闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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車内にて

 既に待たせてあったエレベーターへ乗り込むと、そこには堺が居た。
 一瞬驚いたものの見慣れた顔にホッとする。
 この男はヤクザとはいえ怖くないからだ。
 それよりも九条の視線から隠れられた事が、何よりも安堵をもたらした。

 三人を乗せたエレベーターは静かに降りていき地下へと辿り着いた。

 降りた場所には他に三人ほど男達が待機していて祐羽を興味深く、けれど然り気無く見てくるだけだ。

「早く乗れよ」

 促されて乗り込むと隣に中瀬、助手席に堺が座り運転手の男が全員が乗ったのを確認すると、ハンドルを握り直ぐに車は走り出した。

 これで何とか無事に帰宅出来る。
 その安心感が物凄い。

 小さく息を吐くと、窓の外を見る。
 夜の住宅街とはいえ街路樹と同じくらいの数の街灯が周囲を明るく照らしている。
 高級住宅街だけあり、豪勢な邸宅や長くて先が見えないのではと思わせる様な塀が続く。
 通りかかった家の門扉も想像よりもはるかに大きい。

 そんな景色を見るとも無しに見ながら、祐羽の頭の中は九条の最後のことばを反芻していた。

『またな』

 九条は今日を最後としていない。
 確実に次また会うことを前提としていて、祐羽が来る事を当然として捕らえていた。

 これってよくあるヤツだ。
 初めはよくして油断させて後から無茶を言ってくる…いわゆる詐欺みたいな感じかも。
 そのうち大金を要求されたり悪い事に荷担させられるかもしれない…。

 こんなただの高校生に一体何を思ってなのか考えても分からないが、要求がエスカレートする前に何とか解決したい。
 帰って両親に、どうこの事を伝えて相談するべきだろうか。

 どうしたらいいんだろう…分かんないよ…。

「お~い、月ヶ瀬」

 悩み落ち込んでいると、隣に黙って座っていた中瀬が軽い口調で呼んできた。



※クリスマス限定小説を読んで下さり、ありがとうございました。
感謝のお正月企画もよければ覗いてみて下さい。
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