闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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心の中で叫ぶ

「!!?」

 今、ほっぺたにキスされた?!

  いきなり何!?と驚いて声も出ない祐羽に、九条は魅惑的な声を耳へと吹き込んだ。

「お前からのペン。大切にする」

 ゾワゾワッと震え駆け上がる不思議な感覚。
 恥ずかしさか何なのか、一気に体温の上昇で祐羽は暑くもないのに顔を赤くした。
 何度経験しても慣れない九条のフェロモンに、脳からの伝達が上手く行かない。
 お陰で言葉は辿々しいものになってしまう。

「あ、ぁ、僕も…。僕も、ぬいぐるみ。大切にします…っ」

 アワアワするしかない祐羽を気にも止めず、九条は「そうか」とフッと微かにだが笑った。

 わーっ!もうっ、キスもその顔もやめて!恥ずかしすぎるから!!

 心の中で普段大人しい祐羽らしくなくギャーギャー叫びつつ、どうにも隠しきれないモノを抑えようとシャチのぬいぐるみに顔を押しつけた。

 何なの?!九条さん、本当に訳分からない。
 お礼言うなら普通に言えると思うんだけど!
 いちいちキ、キキ、キス…しなくても…。
 心臓に悪すぎる。

 祐羽はシャチに心の中で訴える。

 ちょっと九条さんって本当に突拍子もなくて困るよね?!
こんな所で普通キスなんてする?しないよね?
 やっぱりヤクザだから常識から外れてる事も平気なのかな?
 あっ、そんなワケないよね。
 ヤクザだって常識持ってる人居るよね。
 やっぱり九条さんだけが、自由人なんだ!!
 困るよ~。助けてシャチの九条さん…!

 唯一救いだったのは、周囲に誰も居なかった事だ。

 それにしても、誰にも見られてなくて良かった~はぁっ。

 安堵の息を吐き出した祐羽は、肩を抱かれたままヨロヨロと歩き出した。

 そんな祐羽を面白そうに見下ろした九条は、バックヤードから出ていた飼育員が死角となる暗闇で息を殺して固まっているのを横目で見送った。



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