闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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琴線

話を聞いた限り、あの無敵ともいえる最強の男である九条の足蹴りを本来の力よりも随分加減されていたとはいえ、まともに受けたらしい。

想像するだけで恐ろしい。

死ななくて良かった。

そんなことで、九条が逮捕などされてはたまったものではない。

我らがカリスマ。
最高にして最強の男。
彼以外に命を捧げられる相手は居ない。

中瀬にとっては眞山も命を捧げられる相手だが、九条もまた尊敬してやまない男だった。

少しすると、眞山が病室から出てきた。
中瀬は背筋を伸ばして、眞山の顔を見つめた。

「中瀬。頼んだぞ」

そうすると眞山は用件だけを伝え、後は任せたと足早に病院を後にしてしまった。

入れ違いに病室へと入る。

「ちぇっ」

思わず舌打ちしてしまった。

せっかく久し振りに会えたと思ったら、ほんの一時間。
いや。正確に言うと祐羽の事を簡単にだが調べていた時間が引かれると二十分も無い。
それに眞山は仕事を抜けていた分忙しく、病院でも外で連絡を取ったりしていたので、話をする余地は無かった。

「あ~ぁ…せっかく会えたのになぁ」

思わず愚痴ってしまった。
けれど余りにも小さかった為か、祐羽には運よく聞こえていなかった様だ。

それにしても…と、中瀬はベッドに座る少年をまじまじと見つめた。

どこからどうみても男だ。

高校生と言われたが、下手をすると中学生でも通じそうだった。
顔は可愛いタイプだろうが、幼い子どもの様なあどけなさを感じる。
九条からすれば美少女も美女も見慣れているのだから『顔が』ということはないだろう。
ましてや男で、色気など皆無。

どちらにしても、九条の琴線に触れたということは、重要人物になる。
九条本人が無自覚でも、眞山には特別な存在として認識される。
だから、わざわざナンバー2である眞山が病室に付き添っていたのだ。

九条が気にするだけあって、何かがあるのだろうか。

しかし、この短時間で祐羽の『どこが』というのは分かるはずもなく、必要な事だけを告げると部屋を出た。
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