闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
28 / 1,010

夜の世界

  無理矢理握りこまされたスマホを虚無感と共に見つめる。
  これから一体どうなるのか。
  想像もつかない酷い仕打ちが、待ち受けているに違いない。

  祐羽の想像力は曖昧で、テレビで聞き齧った程度のものだ。
  遠くもないが、合致しているとはいえない。

  オレオレ詐欺は回避したとはいえ、もうひとつの仕事が待っている。

「おい。この番号を登録しとけ」

  森田が言いながら紙切れを寄越す。
  乱暴ななぐり書きで、数字が羅列されている。

「今度からこの番号から連絡が入ったら、お前は指定の場所へ行け」

「え…」

「え、じゃねぇよ。お前は連絡受けたらそこへ行って、お客相手に足開くんだよ」

  森田がそう言うと、津野が楽しそうに笑った。

「セックスだよ、セックス‼」

「…せ、くす?」

  祐羽の鈍い反応に、津野は益々前のめりに教えてきた。

「客とエッチな事をして、金をたっぷり貰うお仕事だよ~。エロオヤジが沢山可愛がってくれるぜ~。気持ちよくて、金を貰えて楽な仕事だ‼」

  津野は笑いながら椅子の背凭れに、ふんぞり返った。

「よし。さっそく今日から客をとってもらうからな」

「えっ⁉ 嫌です‼それに無理です‼」

  祐羽が唇を噛み締めながら抵抗すると、森田は顔を歪めて睨んできた。

「無理じゃねぇんだよ‼ 契約書にお前はサインしたんだ。だったら従うしかねぇだろうが‼ あぁっ⁉」

  ドスの利いた恐ろしい口調で捲し立てられて、祐羽は恐怖から目尻に涙を浮かべた。
  それでも睨み返すのを止めなかった。

「一回体売っちまえば、後は気にならなくなるからな‼ オラッ、こっちに来い ‼」

「わぁっ⁉ぐっ、う…っ」

  華奢な祐羽は首根っこを掴まれると、苦しさからズルズルと森田へ着いて行く形になる。

「おい、俺だ。これから新人を客に提供するから、テキトーに見繕っとけ。十分したらソッチへ着く。じゃぁな」

  祐羽を片手に引っ張りながら、森田はスマホで何処かへと連絡を入れ通話を終える。

「お前は若いから需要たっぷりだろうよ‼」

  森田は今にも口笛を吹き始めそうな様子で、そう言った。

  祐羽はここにきて、自分の浅はかさに気がついた。

  こうして、いち高校生である祐羽は、夜の闇へと突き落とされるべくネオンの街へと背中を押されたのだった。
感想 162

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。