闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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  あっ、ボール。と祐羽が取ろうとするより先に機敏な中瀬が拾って女性に差し出した。
「あっ、ありがとうございますぅ!」
  中瀬の爽やかなイケメン具合に気づいた相手が明らかに声をワントーン上げた。
  しかし、女嫌いな中瀬は「いえ」と真顔で一言告げるとサッサと踵を返して歩き出す。
「あの人イケメンだった~」と他のメンバーに報告すると、残りのふたりもキラキラした視線で見送ってきたが、男達は面白くなさそうに中瀬を見ていた。
「さすが中瀬さん、イケメンだぁ。サッとボールを拾って。何してもカッコイイなぁ」
「うんうん。中瀬くんって本当に何してもイケメンだよね」
「顔もですけど、何かする時いつもスマートですし、色んなこと知ってるし」
「尊敬しちゃうよね。僕も憧れちゃうよ」
  祐羽の意見に外崎が同意して頷いていれば、中瀬が立ち止まり振り返った。
  眉間に少し皺を寄せている。
「ちょっとちょっと、そんなに褒めても何も出ませんよ?っていうか、よくもペラペラお世辞が次から次へと、」
「お世辞じゃないです!」
「そうだよ。お世辞じゃないよ!」
  ふたりが心外だ!僕達は心からそう思ってるんだ!!と心の声を顔に表しつつ抗議の声を上げて詰め寄れば、中瀬が「ううっ、コイツら…」と白旗を上げた。
「天然で純粋なのが一番質が悪い」
  何のこと?と小首を傾げるふたりを引き連れて隣のコートへ。
  そして三人はさっそく目的のテニスをすることにした。
「俺がコーチだ!ふたりとも特訓に着いて来いよ?目標はもちろん全国制覇だ!!」
「「はい、コーチ!!」」
  とんだ茶番劇が始まった。
「おらっ、外崎!」
「はいっ!」
  声の荒々しさとは違い、中瀬は優しく打つ。 
  その球を外崎が上手く合わせて打ち返し、暫くラリーが続く。
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