闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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星空の下

祐羽が目を輝かせた先…海を挟んで向こうには、思わず魅入ってしまう夜景が広がっていた。

都内のビル群が賑やかに明かりを放ち、特徴的なタワーが一際異彩を放っていた。
機械的な橋もきらびやかに照らされていて、そこを行き交う車や船の灯りが彩りをより鮮やかにしていた。

 周囲と海はとても暗い為、コントラストが夜景の美しさを強調していた。

「行くぞ」

「あ、はい!」

 暗いとはいえ、ほんのりライトアップが施され進む道を示してくれている。

 歩き始めた九条に慌ててくっついて後を追う。
 眞山達が気になり後ろを見るが、誰も着いて来る様子は無かった。
 あれ?と思いつつも置いていかれてはいけないと、早足で九条に並んで黙って歩く。
 少し進んで後ろを確認した時には、眞山達は暗闇の中へと沈み、輪郭さえもあやふやになっていた。

 九条と並んで歩きながら夜景に目を向ける。
 こちらと都心との明暗の差が不思議な気分にさせる。
 車から見かけた僅かな人影も今は無く、ここには自分と九条しか居ない。

黙って歩く九条を見上げると、少し吹いた夜風に髪が遊ばれていたが、それさえも絵になるのだと祐羽はちょっと見惚れてしまった。

「…夜景、綺麗ですね」

 黙って歩くのも心地よいが、夜景のあまりの美しさも共有したくて声に出すと、九条が「ああ」と返してくれる。
なんだか、それだけで満足してしまった。
 
 ほんのり照らされた足元。
 海沿いは遊歩道が整備されていて、向こうまで…永遠に続いてそうな程に先が見えない。

どこまでも歩いて行けそうだった。

九条の歩調は極ゆっくりで、祐羽が夜景を見ながらでも置いて行かれる事は無かった。
時折吹く海風が隣の九条が纏う香水の甘く爽やかな香りを祐羽へと多く届けた。
何気なく空に視線を上げれば、こんな都会でも奇跡的に煌めく星が確認出来る。

この世界にふたりしか居ないと思わせるには十分で…祐羽はそんな錯覚さえ起こしそうになるほど、夢中で星を追いながら歩いた。
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