闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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チャンス

 うわっ…カッコいい。

 祐羽は思わずその場に立ち止まり、内心呟いた。
よくも声に出さなかったと自分を誉めてやりたいものだ。
 ゴクリと唾を飲んで、それから遠目から九条の横顔を眺めた。
 赤や青、紫の光の渦が溢れる空間。
 そこに整った顔立ちの九条が物静かに、まるで作り物を思わせる無表情で一点を見つめている。
その姿は言葉では現せない。

 暫くぼんやりとしていたが、祐羽はあることを思いついてスマホを取り出した。
 記念にと魚やペンギンをたくさん納めてきたし、自分も一緒に入ったりもした。

 九条さんの写真1枚も無いから…記念、記念!

そう言い聞かせた祐羽はさっそく九条を撮ろうとするが、こんな時に限ってこっちを見ているのだ。
仕方ないので、まずはクラゲをパシャパシャ納めていく。
 そんな祐羽を九条が時折見ているのを感じるが、知らん振りして撮っていく。

 九条さん、さっきみたいにクラゲ見ててくれないかなぁ~。

 クラゲを撮ったり観察する振りを続けて、タイミングを見計らう。
 そうして焦れながら待って、数分した頃だろうか。

チャ、チャンスきたーッ!!

 九条が丁度クラゲ水槽へ視線を向けていた。
 これを逃したらもう、今この時の九条は永遠に撮る事は出来ないだろう。
 九条との関係は絶ち切らなくてはならないのだ。
 それも今日この場所で疑問をぶつけ、その答えを聞き、それから関係の終わりを伝えると決めて来たのだから。

 祐羽は複雑な思いを胸にしたままクラゲ水槽越しに、九条を写真に納めた。
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