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声
「…おい」
さっきとは別の男の声がした。
「く、九条…」
その声に祐羽の上に乗っていた竹中は、呟きながら慌てて体を起こす。
体の上から竹中が居なくなり圧迫感もなくなる。
祐羽はひとつ息を吐いた。
どうやら今、声を掛けてきたのが九条という男らしい。
「この俺が何でこんな湿気た場所に顔出したか、分かってんだろうな?」
地を這うような低い声が、祐羽の鼓膜を叩いた。
怖いのと同時にその魅惑的な声音に、不思議な気持ちが沸き起こる。
この声の持ち主を見てみたい…。
この状況から考えられることは、絶望的によくないということ。
それは分かっている。
今この場所から逃げ出すにはどうしたらいいのか考えなければいけないというのに、祐羽は何故か声の主が気になって仕方なかった。
「い、いや…何であんたが来たのか」
「分かんねぇとか言うんじゃぁ…ねぇだろうな?」
竹中の言葉に被さるように、男が益々低い声で詰め寄った。
「山路んトコの若頭に、よからぬ相談持ちかけたって聞いたが…ありゃ、デタラメか?」
「ひっ‼いや、それ、それは何かの間違いで…‼」
竹中が慌てて言い訳を探すが、訂正する為の答えは出ない。
「そうか…ならその間違いが何なのか説明して貰おうか」
「い…っ、くそっ‼ おい、岡田ぁーッ‼ お前ら何してやがる‼」
竹中が慌てた様子で立ちあがる。
そして、隣の事務所に詰めているだろう部下の名前を大声で叫ぶ。
側に居た祐羽は、その大声量に思わず身を竦めた。
「岡田‼ 田辺ーッ‼ 益川はどうした⁉」
誰一人として返事が無い。
「他に誰か居ねぇのか‼⁉ 」
しかし、それに返事した者が居た。
「竹中組長。あなたの下の者たちは来れませんよ」
「な…っ⁉」
その声は先ず初めに、竹中に話し掛けてきた人間のものだった。
近くに座っている男は何も発しない。
「来ないのではなく、来れないのですよ」
「な…あ…?」
理解の範疇を越えたのか、竹中が間抜けな声を出した。
「ほら、ご覧になれますか?」
キイッ…
「ヒイイイイイイイッあぁぁぁ、ぁっ…‼‼‼」
その言葉の後に、ドアの開く音と竹中の悲鳴めいた声が響いた。
益々恐ろしい事が起きたと気がつき、祐羽はソファの上で体を小さく丸めて両耳を押さえて、この現実から逃避しようと目をギュッと力いっぱい閉じた。
どうして僕がこんな目に合わなきゃいけないの⁉
何にも悪いことしてないのに‼
そんな風に思いながら、祐羽は本気で泣きたい気持ちを圧し殺していた。
さっきとは別の男の声がした。
「く、九条…」
その声に祐羽の上に乗っていた竹中は、呟きながら慌てて体を起こす。
体の上から竹中が居なくなり圧迫感もなくなる。
祐羽はひとつ息を吐いた。
どうやら今、声を掛けてきたのが九条という男らしい。
「この俺が何でこんな湿気た場所に顔出したか、分かってんだろうな?」
地を這うような低い声が、祐羽の鼓膜を叩いた。
怖いのと同時にその魅惑的な声音に、不思議な気持ちが沸き起こる。
この声の持ち主を見てみたい…。
この状況から考えられることは、絶望的によくないということ。
それは分かっている。
今この場所から逃げ出すにはどうしたらいいのか考えなければいけないというのに、祐羽は何故か声の主が気になって仕方なかった。
「い、いや…何であんたが来たのか」
「分かんねぇとか言うんじゃぁ…ねぇだろうな?」
竹中の言葉に被さるように、男が益々低い声で詰め寄った。
「山路んトコの若頭に、よからぬ相談持ちかけたって聞いたが…ありゃ、デタラメか?」
「ひっ‼いや、それ、それは何かの間違いで…‼」
竹中が慌てて言い訳を探すが、訂正する為の答えは出ない。
「そうか…ならその間違いが何なのか説明して貰おうか」
「い…っ、くそっ‼ おい、岡田ぁーッ‼ お前ら何してやがる‼」
竹中が慌てた様子で立ちあがる。
そして、隣の事務所に詰めているだろう部下の名前を大声で叫ぶ。
側に居た祐羽は、その大声量に思わず身を竦めた。
「岡田‼ 田辺ーッ‼ 益川はどうした⁉」
誰一人として返事が無い。
「他に誰か居ねぇのか‼⁉ 」
しかし、それに返事した者が居た。
「竹中組長。あなたの下の者たちは来れませんよ」
「な…っ⁉」
その声は先ず初めに、竹中に話し掛けてきた人間のものだった。
近くに座っている男は何も発しない。
「来ないのではなく、来れないのですよ」
「な…あ…?」
理解の範疇を越えたのか、竹中が間抜けな声を出した。
「ほら、ご覧になれますか?」
キイッ…
「ヒイイイイイイイッあぁぁぁ、ぁっ…‼‼‼」
その言葉の後に、ドアの開く音と竹中の悲鳴めいた声が響いた。
益々恐ろしい事が起きたと気がつき、祐羽はソファの上で体を小さく丸めて両耳を押さえて、この現実から逃避しようと目をギュッと力いっぱい閉じた。
どうして僕がこんな目に合わなきゃいけないの⁉
何にも悪いことしてないのに‼
そんな風に思いながら、祐羽は本気で泣きたい気持ちを圧し殺していた。
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