闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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元・祐羽付きの中瀬から料理下手と聞いてはいたが、本当にヘタクソ…なのだ。
しかも一向に上達する気配がみられないので、組員の心労は増すばかりだった。

「大丈夫です。前回とは違って今度は動画つきのレシピ観て間違えない様に作るんで」

えへへと笑ってさっそく料理開始をしたものの「あーっ」「わーっ」「あれっ?おかしいな…」という賑やかさで完成したのは、崩れ…ぐちゃぐちゃになった卵焼きと、市販のだし入り味噌のお陰で何とか無事なお味噌汁。

「できた~!卵焼きは失敗したけど、お味噌汁は大成功だ」

嬉しそうな姐さんの笑顔を見ながら組員は溜め息をついた。
これでは全く足りないので、祐羽が盛り付けたりしている隣で組員がさっそく追加で調理した。

「九条さん、ご飯どーぞ」

「ん」

嫁の料理が下手なのは今に始まったことではないし、付き合い始めより上達したので少々は気にならない。
旦那様の九条は余裕で完食だ。
そんな旦那様の鏡である九条に、益々尊敬の念を禁じ得ない組員達であった。

そんな九条を祐羽は組員と共にお見送り。

「いってらっしゃいませ」

颯爽と部下を引き連れて出社する九条の背中を見送った祐羽。
九条は今日から1泊2日の出張だ。
少ししんみりしつつ祐羽は屋敷の掃除を開始した。
とはいえここは九条の家なので、何匹ものお掃除ロボットがお利口にゴミを食べて縦横無尽。
広いのでロボット達も気持ちよく綺麗な廊下をあちこち散歩している。

「おーい。ここにゴミが落ちてるよ~ほら、ここ、ここ。おいでぇ~」

そんな祐羽を組員が棚の上を掃除しながら呆れつつ眺めていれば、あっという間に時計は10時。

「ねぇ皆。おやつの時間だから休憩しようよ」

祐羽の提案で一緒にお茶タイム。
事務所ではこうはいかないので、屋敷の組員は結構この頼りない姐さんに好意的だった。
まぁ、頼りないを通り越して天然というかバ…ゲフンゲフンッ…困ることも多いが。

「九条さん、もう飛行機に乗ったかなぁ…」

「明日には帰って来られますんで、それまでの辛抱ですよ!」

「うん…そうだね」

出張といっても近県なので明日には帰ってくるのだが、やっぱり寂しいものは寂しいのだ。
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