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第一章 入学編
アリアの秘密
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ハーティルティア様は、呆気に取られている私に目を向けました。
「そのバレッタ・・懐かしいわね」
「あなた・・名前は?」
「はっはい!!私は『アリア』と言います!!」
「そう、アリアちゃんね。私のことは気楽に『ハーティ』と呼んでね!」
無理です。
ただでさえハーティルティア様と会話するだけで心臓が止まりそうなのに、そんな畏れ多いことなんてできません。
それでしたら、レオンハルト殿下を『レオン』と呼ぶ方がまだマシです。
「ハーティルティア様・・流石にそれは無理な話かと」
そんな私の気持ちをリリス様が代弁してくれました。
「そう・・残念」
ハーティルティア様は本当に残念そうな表情をしています。
「はあ・・まあ仕方ないわね。それはさておき・・アリアちゃん、そのバレッタを見せてくれる?」
「あ、はい」
私は身に付けていたバレッタを外すと、手を差し伸べてきたシエラ様へ渡しました。
よかったです。
もし、ハーティルティア様に直接手渡しして肌に触れてしまったら、きっと私はそのまま緊張やら何やらで倒れてしまいます。
・・私にとってはシエラ様もへ触れるのも刺激が強いですが。
「ハーティさん、どうぞ」
そして、シエラ様はそのままハーティルティア様へバレッタを渡しました。
かつての勇者様が亡くなられた現在、この世界でハーティルティア様を『ハーティさん』と呼べるのはシエラ様だけかも知れません。
ハーティルティア様は、世界中に崇拝され続けている永遠とも言える人生の中で、孤独を感じているのでしょうか。
「本当に懐かしいわ・・」
バレッタを眺めるハーティルティア様の表情は物悲しげでした。
このバレッタを生み出したときにどんな出来事があったのか。
それは、当時を生きてきた人にしかわかりません。
「ありがとう」
そして、しばらくバレッタを眺めていたハーティルティア様は、シエラ様を介してそれを再び私に返してくれました。
「あの・・私がこれを持っていていいのでしょうか?」
「どうして?それはアリアちゃんのものでしょう?」
神白銀を用いて生み出された物は全て『神器』となる為、基本的にはハーティルティア様にその所有権を委ねられます。
ザワッ・・!
「おぉ!『女神様』がお認めになられましたぞ!」
「という事は、彼女が新たな『神器』の所有者に・・」
ハーティルティア様の言葉に、周りの人達がざわつき始めます。
「そのバレッタはね、ナラトスとニアールの最期を看取った娘に私から贈ったものなのよ」
「っ!?」
ハーティルティア様の言葉に私は目を見開きました。
ナラトス様はかつて『邪神』であった存在です。
そして、この世界に転生を果たしたナラトス様は、一度はハーティルティア様と剣を交えたそうです。
ですが、そのあと勇者ニアール様と知り合う事で真実の愛を知ったナラトス様は、心を入れ替えてハーティルティア様と共に戦うことを決意したそうです。
そして、勇者ニアール様と二人で『メルティーナ』を駆り、『邪神デスティウルス』討伐を成し遂げたのです。
しかし、『邪神』討伐の英雄とは言えハーティルティア様と剣を交えた事に引け目を感じたお二人は、当時の『魔道帝国オルテアガ』での地位を全て捨てて、生涯ひっそりと『ヨークスカ』の町で暮らしたと言われています。
そこで、私は一つの疑問が生まれました。
「という事は・・もしかして、私のご先祖様は・・」
「おそらく・・いえ、ほぼ間違いなくナラトスとニアールという事になるわね」
私が言い切る前にハーティルティア様が答えを言いました。
ザワッ・・・!!
そして、再び周りが騒めきます。
そんな中、オルクス陛下がハーティルティア様に疑問を投げかけました。
「それは・・本当のことですか!?いえ、『女神様』のお言葉を疑うわけではないのですが・・なにぶん千年も経っているので、バレッタを持っていたからとは言え、ナラトス様とニアール様の子孫と確定できるものか・・」
「オルクスさんの言う通り、確定はできません」
「でしたら・・」
「けど、ひとつだけ確かなことがあります」
「それは、アリアちゃんが『邪神ナラトス』の『存在』を幾らか継承した転生体という事です」
ザワッ!!
「っ!?」
ハーティルティア様から聞かされた事実に驚きが隠せません。
「アリアちゃんは『メルティーナ』を動かせたのよね?」
「は・・はい」
「アリアちゃん、『メルティーナ』の動力が何なのかは知ってる?」
「それは・・ハーティルティア様が錬金された発導機ですよね?」
私がおずおずと答えると、ハーティルティア様は微笑みました。
「ハズレよ」
「え、ですが・・それ以外に人工女神の動力になり得るものなんて・・」
いくら魔導具に明るくない私だって、人工女神が普通の発導機で動かない事くらいは知っています。
「ふふ、ごめんなさい。意地悪な質問だったわ」
「正解はね、動力なんてないのよ」
「えっ!?」
「『メルティーナ』はね、どちらかと言うとシエラが装着している『神聖魔道甲冑』に近いものなのよ」
「つまり、その動力は搭乗者自身のマナと言う事よ」
「っ!?」
私は『メルティーナ』に乗っている時のマナ出力を思い出しました。
あの時、魔導コンソールには二十五万サイクラ以上の数値が出ていました。
しかも、定格稼働で、です。
今まで、私のご先祖様が『メルティーナ』を動かせなかったのも頷けます。
生身で人工女神を動かせるマナ出力を持った人間なんていないのですから。
「まあ、そんなことよりリリスが視たら早いのだけどね」
「リリスは『聖女』の能力でマナの流れを視る事ができるのよ」
「ハーティルティア様のおっしゃる通り、アリアさんからは凄まじい量のマナが常時生み出されています」
「その量は『神族』に匹敵する程です・・もし、アリアさんのマナの質が『神族』のそれでしたら、私達のように『女神化』してもおかしくないくらいですね」
「アリアさんは、おそらく生まれた時から『邪神』の能力を受け継いでいるので無意識にマナ出力の制御をしているのでしょう」
「じゃないと、視認できるほどのマナで常に体が発光している筈ですから」
「ちなみに、アリアさんは今まで『治癒魔導』を受けた事はありますか?」
リリス様の質問を聞いて、私は過去を振り返ってみます。
「・・そう言えば、ありません。私・・昔から何故か怪我をしてもすぐに治ってしまったので、『治癒魔導』を使う程の大怪我をした経験がそもそもありません」
私の言葉を聞いたリリス様は納得したように頷きました。
「それこそが、『邪神』の特徴である肉体の再生能力です」
「っ!?」
リリス様の言葉に私は再び目を見開きました。
「でもよかったですね。もし、アリアさんが誰かに『治癒魔導』なんて使われたら、相当な苦痛を感じた筈ですよ」
「もちろん、いくら桁外れのマナ出力を持っていても、自分で『治癒魔導』や『浄化魔導』を発動する事は困難でしょう」
・・どうしましょう。
どうやら、私は『邪神』の生まれ変わりだったようです。
「そのバレッタ・・懐かしいわね」
「あなた・・名前は?」
「はっはい!!私は『アリア』と言います!!」
「そう、アリアちゃんね。私のことは気楽に『ハーティ』と呼んでね!」
無理です。
ただでさえハーティルティア様と会話するだけで心臓が止まりそうなのに、そんな畏れ多いことなんてできません。
それでしたら、レオンハルト殿下を『レオン』と呼ぶ方がまだマシです。
「ハーティルティア様・・流石にそれは無理な話かと」
そんな私の気持ちをリリス様が代弁してくれました。
「そう・・残念」
ハーティルティア様は本当に残念そうな表情をしています。
「はあ・・まあ仕方ないわね。それはさておき・・アリアちゃん、そのバレッタを見せてくれる?」
「あ、はい」
私は身に付けていたバレッタを外すと、手を差し伸べてきたシエラ様へ渡しました。
よかったです。
もし、ハーティルティア様に直接手渡しして肌に触れてしまったら、きっと私はそのまま緊張やら何やらで倒れてしまいます。
・・私にとってはシエラ様もへ触れるのも刺激が強いですが。
「ハーティさん、どうぞ」
そして、シエラ様はそのままハーティルティア様へバレッタを渡しました。
かつての勇者様が亡くなられた現在、この世界でハーティルティア様を『ハーティさん』と呼べるのはシエラ様だけかも知れません。
ハーティルティア様は、世界中に崇拝され続けている永遠とも言える人生の中で、孤独を感じているのでしょうか。
「本当に懐かしいわ・・」
バレッタを眺めるハーティルティア様の表情は物悲しげでした。
このバレッタを生み出したときにどんな出来事があったのか。
それは、当時を生きてきた人にしかわかりません。
「ありがとう」
そして、しばらくバレッタを眺めていたハーティルティア様は、シエラ様を介してそれを再び私に返してくれました。
「あの・・私がこれを持っていていいのでしょうか?」
「どうして?それはアリアちゃんのものでしょう?」
神白銀を用いて生み出された物は全て『神器』となる為、基本的にはハーティルティア様にその所有権を委ねられます。
ザワッ・・!
「おぉ!『女神様』がお認めになられましたぞ!」
「という事は、彼女が新たな『神器』の所有者に・・」
ハーティルティア様の言葉に、周りの人達がざわつき始めます。
「そのバレッタはね、ナラトスとニアールの最期を看取った娘に私から贈ったものなのよ」
「っ!?」
ハーティルティア様の言葉に私は目を見開きました。
ナラトス様はかつて『邪神』であった存在です。
そして、この世界に転生を果たしたナラトス様は、一度はハーティルティア様と剣を交えたそうです。
ですが、そのあと勇者ニアール様と知り合う事で真実の愛を知ったナラトス様は、心を入れ替えてハーティルティア様と共に戦うことを決意したそうです。
そして、勇者ニアール様と二人で『メルティーナ』を駆り、『邪神デスティウルス』討伐を成し遂げたのです。
しかし、『邪神』討伐の英雄とは言えハーティルティア様と剣を交えた事に引け目を感じたお二人は、当時の『魔道帝国オルテアガ』での地位を全て捨てて、生涯ひっそりと『ヨークスカ』の町で暮らしたと言われています。
そこで、私は一つの疑問が生まれました。
「という事は・・もしかして、私のご先祖様は・・」
「おそらく・・いえ、ほぼ間違いなくナラトスとニアールという事になるわね」
私が言い切る前にハーティルティア様が答えを言いました。
ザワッ・・・!!
そして、再び周りが騒めきます。
そんな中、オルクス陛下がハーティルティア様に疑問を投げかけました。
「それは・・本当のことですか!?いえ、『女神様』のお言葉を疑うわけではないのですが・・なにぶん千年も経っているので、バレッタを持っていたからとは言え、ナラトス様とニアール様の子孫と確定できるものか・・」
「オルクスさんの言う通り、確定はできません」
「でしたら・・」
「けど、ひとつだけ確かなことがあります」
「それは、アリアちゃんが『邪神ナラトス』の『存在』を幾らか継承した転生体という事です」
ザワッ!!
「っ!?」
ハーティルティア様から聞かされた事実に驚きが隠せません。
「アリアちゃんは『メルティーナ』を動かせたのよね?」
「は・・はい」
「アリアちゃん、『メルティーナ』の動力が何なのかは知ってる?」
「それは・・ハーティルティア様が錬金された発導機ですよね?」
私がおずおずと答えると、ハーティルティア様は微笑みました。
「ハズレよ」
「え、ですが・・それ以外に人工女神の動力になり得るものなんて・・」
いくら魔導具に明るくない私だって、人工女神が普通の発導機で動かない事くらいは知っています。
「ふふ、ごめんなさい。意地悪な質問だったわ」
「正解はね、動力なんてないのよ」
「えっ!?」
「『メルティーナ』はね、どちらかと言うとシエラが装着している『神聖魔道甲冑』に近いものなのよ」
「つまり、その動力は搭乗者自身のマナと言う事よ」
「っ!?」
私は『メルティーナ』に乗っている時のマナ出力を思い出しました。
あの時、魔導コンソールには二十五万サイクラ以上の数値が出ていました。
しかも、定格稼働で、です。
今まで、私のご先祖様が『メルティーナ』を動かせなかったのも頷けます。
生身で人工女神を動かせるマナ出力を持った人間なんていないのですから。
「まあ、そんなことよりリリスが視たら早いのだけどね」
「リリスは『聖女』の能力でマナの流れを視る事ができるのよ」
「ハーティルティア様のおっしゃる通り、アリアさんからは凄まじい量のマナが常時生み出されています」
「その量は『神族』に匹敵する程です・・もし、アリアさんのマナの質が『神族』のそれでしたら、私達のように『女神化』してもおかしくないくらいですね」
「アリアさんは、おそらく生まれた時から『邪神』の能力を受け継いでいるので無意識にマナ出力の制御をしているのでしょう」
「じゃないと、視認できるほどのマナで常に体が発光している筈ですから」
「ちなみに、アリアさんは今まで『治癒魔導』を受けた事はありますか?」
リリス様の質問を聞いて、私は過去を振り返ってみます。
「・・そう言えば、ありません。私・・昔から何故か怪我をしてもすぐに治ってしまったので、『治癒魔導』を使う程の大怪我をした経験がそもそもありません」
私の言葉を聞いたリリス様は納得したように頷きました。
「それこそが、『邪神』の特徴である肉体の再生能力です」
「っ!?」
リリス様の言葉に私は再び目を見開きました。
「でもよかったですね。もし、アリアさんが誰かに『治癒魔導』なんて使われたら、相当な苦痛を感じた筈ですよ」
「もちろん、いくら桁外れのマナ出力を持っていても、自分で『治癒魔導』や『浄化魔導』を発動する事は困難でしょう」
・・どうしましょう。
どうやら、私は『邪神』の生まれ変わりだったようです。
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