闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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「こちらでございます」

そうして案内された部屋はホテルの中でも最上級の物に違いなかった。
ドアの向こうには広々とした空間が広がっており、高価な調度品で整えられていた。
ソファだけでも前方と後方に違うタイプが備え付けてあり、その奥にもまたヨーロッパ調のダイニングセットが見えた。

この部屋だけでも十分広いというのに、奥にも別の部屋があることが分かり祐羽はキョロキョロを解禁していた。

これってスイートルームかな?
きっとそうだ。
広いし、なんか普通の部屋と違って凄いもんね。
祐羽が側に飾ってある置き物に目をやる。

九条の家の方が広いし、家具もそれなりに高いことは分かっていても、今では安心感から普通に触ったり使っている。
しかし外出先となれば話は別で、こうも見た目がキラキラした物だと壊したらどうしよう…という思いが先に来てしまう。

これは絶対に触らないでおこうと、祐羽は少し距離を取った。

「それでは社長。1時間後にまたお伺いさせて頂きます」

九条が使い方の案内を断り、部下に2時間後の出発を言い渡すと、頭を下げて皆は出ていった。
荷物は中瀬達が運び入れてくれ、荷解きしてくれたので正直やることは部屋探検しかない。

「九条さん!街がよく見えますよ」

さっそく大きく開放的な窓から外を眺める。
すると隣に九条が立ち一緒に外を見る。

正直、九条の家から見たきらびやかな夜景には敵わないが、ここから見る青い空と緑に普段見ることの無い景色はまた違った感動を与えてくれる。
それが恋人との初めての旅行となると、感慨深い物があった。

「おい」

「はい?」

街並みを眺めていると、九条に呼び掛けられて返事をする。
見上げると九条がこちらに視線を向けていた。

「疲れてるだろう。1時間したら飯食いに出る。それまで休め」

気遣う言葉に嬉しさから頬が緩んだ。

「ありがとうございます!」

へへっと笑いながら伝えると、九条に頭をワシワシと撫でられる。

これ、やっぱり好き。

頭を撫でられながら慈しむ様に見つめられるこの時が心底好きで、祐羽はもっとして欲しいという思いを込めて自分から頭を傾けた。
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