闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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「あぁっ、まだ2ヶ月しか経っていないのに。クラスがヤバイんですけど…泣きたいです…」

とある放課後。
職員室で愚痴る佐藤に、他の保育士が声を掛ける。

「今年は特に大変ね。摩波呂くんは去年からあんな感じだったけど、余計に。佐藤先生は初めての5歳の担任だから、これからよ」

「相談しなさいよ!?」

「ありがとうございます。すみません…。私の関わり方がいけないのかも…」

佐藤は一気に憂鬱を纏ってしまった。



翌日。
佐藤は何とか表情を貼り付かせて居た。

目の前には摩波呂の母親が。
ツンとした顔と口調でクレームを入れていた。
内容は摩波呂から聞いたという話で、半分は摩波呂自身が友達にやった意地悪だ。
けれど、母親はスッカリ鵜呑みにしており佐藤の話は一向に聞いてはくれない。

話がたくさん出来るからだろう。
9時過ぎにやって来て、かれこれ15分。
その間にも子どもの様子を見守りながら、摩波呂の母親の相手もしなければならない。

そして最後には「所長先生に言っておきますから!!」と怒りながら帰っていった。
もちろん摩波呂を普通に預けて…。

佐藤は通常の保育でも大変なのに、こう定期的にやって来られても朝は特に忙しく話し合いにならない 。
半分は理不尽な苦情を言ってくる摩波呂の母親に頭を抱えた。

佐藤の心はボロボロ。
涙が溢れてきて、見られまいとハンカチで拭おうとしたが、手から床へと落ちてしまった。

拾う気力もなく、膝が崩れそうになった寸前だった。


「佐藤先生、これ落ちた」


綺麗に澄んだ男の子の声がした。

「涙拭けよ」

目の前には一臣が居た。
ハンカチを無表情で差し出し、佐藤を黒くて綺麗な目で見ていた。

「早くしろよ、化粧落ちるぞ」

その言葉にクスッと笑ってしまった。
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