闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
156 / 1,010

妥協点

「で…出ません、けど…」 

「なら問題ないな」

 九条はあっさりと言い放った。

 祐羽は憧れてバスケ部に入ったが、正直下手くそだ。
 練習試合に出るなど、今の状態で夢のまた夢という事は百も承知していた。
 けれど練習は頑張っているし、練習試合では先輩の応援をしたりサポートをしている。
 バスケ部員として当然ではあるが、みんな頑張っているのにそれを制限されるのは嫌だった。
 第一に関係のない九条に、バスケ部についてそんな身勝手を振り翳す権限はない。

 祐羽は九条の冷めた視線に負けまいと力を入れた。

「でもっ…、一生懸命練習してるんです!!見ることも勉強になるし、それにバスケ部の一員として応援も頑張りたいんです!…た、確かに僕は下手くそなんですけど、で、でもっ!…上手くなりたい気持ちは持っていて…部員みんな勝ちたくて練習頑張ってて……」

 興奮し過ぎて酸素が足りなくなる。
 大きく息を吸って吐いて、祐羽は頭を下げた。

「だから、お願いします!なるべく今まで通りにさせて下さい!!」

「…」

 頭を下げたままの祐羽に、九条からの返事は無い。

 これだけ頼んでも無理だったのだ。
 相手はヤクザ。
 正攻法など通用しない。

 諦めに唇を噛み締めた祐羽だったが、まさかの九条から諾の返事が出た。

「分かった」

「…え?」

「何を呆けた顔をしてる。俺がお前の願いを聞いてやると言ったんだ」

「だ…だって…」

 まさか許してくれるとは。
 これで呆気に取られるなというのが無理だった。

「ただし、俺は譲歩してやったんだからお前も少しは俺に譲れ」

 そんな九条の目は『これ以上は譲らない』と語っていた。

「まず、平日放課後。俺からの連絡があれば必ず来い。中瀬に迎えに行かせる」

「…」

「土曜は俺が帰れない時以外は泊まれ。日曜の夜には帰してやる」

「…部活…」

 毎週末の泊まりと、日曜日も一緒に過ごすかと思うと困惑しかない。
 それに今話したばかりだ。

「日曜の部活は休みになるようにお前の学校へ取り計らう。練習試合の時だけ許可しよう」

 九条からすれば、大きく譲歩した形の様だ。

 少しでも妥協点があるのなら、ここは素直に頷くしかなさそうだった。
感想 162

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。