二度目の恋

櫟 真威

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クリスマスが近づいてきた。
私は真奈美に手編みのスヌードを贈ることにした。
ショッピングモールにある手芸店でモヘアのベビーピンクをいくつか購入。
当麻にも何か編もうかな。
輪針があればスヌードも簡単に編めるのです。
不器用の味方、輪針。

「三ノ宮さん」

彼女だ。
手芸店に来るタイプとは思えなかったけど。
彼女は私がかごに入れたベビーピンクの毛糸を見てにやにやと笑っている。

「新しい彼には捨てられちゃったの?
可哀想に」

「私は幸せだから、もう心配しなくていいよ」

「な……」

「自分のことだけ考えて」

彼女が真っ赤になるのを初めて見た。
そのまま黙って彼女は去った。
思えば、当麻も彼女に優しい言葉をかけていた。
当麻のそばにいることで、私もいい人に近づいている。
と思いたい。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

家でスヌードを編んでいると当麻が訪ねてきた。
あれから、お互いの家を行き来している。

「お、編み物?
なに?」

「スヌード。
マフラーの進化したやつ?」

「へえ。
ピンク、ってことは、枝野さんにだよね」

「当麻は何色がいい?」

「えっ、俺にもくれるの?
黄色、いやオレンジ、あーもう、なんか」

「じゃあビタミンカラーで探してみるね」

三色混じった毛糸もあったな、と売り場の景色を思い出しながら返事をする。
当麻は嬉しそうだ。
そして勝手知ったるキッチンでカップスープを作ってくれる。

私は今日、決心していた。
今のところ着衣のままでいちゃいちゃ、で当麻は許してくれてる。
一歩踏み出さねばと思うのだ。
恥ずかしい。
恥ずかしいけど、恐怖や辛さは払拭された。
当麻のお陰だ。
毛糸と一緒に買ってきた、ベビードール。
当麻がキッチンにいる間に部屋着を脱いだ。
中にベビードールを着ていたのだ。
恥ずかしくて、キッチンに背を向けたまま、当麻を待つ。
当麻がカップを持ってきた気配がした。

「あき……」

当麻は静かにカップを置いた。

「鼻血が出そう」

「えっ!
大丈夫っ?」

私は振り返りティッシュの箱を掴んだ。
当麻はそんな私を抱き締めた。

「あきらは可愛い……可愛すぎる……」

「当麻」

「俺のために、だよね、それ。
今日買ったばっかり」

「超能力っ」

「タグついてる」

「はわっ」

詰めが甘い私。
当麻は笑っている。
吐息が胸にかかるのでくすぐったい。

「クリスマスにとっておけばいいのに……」

「あっ」

そういう恋人っぽい演出、考えられなかった。
当麻は私の背中をさする。
着衣の時と同じ、慈しんでくれている。
この人を好きになってよかった。
私は目を閉じる。
太腿に輪針が当たった。

「痛っ」

二人で笑ってしまった。
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