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第1章
③理想と希望の施設では…
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「とりあえず、面談の続きの話をする前に謝るんだからなー?」
「………はい」
決して大きくは無いが
返事は返しておく。
一応相手先輩なので…
…まぁ…………ムカつくけど。
私は先輩に言われた通り
先程まで面談をしていた中原さんの元へと向かうことにした。
後にした職員室からは彩葉さんと先輩の言い合いが廊下まで響いており、また新たな言い合いが始まっているのが聞こえるが…詳しい話には耳を傾けることはしない。
「とりあえず…B棟にいるかな」
中原さんの居場所が分からない私は
とりあえずの案で、先程まで面談をしていたB棟の談話室に向かう。
カツカツとパンプスの音だけが廊下に響き渡り、その後には何も残らない。
ここの施設には物は少なく、そして職員も基本的に少ない。そのため、少数精鋭で効率よく運営をしている。
…というより、そうせざるおえない…という方が正しいだろう。
異世界転生が世間的に認められ始めたのはごく最近のこと
未だに信じ難い事実だが、異世界転生は存在してる…
存在…してしまっているのである。
しかし、病院やメンタルクリニックなど
生活に定着している施設とはここは違う。
異世界転生なんてしたいと思う人はほとんど居ないこともあり、職員もそのごく少ない異世界転生に関わりたいという変人だけが集まっている。
また、試験と面接での合格基準が一般的じゃないことも大きな原因の一つだろう。
私も合格した理由は未だに分からない。
合格した我々同期の特徴はほとんど合致していないし…それに、合わない人も多いし。
今更だけど…なんで私はここで働けてあるのだろうか…なんて考えることがよくある。
しかし、せっかく関われるようになった異世界転生…どんな理由があったとしても、私は仕事を辞めるつもりはない。
『あなたにとって異世界転生とは何ですか?』
あの時面接で言われた質問の答え
それが正しいと証明したいから。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しばらく歩み進め、大きな自動ドアの前までたどり着く
[B棟]
と大きく書かれたその扉は、私が近くによるとゆっくりと開き始めた。
職員室から施設利用者の部屋は他の部屋と比べれば決して遠くは無い。
しかし、この施設はA棟、B棟、C棟の3つに別れていることもあり、移動のためには少し時間を要すようになっている。
理由は沢山あるが一番の理由は
ひとりと時間を尊重していることだと言われている。
ここでの施設で最も大事に考えられているのが「しっかりと後悔のない決断を自分で行う」ということである。
そのため、そのサポートを行う我々職員だが、最後の決断をするのは彼ら利用者…クライアントである。
決断するための思考時間の確保
これを得るために、このようなめんどくさい…じゃなかった
配慮された構造になったとされている。
また、私がさっきまでいたのはA棟であり、A棟は比較的一般の人の利用者が多い。異世界転生について学びに来る実習生や施設利用の申し込み申請、受付などは基本的にここで行っている。
また、足腰の弱いご年配の方はここの棟を使うことになっているが…異世界転生なんて言葉を認知している利用者はまだ少ない。決していないとは言わないが、本当に少ない。
そのため、利用者のほとんどは一般か異世界転生に関わりたいと夢を持つ実習生だけだと言える。
それに対しB棟はA棟のま隣に存在する施設利用者の生活空間
それぞれの性格、目的に合わせた部屋を提供し、異世界転生に向けて正しい決断ができるような特別仕様である。
就任当初
ここまで必要なのか…?と考えることはあったものの、今思えば必要なんだなと心の底から思う。
ここに来る人は色んなことを背負い、決断をし…そして異世界転生を願う。
逆に言えば、中原さんのように目的が明確じゃない状態で利用を申請した人は少ない方だ。
…というより、私は初めて見た…。
だからこそ、あそこまで冷たく接してしまったのもあるのかもしれないし…密かに混乱が私の中で続いていたのかもしれない。
…でも、多分違う
なんであそこまで冷たくなってしまったのかは自分でも分からないけど、多分それだけじゃない。
多分、私の中の異世界転生のイメージと彼の異世界転生のイメージが大きく違ったからだ。
彼の救済という考えを逃げと表し
そして、戸惑う彼を置き去りにして…私の中で自己解決してしまった。
そういうことなんだろう…
自分の中の異世界転生へのイメージ
そして、他の人を助けたいというエゴという名の正義感が…私の中で渦巻いていたから………
納得いってしまいかけた、彼の考えを否定したかった。
そんな幼稚な理由であんなことを口にしてしまったんだと思う…
でも……それでも、やっぱり私は
彼にはまだ、もっと……っ!
ガラガラガラッ
「あ………、乃々…華さん………」
「……………中原さん…」
思考のさなか
おもむろに談話室の扉を開いた私は
いつもの席に座り続け、涙をうかべる中原隼人と遭遇した。
「………はい」
決して大きくは無いが
返事は返しておく。
一応相手先輩なので…
…まぁ…………ムカつくけど。
私は先輩に言われた通り
先程まで面談をしていた中原さんの元へと向かうことにした。
後にした職員室からは彩葉さんと先輩の言い合いが廊下まで響いており、また新たな言い合いが始まっているのが聞こえるが…詳しい話には耳を傾けることはしない。
「とりあえず…B棟にいるかな」
中原さんの居場所が分からない私は
とりあえずの案で、先程まで面談をしていたB棟の談話室に向かう。
カツカツとパンプスの音だけが廊下に響き渡り、その後には何も残らない。
ここの施設には物は少なく、そして職員も基本的に少ない。そのため、少数精鋭で効率よく運営をしている。
…というより、そうせざるおえない…という方が正しいだろう。
異世界転生が世間的に認められ始めたのはごく最近のこと
未だに信じ難い事実だが、異世界転生は存在してる…
存在…してしまっているのである。
しかし、病院やメンタルクリニックなど
生活に定着している施設とはここは違う。
異世界転生なんてしたいと思う人はほとんど居ないこともあり、職員もそのごく少ない異世界転生に関わりたいという変人だけが集まっている。
また、試験と面接での合格基準が一般的じゃないことも大きな原因の一つだろう。
私も合格した理由は未だに分からない。
合格した我々同期の特徴はほとんど合致していないし…それに、合わない人も多いし。
今更だけど…なんで私はここで働けてあるのだろうか…なんて考えることがよくある。
しかし、せっかく関われるようになった異世界転生…どんな理由があったとしても、私は仕事を辞めるつもりはない。
『あなたにとって異世界転生とは何ですか?』
あの時面接で言われた質問の答え
それが正しいと証明したいから。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しばらく歩み進め、大きな自動ドアの前までたどり着く
[B棟]
と大きく書かれたその扉は、私が近くによるとゆっくりと開き始めた。
職員室から施設利用者の部屋は他の部屋と比べれば決して遠くは無い。
しかし、この施設はA棟、B棟、C棟の3つに別れていることもあり、移動のためには少し時間を要すようになっている。
理由は沢山あるが一番の理由は
ひとりと時間を尊重していることだと言われている。
ここでの施設で最も大事に考えられているのが「しっかりと後悔のない決断を自分で行う」ということである。
そのため、そのサポートを行う我々職員だが、最後の決断をするのは彼ら利用者…クライアントである。
決断するための思考時間の確保
これを得るために、このようなめんどくさい…じゃなかった
配慮された構造になったとされている。
また、私がさっきまでいたのはA棟であり、A棟は比較的一般の人の利用者が多い。異世界転生について学びに来る実習生や施設利用の申し込み申請、受付などは基本的にここで行っている。
また、足腰の弱いご年配の方はここの棟を使うことになっているが…異世界転生なんて言葉を認知している利用者はまだ少ない。決していないとは言わないが、本当に少ない。
そのため、利用者のほとんどは一般か異世界転生に関わりたいと夢を持つ実習生だけだと言える。
それに対しB棟はA棟のま隣に存在する施設利用者の生活空間
それぞれの性格、目的に合わせた部屋を提供し、異世界転生に向けて正しい決断ができるような特別仕様である。
就任当初
ここまで必要なのか…?と考えることはあったものの、今思えば必要なんだなと心の底から思う。
ここに来る人は色んなことを背負い、決断をし…そして異世界転生を願う。
逆に言えば、中原さんのように目的が明確じゃない状態で利用を申請した人は少ない方だ。
…というより、私は初めて見た…。
だからこそ、あそこまで冷たく接してしまったのもあるのかもしれないし…密かに混乱が私の中で続いていたのかもしれない。
…でも、多分違う
なんであそこまで冷たくなってしまったのかは自分でも分からないけど、多分それだけじゃない。
多分、私の中の異世界転生のイメージと彼の異世界転生のイメージが大きく違ったからだ。
彼の救済という考えを逃げと表し
そして、戸惑う彼を置き去りにして…私の中で自己解決してしまった。
そういうことなんだろう…
自分の中の異世界転生へのイメージ
そして、他の人を助けたいというエゴという名の正義感が…私の中で渦巻いていたから………
納得いってしまいかけた、彼の考えを否定したかった。
そんな幼稚な理由であんなことを口にしてしまったんだと思う…
でも……それでも、やっぱり私は
彼にはまだ、もっと……っ!
ガラガラガラッ
「あ………、乃々…華さん………」
「……………中原さん…」
思考のさなか
おもむろに談話室の扉を開いた私は
いつもの席に座り続け、涙をうかべる中原隼人と遭遇した。
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