闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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告げる想い・5

その言葉に祐羽は動揺した。

九条が自分を手元に置きたいと言ってくれた。
縁を切りたかったはずなのに、自分の気持ちを自覚した今は嬉しくて、同時にその言葉が拠り所になった。
側にいられる。
居てもいい。
縁を切る必要など無いのだと。

嬉しいけれど、真意を図り損ねて戸惑ってしまう。
それに自分が都合よく解釈しただけなんじゃ…という疑心暗鬼。
そんな祐羽に構うことなく、九条はキスした唇に指を優しく滑らせた。
九条の指先が触れているだけで微かに震えてしまう。
嬉しさと恥ずかしさと期待と不安。
さっきまで聴こえていたはずの周囲の風の音も船の行き交う音も、浪の音さえも聴こえない。
ここには九条と自分のふたりだけで、今聴こえるのは自分の心音だけだった。

暫く沈黙の中で見つめ合った。

その恐ろしい程に静かな空間で、九条が形の良い唇で低く甘くいつもより魅惑的な声で囁く様に告げた。


「祐羽。…お前が好きだ」


真摯な瞳で声で愛を囁かれ、その言葉に次の瞬間には止まっていたはずの涙が再び頬を伝った。
漸く自覚した自分の気持ち。
駄目な事だと抑えようとした気持ちを言葉を九条が口にしてくれた事で認めてもいいという、許されたと嬉しさが弾ける様に溢れ出た。

「男で子どものお前をまさかと思い否定し、忘れようとしたが…出来なかった」

自分とは違うけれど、同じ様に忘れられなかった九条。
祐羽の頭の中を九条がずっと占めていた時間と同じ様に九条もまた、祐羽の事に囚われていたのだ。

九条さんも同じだった…。

祐羽の胸にゆっくりと暖かいものが込み上げてきた。

九条は悔しそうに表情を浮かべながら身を起こした。
それから九条は一瞬だけ逡巡するが諦めた様に少し自嘲し、それから真っ直ぐと祐羽を見た。

「一目見たときから…ってヤツだな…」

 九条が目を優しく細めてそう囁いた。
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