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予定変更
次の目的地でもある企業会長との会食へ向かう車内は、異様な空気が漂っていた。
正確にいうと、先程の中瀬からのメールがあってからというもの九条から発せられるオーラが恐ろしくイラついているのだ。
慣れたとはいえ、眞山の心臓への負担は多少なりともある。
社長でもある九条の機嫌が悪いと、多方面へと影響が出るのは分かりきっていた。
企業経営には辣腕を奮う男だが、部下への心身の負担はその分大きくなる。
九条は出来た男で、今までもプライベートと仕事は割りきっており一切持ち込んだことはない。
いいのか悪いのか、仕事において私情では動くこともないし、感情的にもならない。
しかし、今回はどうも様子がおかしい。
思い当たるのは、あの少年・祐羽だ。
眞山は平然を装いつつも、内心首を傾げていた。
相手はどこにでもいそうな普通の少年だ。
普通では無かったといえば、何故かヤクザ者に慰みものにされかけていたという点。
後々あの男たちから聴いてあの場に居た理由は判った事だが、それにしても九条が気にするほどの相手だろうか。
あの時、九条の力を受けた祐羽は気を失ってしまった。
普段なら放って気にも留めないだろう九条が、抱え起こしたのを見て驚いたのは自分だけでは無いはずだ。
慌てて自分が受け取ったが、九条は何か言いたそうに、一瞬祐羽を渡すのに間があった。
違和感を覚えつつも祐羽を受け取った。
九条は、そのまま無言でその場を離れたが…。
お陰で、暇ではない自分も祐羽の入院手続きから目覚めの確認までする羽目になった。
部下に任せておけばいいのは分かっていたが、九条の様子を敏感に察知して、自主的に動いたのだ。
間違いでは無かった様だ。
月ヶ瀬祐羽という少年の身辺調査を今しがた部下にメールで指示を出した。
いつ何があっても対応出来るだけの情報を眞山は、脳内にインプットしていなければならない。
そうでなければ、この九条という男の右腕など到底務まるものでは無かった。
緊迫感の充満した車内において、着信を告げるバイブ音が微かに響いた。
「…何だ」
眞山は素早く相手を確認すると、短く声を返した。
相手は中瀬だったからだ。
何か進展があれば連絡を直ぐ入れるように、指示をしていたのだ。
こうして連絡が入ったという事は、祐羽に何かしらあったという事を伝えていた。
「何?」
内容を聞いてから、眞山は頭を抱えた。
どうやら月ヶ瀬祐羽という少年は、こちらの世界に縁のある人物の様だ。
「…そのまま張りついていろ。場所を詳しく伝えてくれ」
簡単な指示を出して通話を終えると、眞山は目を閉じた。
これは伝えるべきか、どうか。
組とは、会社とは無関係の一般人。
その相手の為に、時間を割いて行くべき事なのか。
そんな風に思ったのは一瞬で、眞山は一番正しいと思われる選択をした。
「社長。中瀬から昨夜の月ヶ瀬祐羽が、またトラブルに巻き込まれていると報告が入りました」
書類に視線を落としていた九条が、ゆっくりと顔を上げた。
「…キャンセルしろ」
一拍置いて、九条がそう言った。
「分かりました。行き先を変更しろ。場所は…」
九条に頷き返すと、運転している部下へと指示を出す。
今夜の予定は変更となる。
眞山は適当な言い訳を頭に浮かべながら、予定のあった相手へと電話を入れるのだった。
正確にいうと、先程の中瀬からのメールがあってからというもの九条から発せられるオーラが恐ろしくイラついているのだ。
慣れたとはいえ、眞山の心臓への負担は多少なりともある。
社長でもある九条の機嫌が悪いと、多方面へと影響が出るのは分かりきっていた。
企業経営には辣腕を奮う男だが、部下への心身の負担はその分大きくなる。
九条は出来た男で、今までもプライベートと仕事は割りきっており一切持ち込んだことはない。
いいのか悪いのか、仕事において私情では動くこともないし、感情的にもならない。
しかし、今回はどうも様子がおかしい。
思い当たるのは、あの少年・祐羽だ。
眞山は平然を装いつつも、内心首を傾げていた。
相手はどこにでもいそうな普通の少年だ。
普通では無かったといえば、何故かヤクザ者に慰みものにされかけていたという点。
後々あの男たちから聴いてあの場に居た理由は判った事だが、それにしても九条が気にするほどの相手だろうか。
あの時、九条の力を受けた祐羽は気を失ってしまった。
普段なら放って気にも留めないだろう九条が、抱え起こしたのを見て驚いたのは自分だけでは無いはずだ。
慌てて自分が受け取ったが、九条は何か言いたそうに、一瞬祐羽を渡すのに間があった。
違和感を覚えつつも祐羽を受け取った。
九条は、そのまま無言でその場を離れたが…。
お陰で、暇ではない自分も祐羽の入院手続きから目覚めの確認までする羽目になった。
部下に任せておけばいいのは分かっていたが、九条の様子を敏感に察知して、自主的に動いたのだ。
間違いでは無かった様だ。
月ヶ瀬祐羽という少年の身辺調査を今しがた部下にメールで指示を出した。
いつ何があっても対応出来るだけの情報を眞山は、脳内にインプットしていなければならない。
そうでなければ、この九条という男の右腕など到底務まるものでは無かった。
緊迫感の充満した車内において、着信を告げるバイブ音が微かに響いた。
「…何だ」
眞山は素早く相手を確認すると、短く声を返した。
相手は中瀬だったからだ。
何か進展があれば連絡を直ぐ入れるように、指示をしていたのだ。
こうして連絡が入ったという事は、祐羽に何かしらあったという事を伝えていた。
「何?」
内容を聞いてから、眞山は頭を抱えた。
どうやら月ヶ瀬祐羽という少年は、こちらの世界に縁のある人物の様だ。
「…そのまま張りついていろ。場所を詳しく伝えてくれ」
簡単な指示を出して通話を終えると、眞山は目を閉じた。
これは伝えるべきか、どうか。
組とは、会社とは無関係の一般人。
その相手の為に、時間を割いて行くべき事なのか。
そんな風に思ったのは一瞬で、眞山は一番正しいと思われる選択をした。
「社長。中瀬から昨夜の月ヶ瀬祐羽が、またトラブルに巻き込まれていると報告が入りました」
書類に視線を落としていた九条が、ゆっくりと顔を上げた。
「…キャンセルしろ」
一拍置いて、九条がそう言った。
「分かりました。行き先を変更しろ。場所は…」
九条に頷き返すと、運転している部下へと指示を出す。
今夜の予定は変更となる。
眞山は適当な言い訳を頭に浮かべながら、予定のあった相手へと電話を入れるのだった。
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