闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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その声に一瞬目を丸くした祐羽だが、改まると口を開いた。

「あ、うん。え~っと、僕のこ……、僕の迎えに来てくれたんだ」

こ?その後の間は何だ…。

「祐羽、帰るぞ」

「あっ、はい!すみません!!」

九条に名前を呼ばれて祐羽が慌てた様子で返事をする。

「それじゃぁ僕、帰るね。今日はありがとう!」

そう笑顔で言うと、祐羽はそそくさと小走りに車に近づいて行く。

「また連絡するね~っ!」

1度こっちに顔を向けて手を振った。
駆け寄った祐羽を先程の男が抱き寄せる。

え?抱き寄せた?

ふたりは目を見開いた。

しかも顔を寄せるシルエットが見えたが…気のせいか?

キスしてた?
いやいや、まさか…!

考えたくなくて、ふたりは全力否定した。

でもこちらをチラッと投げた男の顔が意地悪く自分達を見たのは気のせいではない。

マジか?
ていうか、何だあの顔は~~~腹立つ!
あのふたり……いや。信じないぞ、俺は!!

慶太郎と直人はふたり揃って心で強く思った。

「く、九条さんっ…やめてくだ…あっ!ふ、ふたり共っ…バイバイ!またね!!」

乗り込んだ祐羽がかなり慌てた様子で男に注意をしている。
それから窓から顔を出して、自分達に声をかけてきた。
困った様な上気した赤い顔…なんかエロっぽく見えてしまうのは気のせいだろうか?

子どもっぽいのに、その顔は…。

そんな祐羽は、見送るふたりに名残惜しそうに手を振って、去って行った。

「あれ…ヤバくないか?」

手を軽く振り返し見送る。
そしてひと息ついた直人のことばに慶太郎が素直に首肯く。

「やっぱ?確実に玄人さんじゃねぇの?」

「…」

「…」

沈黙するふたり。

昔から何処か不思議で呑気な祐羽に癒されてきたが、今回は逆に肝を冷やした。

「取り敢えず近いうちにまた3人で集まろうぜ」

「…だな」

相手がどんなヤツかはっきりしてないしな。
祐羽の身を案じて、ひとまず淡い想いに今は蓋をする直人と慶太郎なのだった…。
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