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第二章 生徒会編
シエラの学園視察
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それから次の日、私はレオン様とマリア様から『急ぎ学園長室まで来て欲しい』というクローディアさんの伝言を聞いて、モニカに身だしなみを整えてもらった後に朝一で学園長室へと向かいました。
コンコン・・。
「『騎士課』二年のアリア・フォン・レゾニアです。お待たせしました」
「お・・おはいりになってください」
学園長室の扉を叩くと、いつもと声色の違ったクローディアさんの声が聞こえてきました。
それはひどく緊張したように聞こえます。
同じくクローディアさんの声を聞いていたレオン様は、首を傾げながら扉に手をかけました。
「失礼します・・っ!?」
レオン様が開けてくれた扉から学園長室に入った瞬間、私達はクローディアさんの声色がおかしかった理由を一目で知りました。
と言うのも、室内には緊張した面持ちで直立したクローディアさんがいて、その向かいには白銀の髪が輝く獣人女性・・シエラ様がいたからです。
その様子を見て慌てて跪こうとする私達をシエラ様がさっと手で制しました。
「堅苦しい挨拶は結構ですよ」
それから私達は相変わらずカチコチに緊張したクローディアさんに案内されて、シエラ様と共に豪華な応接椅子に腰掛けました。
カタタタタタ・・・。
「おおおおお茶をどうぞ」
直後に給仕の為にやってきた学園長付きのメイドがシエラ様に差し出したティーカップを持つ手は、可哀想なくらい震えていました。
「ありがとうございます」
「うひゃい!?しっしつれいいたひまひゅ!」
シエラ様に微笑まれたメイドは呂律が回らない返事をしながら慌てて壁際まで後退していきました。
「そ・・それで、あの・・『神聖イルティア神帝国』序列三位で『聖騎士』であらせられるシエラ様が何故この場に?」
シエラ様は紅茶をこくりと飲んで手にしていたカップをゆっくりと机に置くと、クローディアさんの方へ顔を向けました。
「昨日、『神器』に関わる事件で私達は急遽この学園に来ることになったわけですが・・」
「そ、その件については学園の長として、非常に申し訳なく・・」
クローディアさんは見ていて気の毒になるくらい顔を青ざめさせて狼狽えています。
「それについてはハーティさんから沙汰が出されたわけですし、もういいのです。クローディアさんは気になさらなくていいですよ」
「今日ここに来たのは、折角わざわざ『イルティア・レ・イーレ』で学園に来たわけですし、未来の騎士達がどんな風に学んでいるのか、『武人』の端くれとして見てみようかと思ったからです」
「シエラ様が端くれなどと・・ご謙遜が過ぎますわ・・」
私も、クローディアさんの言葉に賛成です。
「・・本当はハーティさんやリリスさんも見たがっていましたが、流石にそんな大物が揃い踏みでウロウロしていたら問題になるので、私だけが来たのです」
「いえ・・シエラ様お一人でも十分大事ですが・・」
「それはともかく・・アリアさん!!」
「ぴえっ!?」
いきなりシエラ様が応接机に手をついて乗り出してきたので私は素っ頓狂な声を出してしまいました。
「私は艦船から見ましたよ!!あの演習場の荒れ具合!アリアさんの仕業ですよね!!」
「ははははいっ!!申し訳ありません!!」
私は机に頭をぶつける勢いで頭を下げました。
「あっ!ごめんなさい。決して責めている訳ではないんですよ」
「それよりもアリアさん・・貴女の戦闘能力を見込んでお願いしたいのですが、是非一度私とお手合わせ願えませんか?」
「「「えええーー!?」」」
シエラ様の提案に全員が驚きの声を上げました。
「今の時代、あれ程の事をやらかせる人材はなかなかいません!」
それは誉めていると言えるのでしょうか。
「だから、私も最近しっかり身体を動かせていないので、是非戦ってみたいのです!」
ガタッ!!
シエラ様の言葉を聞いたレオン様が慌てて立ち上がりました。
「お、お待ちください!シエラ様!アリアはまだ人工女神に乗り慣れていません!シエラ様と戦うなんて危険です!」
「うふふ、大丈夫ですよレオンハルト王子。私は『メルティーナ』の能力を知ってます。『邪神』クラスの攻撃でも当たらない限りどうということはありません」
「それを『邪神』を滅ぼした『聖騎士』様が仰います!?」
「もちろん、加減はしますよ。私だってニアールの遺産を失いたくありませんから」
「お願いします!アリアさん!流石にハーティさんやリリスさんとやりあう訳にはいかないんです!!」
「女神の転生体三柱同士が本気で戦いになられたら、それこそ世界の終焉ですよ・・」
クローディアさんはそう言いながらガックリと項垂れました。
「で、でも!!私がシエラ様と戦うとして、どこでやるのですか!?」
私の質問にシエラ様が可愛らしく首を傾げました。
「え、ちょうどアリアさんが更地にしてくれた広大な演習場があるでしょ?」
「う・・」
「あそこならどうせ焦土ですから気を使わなくていいですからね」
「うぅっ・・」
シエラ様の言葉がグサグサと私に突き刺さります。
「というわけでクローディアさん、模擬試合をセッティングしてもらえませんか」
「は、はい!わかりました・・でしたらシエラ様もお忙しい身でしょうし、急ですが今日の午後からはいかがでしょうか」
さてはクローディアさん、早く模擬試合をして満足してもらってから帰ってほしいんですね。
「私にはこれといった準備は不要ですし、構いませんよ」
「ア、アリアさんはどうかしら?」
「私は一学生ですし、シエラ様とクローディアさんが仰るなら・・」
元より人類世界の序列三位に君臨するシエラ様のお願いに対して私に拒否権なんてありません。
「では決まりですね!ではアリアさんは『メルティーナ』に搭乗して午後一番に演習場に来て頂戴」
「お義姉様・・大丈夫なのですか?」
「シエラ様は高名な武人であらせられますし、私も『メルティーナ』を信じていますから」
「うふふ、久しぶりに腕がなりますね!」
シエラ様はリボンのついた尻尾を嬉しそうに振り回しました。
こうして、突如シエラ様との模擬試合が行われることになったのです。
コンコン・・。
「『騎士課』二年のアリア・フォン・レゾニアです。お待たせしました」
「お・・おはいりになってください」
学園長室の扉を叩くと、いつもと声色の違ったクローディアさんの声が聞こえてきました。
それはひどく緊張したように聞こえます。
同じくクローディアさんの声を聞いていたレオン様は、首を傾げながら扉に手をかけました。
「失礼します・・っ!?」
レオン様が開けてくれた扉から学園長室に入った瞬間、私達はクローディアさんの声色がおかしかった理由を一目で知りました。
と言うのも、室内には緊張した面持ちで直立したクローディアさんがいて、その向かいには白銀の髪が輝く獣人女性・・シエラ様がいたからです。
その様子を見て慌てて跪こうとする私達をシエラ様がさっと手で制しました。
「堅苦しい挨拶は結構ですよ」
それから私達は相変わらずカチコチに緊張したクローディアさんに案内されて、シエラ様と共に豪華な応接椅子に腰掛けました。
カタタタタタ・・・。
「おおおおお茶をどうぞ」
直後に給仕の為にやってきた学園長付きのメイドがシエラ様に差し出したティーカップを持つ手は、可哀想なくらい震えていました。
「ありがとうございます」
「うひゃい!?しっしつれいいたひまひゅ!」
シエラ様に微笑まれたメイドは呂律が回らない返事をしながら慌てて壁際まで後退していきました。
「そ・・それで、あの・・『神聖イルティア神帝国』序列三位で『聖騎士』であらせられるシエラ様が何故この場に?」
シエラ様は紅茶をこくりと飲んで手にしていたカップをゆっくりと机に置くと、クローディアさんの方へ顔を向けました。
「昨日、『神器』に関わる事件で私達は急遽この学園に来ることになったわけですが・・」
「そ、その件については学園の長として、非常に申し訳なく・・」
クローディアさんは見ていて気の毒になるくらい顔を青ざめさせて狼狽えています。
「それについてはハーティさんから沙汰が出されたわけですし、もういいのです。クローディアさんは気になさらなくていいですよ」
「今日ここに来たのは、折角わざわざ『イルティア・レ・イーレ』で学園に来たわけですし、未来の騎士達がどんな風に学んでいるのか、『武人』の端くれとして見てみようかと思ったからです」
「シエラ様が端くれなどと・・ご謙遜が過ぎますわ・・」
私も、クローディアさんの言葉に賛成です。
「・・本当はハーティさんやリリスさんも見たがっていましたが、流石にそんな大物が揃い踏みでウロウロしていたら問題になるので、私だけが来たのです」
「いえ・・シエラ様お一人でも十分大事ですが・・」
「それはともかく・・アリアさん!!」
「ぴえっ!?」
いきなりシエラ様が応接机に手をついて乗り出してきたので私は素っ頓狂な声を出してしまいました。
「私は艦船から見ましたよ!!あの演習場の荒れ具合!アリアさんの仕業ですよね!!」
「ははははいっ!!申し訳ありません!!」
私は机に頭をぶつける勢いで頭を下げました。
「あっ!ごめんなさい。決して責めている訳ではないんですよ」
「それよりもアリアさん・・貴女の戦闘能力を見込んでお願いしたいのですが、是非一度私とお手合わせ願えませんか?」
「「「えええーー!?」」」
シエラ様の提案に全員が驚きの声を上げました。
「今の時代、あれ程の事をやらかせる人材はなかなかいません!」
それは誉めていると言えるのでしょうか。
「だから、私も最近しっかり身体を動かせていないので、是非戦ってみたいのです!」
ガタッ!!
シエラ様の言葉を聞いたレオン様が慌てて立ち上がりました。
「お、お待ちください!シエラ様!アリアはまだ人工女神に乗り慣れていません!シエラ様と戦うなんて危険です!」
「うふふ、大丈夫ですよレオンハルト王子。私は『メルティーナ』の能力を知ってます。『邪神』クラスの攻撃でも当たらない限りどうということはありません」
「それを『邪神』を滅ぼした『聖騎士』様が仰います!?」
「もちろん、加減はしますよ。私だってニアールの遺産を失いたくありませんから」
「お願いします!アリアさん!流石にハーティさんやリリスさんとやりあう訳にはいかないんです!!」
「女神の転生体三柱同士が本気で戦いになられたら、それこそ世界の終焉ですよ・・」
クローディアさんはそう言いながらガックリと項垂れました。
「で、でも!!私がシエラ様と戦うとして、どこでやるのですか!?」
私の質問にシエラ様が可愛らしく首を傾げました。
「え、ちょうどアリアさんが更地にしてくれた広大な演習場があるでしょ?」
「う・・」
「あそこならどうせ焦土ですから気を使わなくていいですからね」
「うぅっ・・」
シエラ様の言葉がグサグサと私に突き刺さります。
「というわけでクローディアさん、模擬試合をセッティングしてもらえませんか」
「は、はい!わかりました・・でしたらシエラ様もお忙しい身でしょうし、急ですが今日の午後からはいかがでしょうか」
さてはクローディアさん、早く模擬試合をして満足してもらってから帰ってほしいんですね。
「私にはこれといった準備は不要ですし、構いませんよ」
「ア、アリアさんはどうかしら?」
「私は一学生ですし、シエラ様とクローディアさんが仰るなら・・」
元より人類世界の序列三位に君臨するシエラ様のお願いに対して私に拒否権なんてありません。
「では決まりですね!ではアリアさんは『メルティーナ』に搭乗して午後一番に演習場に来て頂戴」
「お義姉様・・大丈夫なのですか?」
「シエラ様は高名な武人であらせられますし、私も『メルティーナ』を信じていますから」
「うふふ、久しぶりに腕がなりますね!」
シエラ様はリボンのついた尻尾を嬉しそうに振り回しました。
こうして、突如シエラ様との模擬試合が行われることになったのです。
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