闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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憧れ

「…犬よりは手伝えるのに」

 祐羽は聞こえない様に呟いた。
 
 確かに祐羽は料理が出来ない。
 いつも家では母親に作って貰っている。
 作った事があるとすれば、学校の調理実習の時くらいだろうか?
 まさかこんな展開が待ち受けていたとは…。
 
こんなことなら料理少しはお母さんに教えて貰っとけば良かった…。

 祐羽はテレビはそのままに、キッチンに立つ九条へと視線を向けた。
 普段は無理極まりないのだが、今は離れた位置に居るので、堂々と見る事が出来た。

 この家はデザインからもそうなのだが、実際にかなり広い。
 普通のマンションの広さとは格段に違う。
 天井も背の高い九条が立っても窮屈さを感じさせない作りだった。
 そんな長身の九条が、身を屈めて何やら材料を包丁で切っているのが何だか違和感があって、少しだけ可笑しかった。

 けれど包丁のリズミカルな音に料理上手な予感を感じ、祐羽は直ぐに笑いを引っ込めた。

…まさか料理めちゃくちゃ上手とか…?ないよね?

 祐羽はそう願いながら九条の調理する姿を眺め続けた。
 腕を捲った姿すらカッコいいとは、どういうわけだろうか。
 袖から伸びた逞しい腕がフライパンを握って振るわせていたり、菜箸を持つ手や長い指で何やらしているのが見える。
 料理もこなせるとは羨ましい。
 
 カッコよくて出来る男そのものの九条の姿に、祐羽は見惚れるしかなかった。

「っ!!」

 何を考えてるんだろ、僕!?
 相手はヤクザ。
 いくら出来る男でカッコいいっからって、凄いな~とか憧れちゃ駄目なの!
 僕は無理矢理連れてこられた被害者だぞ!!

 頭を軽く横に振って、祐羽は危うく流されていく思考を留めた。

 それからあまり見すぎるのもよくないと、テレビで始まった世界的有名な日本のアニメ映画を観ることにした。
 
 映画を観ながらも時折九条の様子を見つつを繰り返していると、

「おい、飯だ」

 九条から声が掛けられた。


※いつも読んでくださり、ありがとうございます。クリスマス企画するので興味ありましたら近況ボード読んでみてください♪
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