349 / 1,010
蟠る思い
だけど、聞かなければ何も分からない。
この胸の奥に蟠る思いを解けそうもない。
答えが分かる怖さと、何か救いがありそうな懇願にも似た何かが沸き上がった。
「あ、あの…っ」
「なんだ」
祐羽はひとつ小さく深呼吸をすると、何とか声を絞り出した。
僅かな音だったが九条には十分に届いた様だった。
じっと自分の話の続きを待ってくれている。
もう声を掛けたが最後。
疑問を投げ掛け、答えを貰わないと先にも後にも身動きが取れない。
祐羽は視線をソッと伏せた。
「その…ずっと、九条さんに聞きたいことが…」
「遠慮せず言え」
なかなか本題に移れない祐羽に、九条が促してくれる。
お陰で言い易いとはいえ、答えが怖い事に変わりない。
答え次第で九条がどう出てくるか分からない。
だけど本当のところを聞きたくて…だけど自分の望む答えと違ったら?
不安が渦巻く中で祐羽は言った。
「九条さんは…ヤクザじゃない、別の会社の社長さんもしてますよね?」
「ああ。それがどうした?」
祐羽の問い掛けに九条はアッサリと認めた。
特に隠す事でもないからだろう。
最近のヤクザは表の会社も幾つも持っていたりするらしいのは、祐羽も調べて知ったからだ。
問題はその先だ。
「その…九条さんの会社ですけど、僕のお父さんの会社と、取り引きを始められましたよね?」
「…」
九条からは肯定も否定もない。
「…お父さんが言ってました。ずっと交渉してダメだったのに、自分が担当になった途端に大手の、九条さんの会社と提携が結べたって!」
脳裏にあと時の嬉しそうに笑う父・亮介の顔が浮かぶ。
この事を九条にぶつけてしまうと父の会社の提携がもしかしたら白紙に戻ってしまうかもしれない。
けれど、今はもう気遣ってはいられなかった。
「何で急に提携を?特別何も変わった事なんて無いのに…変わった事と言えば僕のお父さんが担当になっただけ。…もしも、僕を使ってお父さんから九条さんの会社に何か有利な条件を飲んで欲しいとか、そんな考えを持ってだったら…」
自分でここまで一気に言ってから、祐羽はその可能性が1番高いのではないか?
いや、これが九条の思い描いた道筋に違いないと思えた。
「そんな理由で僕とこうして会ってくれているなら…それは、そんなの…そんなの…っ」
九条が自分と会ってくれる理由が他に思い当たらず、唇を噛み締めながら言葉を吐き出す。
最後は目から溢れた何かが頬を流れた。
この胸の奥に蟠る思いを解けそうもない。
答えが分かる怖さと、何か救いがありそうな懇願にも似た何かが沸き上がった。
「あ、あの…っ」
「なんだ」
祐羽はひとつ小さく深呼吸をすると、何とか声を絞り出した。
僅かな音だったが九条には十分に届いた様だった。
じっと自分の話の続きを待ってくれている。
もう声を掛けたが最後。
疑問を投げ掛け、答えを貰わないと先にも後にも身動きが取れない。
祐羽は視線をソッと伏せた。
「その…ずっと、九条さんに聞きたいことが…」
「遠慮せず言え」
なかなか本題に移れない祐羽に、九条が促してくれる。
お陰で言い易いとはいえ、答えが怖い事に変わりない。
答え次第で九条がどう出てくるか分からない。
だけど本当のところを聞きたくて…だけど自分の望む答えと違ったら?
不安が渦巻く中で祐羽は言った。
「九条さんは…ヤクザじゃない、別の会社の社長さんもしてますよね?」
「ああ。それがどうした?」
祐羽の問い掛けに九条はアッサリと認めた。
特に隠す事でもないからだろう。
最近のヤクザは表の会社も幾つも持っていたりするらしいのは、祐羽も調べて知ったからだ。
問題はその先だ。
「その…九条さんの会社ですけど、僕のお父さんの会社と、取り引きを始められましたよね?」
「…」
九条からは肯定も否定もない。
「…お父さんが言ってました。ずっと交渉してダメだったのに、自分が担当になった途端に大手の、九条さんの会社と提携が結べたって!」
脳裏にあと時の嬉しそうに笑う父・亮介の顔が浮かぶ。
この事を九条にぶつけてしまうと父の会社の提携がもしかしたら白紙に戻ってしまうかもしれない。
けれど、今はもう気遣ってはいられなかった。
「何で急に提携を?特別何も変わった事なんて無いのに…変わった事と言えば僕のお父さんが担当になっただけ。…もしも、僕を使ってお父さんから九条さんの会社に何か有利な条件を飲んで欲しいとか、そんな考えを持ってだったら…」
自分でここまで一気に言ってから、祐羽はその可能性が1番高いのではないか?
いや、これが九条の思い描いた道筋に違いないと思えた。
「そんな理由で僕とこうして会ってくれているなら…それは、そんなの…そんなの…っ」
九条が自分と会ってくれる理由が他に思い当たらず、唇を噛み締めながら言葉を吐き出す。
最後は目から溢れた何かが頬を流れた。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…