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第一章 神聖イルティア王国編
敬愛するお嬢様 ~ユナ視点~2
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それからというもの、ユナはハーティの専属侍女として尽くした。
ハーティは少々お転婆だが、可愛らしく、そして心優しい女の子であった。
そして、ハーティはユナに対して本当にお友達のように接してくれた。
一緒に過ごしていく中で、ユナは益々ハーティの事を好きになっていたのだ。
そして、ハーティの専属侍女となってからユナの生活もガラリと変わった。
ユナは例え平民出身であっても、国で一、二を争うオルデハイト侯爵家令嬢の専属侍女である。
その為兄弟の誰よりも高い御給金を貰うようになり、今の自室だけでも実家がいくつ入るのかという程の立派さであった。
そして、侯爵家に仕え始めるときに頂いた『支度金』という名目のお給金だけで、親の借金を返済してもまだ余るほどであった。
また、食事については侍女の賄いといっても侯爵家お抱えシェフが作るものであり、いままで食べたことのないような豪華な食事をお腹いっぱいになるまで食べられるようになった。
更には、仕事の内容上、常に高貴なお嬢様に侍らないといけない為、着ているものなども上等なものへと変わっていき、使用人用の備え付け浴場や高級な化粧品・香油を使うようになってからは見た目にも磨きがかかった。
全てはあの時に自分を拾ってくれたハーティお嬢様のおかげだとユナは心から思っていた。
また、神聖イルティア王国貴族にとって『女神教』が切っても切れないものであるように、それら貴族に仕える使用人も同じく『女神教』の信仰が不可欠であった。
そして、そのハーティに出会わせてくれたきっかけから、ユナは自主的に敬虔な『女神教』信者になったのだ。
それまでのことが嘘であったかのように毎朝、毎夜、毎食前と女神様へ熱心に祈りを捧げた。
休日には女神教会のミサに始まり、地元の炊き出しやバザーの手伝いなどにも精力的に参加した。
そんな日々が続いたある日、『あの事件』が起こったのであった。
ユナがいつも通り、髪色について不憫な気持ちを持たれたことを悟ったハーティが講義を抜け出したことを聞いて、彼女を捜索に向かった時・・・。
突如として出現したアンデッドの集団にお嬢様共々襲われたのだ。
ユナは必死にハーティを庇おうとしたものの、所詮は年端もいかぬ小娘二人である。
すぐに二人は絶望的な状況に追いやられた。
そして、ハーティお嬢様を救えなかったことだけが唯一の心残りだとすべてを諦めつつあった時、奇跡が起きたのだ。
目の前で無残な姿になって倒れていた敬愛するお嬢様が、突然ムクリとマリオネットのように起き上がった。
一瞬、ユナはハーティお嬢様までアンデッド化したのではと思った。
しかし、その直後にハーティは白銀の光に包まれたのだ。
光が収まると、そこには全身を淡く発光させたハーティお嬢様がいたのだ。
しかし、その髪と瞳の色は美しい白銀色であった。
「女神・・さま??」
ユナは、今までの人生で、これほどまでに美しいものを見たことが無かった。
もともとハーティはとても愛らしく美しい方であったが、今の姿は全身から神々しい美しさが溢れていた。
それこそ、あらゆる生けとし生けるものが有無を言わさず跪かないといけないと思ってしまうような神々しさであった。
ユナの体は打ち震え、自然と瞳からは涙が溢れていた。
その直後に再び視界いっぱいに眩い光が広がった。
(なんて暖かい光なんだろう・・・)
その光に包まれながら、ユナは穏やかな気持ちになった。
ああ、自分は神の光に包まれながら死にゆくのか・・・。
だったらそれも悪くない・・・・・。
そう思っていると、しばらくして光が収まった。
光が収まった後は、全てのアンデッドがいなくなり、先程まであれだけ荒れていた天気は回復し、死にかけていたはずのユナの怪我すら全て無くなっていた。
それは正に『女神の奇跡』であった。
あの日からユナが崇拝していた女神ハーティルティアが、今まさに目の前にいるのだ。
ユナはそのことを信じて疑わなかった。
しかし、ハーティは自分が女神であることをひた隠しにしようとしていた。
そこにどのような思惑があるのか、ユナには想像できなかった。
しかし、きっと崇高な使命があるに違いない。
ユナはハーティとの出会いを運命だと感じていた。
そして、崇高な『女神様』の為に自分の全てを賭けて尽くすと誓ったのだ。
ユナは、たとえハーティが望まなくても、女神としての運命によりこれから世界に大きな影響を生み出し、そう遠くない未来に何か大きな偉業を成し遂げると信じていた。
その時に自分もその横に侍れるような人間になりたい。
いつまでも共にいて彼女に尽くしたい。
・・・・その為にはただの『ご令嬢付き侍女』では駄目だ。
そう思ったユナは執事長に懇願して剣術を師事することにした。
執事長は侯爵家当主付きであるため、いざという時の為に多岐にわたる戦闘術を極めているからである。
実際、執事長は元王国軍の騎士団長であったことが後に判明した。
そんな師匠に毎日すべての業務が終わったあとに訓練を行い、睡眠時間を削って自主鍛錬に臨む。
もちろん、そのことはハーティには内緒である。
お嬢様の前に立ちはだかる障害は全身全霊を以て排除する。
すべては『お嬢様』の為・・・。
今ここに一人の『狂信者』が生まれようとしていた。
そして、ハーティの専属侍女ユナとしての孤独な戦いはこれからも続いていくのであった・・・・。
ハーティは少々お転婆だが、可愛らしく、そして心優しい女の子であった。
そして、ハーティはユナに対して本当にお友達のように接してくれた。
一緒に過ごしていく中で、ユナは益々ハーティの事を好きになっていたのだ。
そして、ハーティの専属侍女となってからユナの生活もガラリと変わった。
ユナは例え平民出身であっても、国で一、二を争うオルデハイト侯爵家令嬢の専属侍女である。
その為兄弟の誰よりも高い御給金を貰うようになり、今の自室だけでも実家がいくつ入るのかという程の立派さであった。
そして、侯爵家に仕え始めるときに頂いた『支度金』という名目のお給金だけで、親の借金を返済してもまだ余るほどであった。
また、食事については侍女の賄いといっても侯爵家お抱えシェフが作るものであり、いままで食べたことのないような豪華な食事をお腹いっぱいになるまで食べられるようになった。
更には、仕事の内容上、常に高貴なお嬢様に侍らないといけない為、着ているものなども上等なものへと変わっていき、使用人用の備え付け浴場や高級な化粧品・香油を使うようになってからは見た目にも磨きがかかった。
全てはあの時に自分を拾ってくれたハーティお嬢様のおかげだとユナは心から思っていた。
また、神聖イルティア王国貴族にとって『女神教』が切っても切れないものであるように、それら貴族に仕える使用人も同じく『女神教』の信仰が不可欠であった。
そして、そのハーティに出会わせてくれたきっかけから、ユナは自主的に敬虔な『女神教』信者になったのだ。
それまでのことが嘘であったかのように毎朝、毎夜、毎食前と女神様へ熱心に祈りを捧げた。
休日には女神教会のミサに始まり、地元の炊き出しやバザーの手伝いなどにも精力的に参加した。
そんな日々が続いたある日、『あの事件』が起こったのであった。
ユナがいつも通り、髪色について不憫な気持ちを持たれたことを悟ったハーティが講義を抜け出したことを聞いて、彼女を捜索に向かった時・・・。
突如として出現したアンデッドの集団にお嬢様共々襲われたのだ。
ユナは必死にハーティを庇おうとしたものの、所詮は年端もいかぬ小娘二人である。
すぐに二人は絶望的な状況に追いやられた。
そして、ハーティお嬢様を救えなかったことだけが唯一の心残りだとすべてを諦めつつあった時、奇跡が起きたのだ。
目の前で無残な姿になって倒れていた敬愛するお嬢様が、突然ムクリとマリオネットのように起き上がった。
一瞬、ユナはハーティお嬢様までアンデッド化したのではと思った。
しかし、その直後にハーティは白銀の光に包まれたのだ。
光が収まると、そこには全身を淡く発光させたハーティお嬢様がいたのだ。
しかし、その髪と瞳の色は美しい白銀色であった。
「女神・・さま??」
ユナは、今までの人生で、これほどまでに美しいものを見たことが無かった。
もともとハーティはとても愛らしく美しい方であったが、今の姿は全身から神々しい美しさが溢れていた。
それこそ、あらゆる生けとし生けるものが有無を言わさず跪かないといけないと思ってしまうような神々しさであった。
ユナの体は打ち震え、自然と瞳からは涙が溢れていた。
その直後に再び視界いっぱいに眩い光が広がった。
(なんて暖かい光なんだろう・・・)
その光に包まれながら、ユナは穏やかな気持ちになった。
ああ、自分は神の光に包まれながら死にゆくのか・・・。
だったらそれも悪くない・・・・・。
そう思っていると、しばらくして光が収まった。
光が収まった後は、全てのアンデッドがいなくなり、先程まであれだけ荒れていた天気は回復し、死にかけていたはずのユナの怪我すら全て無くなっていた。
それは正に『女神の奇跡』であった。
あの日からユナが崇拝していた女神ハーティルティアが、今まさに目の前にいるのだ。
ユナはそのことを信じて疑わなかった。
しかし、ハーティは自分が女神であることをひた隠しにしようとしていた。
そこにどのような思惑があるのか、ユナには想像できなかった。
しかし、きっと崇高な使命があるに違いない。
ユナはハーティとの出会いを運命だと感じていた。
そして、崇高な『女神様』の為に自分の全てを賭けて尽くすと誓ったのだ。
ユナは、たとえハーティが望まなくても、女神としての運命によりこれから世界に大きな影響を生み出し、そう遠くない未来に何か大きな偉業を成し遂げると信じていた。
その時に自分もその横に侍れるような人間になりたい。
いつまでも共にいて彼女に尽くしたい。
・・・・その為にはただの『ご令嬢付き侍女』では駄目だ。
そう思ったユナは執事長に懇願して剣術を師事することにした。
執事長は侯爵家当主付きであるため、いざという時の為に多岐にわたる戦闘術を極めているからである。
実際、執事長は元王国軍の騎士団長であったことが後に判明した。
そんな師匠に毎日すべての業務が終わったあとに訓練を行い、睡眠時間を削って自主鍛錬に臨む。
もちろん、そのことはハーティには内緒である。
お嬢様の前に立ちはだかる障害は全身全霊を以て排除する。
すべては『お嬢様』の為・・・。
今ここに一人の『狂信者』が生まれようとしていた。
そして、ハーティの専属侍女ユナとしての孤独な戦いはこれからも続いていくのであった・・・・。
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