邪神令嬢の学園事情

りゅうじんまんさま

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第二章 生徒会編

『聖騎士』シエラとの模擬試合2

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 ・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 ヴォンヴォンヴォンヴォン・・・・。



「確かに・・このままではシエラ様の相手にはなりません・・」

 その時、私の脳裏に前回の実機演習の光景が浮かびました。

 けれど、私はその光景を振り落とすように頭を振りました。

「大丈夫です・・相手はシエラ様・・!!全力でかからないと失礼になります!」

 そう言うと、私はギリッと操縦スロットルを強く握りしめました。

「もっと早く・・早く・・早く・・!!!」

 ドクン・・・ド・・ク・・ン・・・・ド・・・・ク・・・。

 私が小さく口ずさむと同時に、前回と同じく鼓動の高鳴りが遅くなっていくような錯覚を覚えました。

 ギュウゥゥゥゥン!

 そして、マナ出力表示が一気に振り切られた状態となりました。

 そのまま、私は操縦スロットルを操作して『メルティーナ』でファイティングポーズをとります。

 それを見たシエラ様が小さく頷くのがわかりました。



 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・。


 ドォォォォォン!!

 直後、大地を穿ちながらシエラ様が砲弾のように飛び出してきました。

『・・っ!!えます!!』

私は『ブースト』の効果によって体感時間が遅くなった世界で、漸くシエラ様を捉えることが出来ました。

 拳を振りかぶりながら真っ直ぐこちらへ向かって来るシエラ様に対抗するように、『メルティーナ』も拳を繰り出します。

 バァァァァァン!!

 そして、シエラ様の小さな拳とシエラ様の身体よりも巨大な『メルティーナ』の拳が衝突した瞬間、激しい衝撃波と共にお互いの『防御魔導』が衝突する音が響きました。

 バァァァン!!

 バァァァン!!

 ドガガガアァァァァン!!

 そのまま間伐入れずに、お互いの打撃や蹴りが高速で激しくぶつかり合います。

 周囲の反応を見たところ、私達の殴り合いは誰も視認出来ていないようです。

「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 そして、私が周囲に気を取られた瞬間、シエラ様が『ブースト』の体感時間ですら目視出来ない程の早さで回し蹴りを放ちました。

 バァァァァァン!!

『きゃあぁぁぁぁ!?』

 シエラ様の回し蹴りが直撃した『メルティーナ』はそのまま猛烈なスピードで後方へと吹き飛び、前回私が作ったクレーターの岩壁に激しく衝突しました。

 私は衝撃でくらくらする頭を振ると、岩壁にめり込んだ『メルティーナ』を引きはがして体勢を整えました。

『はあ・・はあ・・体術では圧倒的に不利ですね・・っ!仕方ありません!!』

 私は素早くコンソールを操作して魔導測距義でシエラ様との距離を測量し、前回自分が生み出したクレーターから効果範囲を予測して周囲の安全を確認しました。

「はぁぁぁ!!!」

 その間に、拳を握りしめたシエラ様がこちらへ向かってこようとします。

 私は迫り来るシエラ様を見てざわめく心を可能な限り落ち着けながら、『メルティーナ』の指先に炎を灯しました。

『っ!!『ファイア』!!!』

 そして、前回と同様になるべく威力を加減して『ファイア』を放ちました。

『メルティーナ』が放った炎はシエラ様よりも大きく、その炎を目の当たりにしたシエラ様は瞠目しました。

 ピカッ!!!!

 しかし、回避もままならないまま炎がシエラ様に直撃し、激しい閃光が光魔導スクリーンを埋め尽くしました。

 ドオォォォォォォォォォォォォォン!!!!

 直後、着弾地点から数百メートルに渡って広がった爆風と熱線が大地を焼き尽くし、猛烈な衝撃波に『メルティーナ』さえも吹き飛ばされそうになります。

『っ・・・く!!』

 私は操縦スロットルに伝わるフィードバックを抑え込み、しばらく続く衝撃波を何とか耐え忍びます。

 そして、爆発によって生まれたきのこ雲が上空数十キロメートル以上にわたって昇って爆風が収まった頃、私は漸く『ブースト』を解除しました。

『ちょ、ちょっと!?アリアさん!!!いくらシエラ様が『聖騎士』とは言え、やり過ぎではない!?』

 肩で息をするような動作をする『メルティーナ』に、酷く慌てた様子のクローディアさんからの通信が入ってきました。

『だ・・・大丈夫なのか??』

『ちょっとアリア!?貴女、ってものを知らないのですか!?』

『あわわ・・お義姉さま・・さすがに『聖騎士』殺しはまずいですわ!?』

『とうとうアリアちゃんがってしまった・・・』

 もくもくとあがるきのこ雲を眺めながら、レオン様達が不安そうに言葉を発しています。

 ・・それにしてもユイちゃんが言った『とうとう』とはどういう事でしょうか。

 私の事を『うっかりっちゃう人』みたいに思っているのでしょうか。

 私が首を傾げていると、やがて立ち込めていた煙も風で流されていきます。

 そして、着弾地点となって大きく穿たれた大地には、無傷で立つシエラ様がいました。

「・・・ふう」

 シエラ様は小さく息を吐くと、体に付いた土埃をぱんぱんとはたいていました。

「さすがはニアールさんの遺した『メルティーナ』ですね。さすがに今の魔導は危なかったです」

「危うく『神聖魔導甲冑二型』の『極大防御魔導』が破られるところでした。こんな手ごたえのある攻撃を受けたのは数百年ぶりですね!」

 そう言いながら、シエラ様はにっこりと笑いました。

 私はシエラ様に魔導を放っても通用しないと思っていましたが、実際にその状況を目の当たりにすると驚きを隠せませんでした。

「うーん、私は正直魔導に明るくないので感覚をお伝えしにくいのですが、シエラさんはハーティさんとで、『放出系魔導』の威力調整が難しいタイプの人みたいですね」

「私の見立てでは、アリアさんの持つマナ出力は私と・・もしくはそれをするかもしれませんね」

『『『!?』』』

 シエラ様の言葉に、全員が驚きで息を詰まらせました。

「それにしても懐かしいですね・・昔ハーティさんも魔導を放ってはクレーターやら焦土を大量生産していましたから」

 シエラ様はうっとりとした表情で、懐かしそうに語ります。

「それで、ハーティさんはと、殆どの戦いを素手で対応していましたからね」

『いや、それ『シエラ湖』を生み出したシエラちゃんが言う!?』

 その言葉に我慢ならなかったのか、通信機越しでシエラ様にツッコむハーティルティア様の声が聞こえてきました。
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