぎなかった。

 抵抗するはずだった。
 その決意はあっという間に消え去る。
 
 大人…ましてやヤクザ相手に祐羽が言葉と知恵、機転で勝てるはずもなく。
 
 そして、九条という男には祐羽など空気の様にきにもならない存在だろう。
 他の人間は全て羽虫にすぎない。
  
それほどに誰ひとりとして、九条には敵わない。
 
そんな事を祐羽が理解して気づくのは、遠い先の事だ。

 
祐羽の隣に中瀬が座ると、黒塗りの高級車は静かに走り出した。
感想 162

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。