699 / 1,010
17
何も知らない素人の祐羽に話せる内容はない。
もちろん中瀬も別の組織の人間ではあるが、紫藤と九条の仲なので大まかになら伝えられるが。
それとは別に、外崎には詳しく話せない別の理由もあった。
「少し隆成さんが大きく幅を広げてきたのを面白くないと思ってる組が少なからずありますね。かと言ってどこの組だとの確証はありませんが」
外崎は紫藤の秘書という名目だが、身内との会合以外は全くといっていい程に連れて行って貰えていない。
加えて肝心な事は一切教えて貰えず、いざ相手側へ行く算段になっても留守番を言いつけられ自宅で待機ばかりの日常だからだ。
それを中瀬に言うのは、自分があまり紫藤から宛にされてないと、役立たずだと思われていると明かす様でなかなかハッキリとは言えなかった。
外崎としては秘書として右腕として紫藤の役に立ちたいのに、思うようにはいかない。
「それを言ったらうちも同じです。会長は尊敬はもちろんですけど、同じく嫉妬も抱かれ易いので…。紫藤組の問題なら外崎さんだけで十分なのに俺まで拉致されたってことは、人違いとはいえ旭狼会へも関係あるってことか…」
中瀬と外崎の神妙な顔を見ながら、祐羽もこれがヤクザ同士の権利争い等により、その人質として拐われたということは理解した。
「交渉次第とは思うけど、確実に助かる保障はないんだよな…。今は殺しはリスク大きいから滅多にないだろうけど」
「決裂した時もしかしたら私達は帰して貰えないか、キレた相手に暴力は加えられるかもしれませんね」
外崎の話に耳を傾けていた祐羽は、また暴力を振るわれるかもしれない恐ろしさを感じて自然と手の先が震えてしまう。
「あとは私達のせいで隆成さん達が殺されてしまう可能性だって…」
「!!」
外崎の言葉に祐羽は大きく動揺した。
自分だけでなく逆に九条も危ないかもしれないという、それは思いもしなかった。
助けに来てくれると信じて疑わなかったが、よく考えれば相手は普通の会社員ではない。
仕事の取り引き相手との交渉が上手くいかなくても命は大丈夫だが、これは違うのだ。
死…、死ぬの?
「下手すると俺達も会長達も無事では済まない。何とか逃げられたら一番だけど…」
九条さんが、もしかしたら死ぬかもしれない?
祐羽の頭の中は一気にその事で支配されてしまう。
もちろん中瀬も別の組織の人間ではあるが、紫藤と九条の仲なので大まかになら伝えられるが。
それとは別に、外崎には詳しく話せない別の理由もあった。
「少し隆成さんが大きく幅を広げてきたのを面白くないと思ってる組が少なからずありますね。かと言ってどこの組だとの確証はありませんが」
外崎は紫藤の秘書という名目だが、身内との会合以外は全くといっていい程に連れて行って貰えていない。
加えて肝心な事は一切教えて貰えず、いざ相手側へ行く算段になっても留守番を言いつけられ自宅で待機ばかりの日常だからだ。
それを中瀬に言うのは、自分があまり紫藤から宛にされてないと、役立たずだと思われていると明かす様でなかなかハッキリとは言えなかった。
外崎としては秘書として右腕として紫藤の役に立ちたいのに、思うようにはいかない。
「それを言ったらうちも同じです。会長は尊敬はもちろんですけど、同じく嫉妬も抱かれ易いので…。紫藤組の問題なら外崎さんだけで十分なのに俺まで拉致されたってことは、人違いとはいえ旭狼会へも関係あるってことか…」
中瀬と外崎の神妙な顔を見ながら、祐羽もこれがヤクザ同士の権利争い等により、その人質として拐われたということは理解した。
「交渉次第とは思うけど、確実に助かる保障はないんだよな…。今は殺しはリスク大きいから滅多にないだろうけど」
「決裂した時もしかしたら私達は帰して貰えないか、キレた相手に暴力は加えられるかもしれませんね」
外崎の話に耳を傾けていた祐羽は、また暴力を振るわれるかもしれない恐ろしさを感じて自然と手の先が震えてしまう。
「あとは私達のせいで隆成さん達が殺されてしまう可能性だって…」
「!!」
外崎の言葉に祐羽は大きく動揺した。
自分だけでなく逆に九条も危ないかもしれないという、それは思いもしなかった。
助けに来てくれると信じて疑わなかったが、よく考えれば相手は普通の会社員ではない。
仕事の取り引き相手との交渉が上手くいかなくても命は大丈夫だが、これは違うのだ。
死…、死ぬの?
「下手すると俺達も会長達も無事では済まない。何とか逃げられたら一番だけど…」
九条さんが、もしかしたら死ぬかもしれない?
祐羽の頭の中は一気にその事で支配されてしまう。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…