闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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海沿いでふたり

 それから暫く歩くと少し広い空間が現れた。
 モザイクタイルで彩られた中央には近代的なオブジェが建てられていた。

なんか宝石みたい…。

 オブジェを見て祐羽はそんな事を思った。

 近くの外灯と海を挟んだ向こうの建物などの光を受けて輝いているオブジェのお陰で、歩いて来た道と比べると明るい。
 すると、隣の九条の顔も先程よりしっかりと確認出来た。
 水族館で見た横顔とはまた違い、夜の暗さと仄かな灯り、煌めくオブジェの反射はより一層九条の整った顔を高貴に見せていた。

 九条さん…本当は居ない人だったりして。
 僕が勝手に作り上げた想像だったりするんじゃ…?

 祐羽が自分のそんな有り得ない考えに傾倒しかけた時だった。
 歩いていた九条が足を止めたのは。

「?」

 祐羽は同じ様に立ち止まると、オブジェを背にして九条を見上げた。

 急にどうしたのだろうか?
 九条は海沿いへ続く柵へ背を預けると、ゆっくりとこちらへと顔を向けた。

「おい。俺に何か言いたい事があるだろう?」

その言葉にドキッとした。

 それは間違いではない。
 気になってる事が幾つかあった。
 それを問い、答えを聞いて納得し、それから最後に縁を切りたいと申し出るのが今日の目的だった。
 けれど、その目的で誘った水族館では全てを終わらせる事は出来ず。
 また、いつ切り出そうかと悩んでいたとはいえ、九条に対して言いたい事を胸の中に自分が抱えていたと気づかれていたなんて…そんな事、思いもしなかった。
 その分、驚きは隠せなかった。

 確かに九条さんに訊きたい事はあったけど、そんなに僕の態度は分かり易かったのかな?

 でも、これはチャンスだ。
 九条とふたりきり。
 水族館では九条がヤクザという確認しか出来なくて、本題には全く触れられなかったのだから。

訊かなきゃ…!

祐羽は決意を胸にグッと唇を結んだ。
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