闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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水分補給を終えた一行は、厳島神社本殿に向かって再び歩き出した。
観光客の間をぞろぞろ並んで歩くと目立ちすぎると眞山から追い払われて、むさ苦しい男達は後ろから警戒しながら着いて来た。

最初は気にしていた祐羽だったが、組員から気にしないで欲しいと頼まれたので(組員さん同士で楽しみたいのかも)と納得した。
実際のところは違うのだが…。

祐羽と九条が並んだ数歩が後ろを眞山と中瀬、そして柳が付いた。
途中、青い空を見上げたり建造物を見つけて寄り道。

「あっ!凄い!!」

歩き始めて暫くすると、海の向こうに大きな赤い鳥居が見えてきた。
普段は海の中に立っているが、潮の引いている今は多くの観光客が歩いて鳥居の側まで行っているのが分かる。

「後で鳥居のところへ行きませんか?」

塀の近くまで寄り、並んで遠くに聳える鳥居を眺めながら祐羽は言ってみる。

「そうだな」

九条の快諾を得て、祐羽は楽しみを胸にスマホで鳥居を撮影した。
すると、眞山が「おふたりをお撮りしましょうか?」と提案してきた。
周囲を見れば、観光客が大鳥居を背景に撮影している。

九条さんと一緒に?
わーわー、凄い!!
思い出になるよね、嬉しい、けど…。

その提案に嬉しくなって笑顔を見せた祐羽だったが、次には笑顔を引っ込めた。

…九条さん、写真好きじゃないみたいだし。

どうだろうか、と隣を見上げてみれば、九条がヒョイと祐羽からスマホを取り上げた。

「あっ!」

「撮るだろう?」

九条が大きな手に持ったスマホを眞山へ渡しながら、祐羽に微かにこちらへ微笑んだ。
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