闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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無理難題

…なんて言えるはずもなく。

 再び沈黙。

 実をいうと、普段は会話がなくても特に気にしない祐羽。
 それならそれで色んな事を考えたり、妄想して夢の世界へ飛び立つ術を持ち合わせていたりする。
 だから天然だとかぼんやりしてると言われる原因の一部にもなっているのだが…。
 けれど、今回は話が別だ。
 相手がいつ何をしてくるか分からないので、そういう意味で気を抜ききれなかった。

 これは自分から勇気を出して声を掛けるしかない。

 そう思って口を開こうとしたら、まさかの九条から声を掛けてきた。

「…おい」

「!!」

 思わず姿勢が伸びる。
 何だろうかと祐羽が見ると、九条は椅子の背にもたれて横柄な角度で顔を向けていた。
 普通なら鼻持ちならない偉そうに!となるところだが、九条がしていると様になっているので一瞬見惚れそうになる。
 相手の正体はとっくに分かっているというのに、美形というのはこれだから質が悪い。

 この人はヤクザ!自分を拉致?した相手!!カッコイイとか思ったらダメなの!!!

 自分の中にあったミーハー心を罵りながら、祐羽は次にくる言葉を待った。
 
そして九条は腕を組んで言い放った。

「家に電話しろ。今夜は泊まると言え」

「は?」

「中瀬の名前を使って親に連絡しろ。中瀬はここに居ないからな…必要なら俺が家族として電話に出てやる」

 さも当然、さっさとしろと顎で促される。
 はい分かりました、とは素直に言えず祐羽は口を開いた。

「む、むむ、無理です!明日も普通に学校あるし」

「ならここから登校しろ。そしてここへ帰って来い」

 当たり前の決定事項の様に言われて、祐羽は慌てた。
 ここから登校して、ここへ帰れと?
 それはもうここに住んでる事になる。
 無理難題であるし、何の関係もない高校生相手に無茶苦茶だ。

 この人は何を考えてるの?!

「いや、無理です!…学校の荷物も家だし、学校から遠いから登下校無理だし。えっと…あと僕は高校生だから親も心配するし、本当に無理です!」

 祐羽は九条の目を見返して、はっきりと言いきった。
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