闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
264 / 1,010

注目を浴びる男

 少し気持ちの整理が必要だと、祐羽は泳ぐ魚に意識を集中した。
 けれどこちらへ向かって泳いでくる魚の大きさに驚くと同時に嬉しくなり自然と隣に並んだ九条を見上げた。

「凄いっ。見てください、大きいですね!」

「そうだな」

 先程までの可笑しな心臓の高鳴りは鳴りを潜めてしまい逆にワクワクの方が全面に出てしまう。
 そうして結局九条と視線を交わした祐羽は、笑顔を浮かべたままふと気がつく。

 あ。僕、さっきまでドキドキしてたのにもう忘れてる。
 九条さんは全く気にしてないし、僕も考えすぎないで今は楽しもう。

 そう決めて魚の泳ぐ水槽へ意識を戻した。
 目の前には、この水族館で1番の巨大水槽があった。
 たくさんの魚達が悠悠と泳いでいる様は圧巻だ。
 この巨大水槽を眺めているのは自分たちだけではない。
  隣の方には今まで見当たらなかった他の客が大勢居り、祐羽達と同じ様に水槽を感嘆しながら見ていた。
 後ろを見るとホールの中央から後方にかけて椅子が設置してあるからか、休憩している客も多い。
 立って見ても座ってじっくり見てもどちらも良さそうだ。

 そう思いながらホールを何気に見回した祐羽だが、チラチラとこちらへ向けられる視線に気がついた。

 先程もホールへと入って第一声の自分の声に反応した客の視線を浴びたものの後ろから現れた九条へ一斉に向いてしまっていた。
そんな九条が学生服の男子高校生と水族館でこうして魚を見ているのだから、注目を浴びてしまうのは仕方なかった。
自分にも(どういう関係?)といった多少の視線が向けられるが、九条へ視線を向ける人が圧倒的に多い。
 じっと見つめている人や連れの会話の合間を縫ってこっそりと見てくる人。

 そんな風に見られている立場の九条はというと、気づいているのかいないのか、全く表情ひとつ変えず立って居た。
 
 でも、ずっと見られてるのって流石に気になっちゃうよね。
 楽しんで貰いたいんだけど…。
 
 イルカショー開始までもう少しだけ時間がある。
 ここから通路を行った先にイルカショー会場があるので、みんな開始時間まで待っているに違いなかった。
 注目を浴びるのもそれまでの辛抱だ、と祐羽は九条と一緒に並んで巨大水槽を見上げた。
感想 162

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。