闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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不意打ち

祐羽が近づいて来ると眞山が後部ドアを開けてくれる。

「あ、すみません。…ありがとうございます」

 こんな一般人のそれも高校生相手に、眞山も不本意ではないだろうか、と思うと申し訳なさが込み上げる。
 祐羽がペコリと頭を下げると、眞山は特に気にした様子もなく「いえ」と返した。

 車に乗ったらいよいよ九条の家へ行くんだと思うと気持ちが高揚していく。

 祐羽が後部座席へと乗り込もうと視線を中へと向けた。

「え…?」

 思わず間抜けな声が漏れた。

 そこには九条が座っていて、こちらをジッと見つめていた。

「……っ!!!?」

 驚きに声も出ないし、体も動かない。

 家に行ってそこで会うのでは無かったのか。
 不意打ちすぎる展開に、祐羽は息も出来ないくらいに驚愕していた。

 薄暗い車内に外灯の光が少し差し込んでいる。
 そのせいか九条の整った輪郭がくっきりと浮かび上がっていて、そこだけ現実的ではない。
 
 えっ、えっ?
まさか九条さんが来るなんて、これ幻覚じゃないよね?

「え…何で…」

 何で迎えの車に?とも訊けず、口を驚きにポカンとしてしまう。

「早く乗れ」

 そんな呆けた顔の祐羽から視線を外し、九条はその長い足を組み替えた。

 く、九条さんの声!!やっぱり良い声してる!!

「は、はいっ!……失礼します」

 九条に促されて慌てつつも、そろそろと乗り込む。
 祐羽が九条の隣に乗り込んだのを確認すると、ドアが閉められる。
 それから眞山が助手席に座ると、車は静かに発進した。

 あれだけ意気込んでいたにも関わらず、いざとなるとカチコチに固まってしまう。
 心の準備が出来きらないうちに顔を会わせる事になるなんて想定外すぎる。
 顔を見合せ声を聴いて、心臓が面白いほどに高鳴る。
 高鳴るを通り越して緊張で痛い。
 思わず縮こまるがなんとか目だけ動かすと、丁度バスケ部員達が遠巻きに車を見送るのが見えた。
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