闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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笑顔

  表情筋がヒクヒクしてしまうが、このままではまずい。

「えっ、えぇっと~こ、ここの水族館はですね」

 話始めたもののあからさまに動揺してしまうが、もう知ったことではない。

「ナイトタイムの時はっ、夜をイメージして、建物や水槽のライトの色も変えてあるみたいなんですよぉ。はい。」

 顔は赤いままで視線もなかなか合わせられない上に、スムーズとは言い切れない。
 けれど何とか覚えておいた説明を言い終えホッとする。

 よしっ、説明できた!

「…そうか」

「あっ、あとイルカショーもあるみたいなんです」

 ここのショッピングモールは大きく、丁度水族館側は海に近い。
 海水の引き込みなども可能らしく、イルカも飼育している。
 そのイルカショーがナイトタイムに最後の1回があるらしい。

「よかったら、その…イルカショーも観ませんか?」

 嫌がられるかも…と心配したが、九条は祐羽の顔を見て「あぁ」と頷いてくれたのでホッと胸を撫で下ろした。

九条となんとか会話も出来ているし、イルカショーも一緒に観てくれるという承諾を得て、また1つ楽しみが増えた祐羽は自然と笑みが溢れた。

「へへっ…楽しみです」

 そんな自分を九条は目を細めて見つめ返してくれる。
 やはり見つめられると照れてしまうが、なにより目が優しい事に嬉しさが沸き上がる。
 九条の機嫌も良さそうだと、緊張の糸も少し緩んだ祐羽は、然り気無く先導しながら歩いた。
 
 色々な魚がそれぞれの生息域やテーマ毎に分けられている様で、それに合わせてライトの色も工夫されているみたいだ。
 いつも明るい白い光に慣れている身としては、非現実的すぎて感覚が狂いそうになる。
 けれど、たまにはこういうのも良いのかもしれない。

特にこんな大切な話しをする日は、気持ちも落ち着いて丁度良い…と思いながら祐羽は泳ぐ魚に目を向けた。
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