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第一章 神聖イルティア王国編
騎士団訓練での模擬試合2
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ユナとデビッドの模擬試合が始まるまでの間、闘技場では騎士団員同士の模擬試合が引き続き行われていた。
流石は王宮警護を任される騎士団といったところか、先ほどのマクスウェルとユナの戦いに比べると幾らか劣るが、それでもその戦いは非常にレベルの高いものであった。
そして、その団員達の戦いを見ていると、ユナとマクスウェル達がいかに高い戦闘能力をもっているのかというのも実感できた。
「大丈夫?」
ハーティは既に軽装防具を身に着けた状態で観覧席に待機していたデビッドへ声をかけた。
そのデビッドの表情からは緊張している様子が窺えた。
「ええ、大丈夫です・・・やっぱり兄上はすごいですね・・やはり、魔導の才能が無いとダメなのでしょうか」
「前も言ったけど、私やユナだって魔導の才能は全然ないわ。まあ、私は戦うなんでことはないけど・・」
「でもユナだってマクスウェルとあんなに良い試合をしていたじゃない?」
「それは・・そうですが・・」
「ユナはマクスウェルよりも長い時間、こつこつと自分で鍛錬してきたみたいだし、デビッドは本当にこれから頑張って行けばいいのよ」
「・・・僕は、強くなれるでしょうか?」
「努力は必ず実るはずよ。それに魔導が使えなくても今はそれに代わる魔導具とかもあるのだし、これから自分の戦闘スタイルを見つけたらいいんじゃないのかしら」
「・・そうですね、ありがとうございます。義姉さん」
「とにかく、勝っても負けても気にしないで頑張ってね!」
「・・・わかりました!」
ハーティの励ましを聞いたデビッドは、少し元気を出したようであった。
それからしばらくして、いよいよユナとデビッドの模擬試合が始まろうとしていた。
入場の案内を受け、広大な闘技場にデビッドとユナが対峙する。
ユナは先ほどと同じ両手剣のスタイルであったが、デビッドはユナよりも小型の剣を両手に2本携えていた。
どうやらデビッドは双剣で戦うスタイルのようであった。
「双方準備はよろしいでしょうか?」
ラナウェイの声に二人は頷いて肯定した。
「それでは模擬試合、始め!!」
その声を聞いて、マクスウェル戦と同様にユナが先攻で飛び出した。
相変わらず、その速さは凄まじいものであったが、デビッドは双剣をクロスさせてそれを弾き返した。
デビッドに弾き返されたユナは後方に回転しながら見事に着地をした。
その着地の瞬間を狙ってデビッドは既にユナの側まで斬りかかっていた。
「・・・速い!」
あれだけ自分の戦いに自信がないと言っていたデビッドだったが、ハーティが見る限りでは彼の身体能力も相当なものであると感じた。
おそらく、マクスウェルとユナが抜きんでていることから自分のことを過小評価しているのではないかとハーティは思った。
デビッドのそれは、おそらくほとんどの同世代騎士団員たちが彼と戦っても勝てないと予測される程であった。
デビッドも、ユナと同じくスピードで戦うタイプであるようだったが、双剣による手数の多さも特徴的であった。
デビッドは体を回転させてユナに双剣の連撃を与えていく。
ユナはそれを木剣で捌いていたが、その表情は苦しそうであった。
そして、双方は互いにスピードを上げた剣戟で斬り結んで行く。
その速度はかなり速く、常人で視認はできてもそれを正確に捌くのは困難なものであった。
通常であれば速度は女性で小回りが利くユナが勝り、剣戟の強さは男性であるデビッドが勝っているはずであるが、デビッドが双剣であることにより、剣戟の強さが少し低下する代わりに速度が増している戦闘スタイルとなっている。
それにより、二人はお互いに速度も剣戟の強さもほぼ互角の戦いとなっていた。
互いにステップを刻みながら相手の剣戟を受け止めている状態で、しばらく拮抗した戦いが続いていた。
しかし、どうしても女性であるユナの方が持久力において不利である為、このままでは彼女にとってジリ貧であると誰もが感じていた。
それはユナ自身も感じていたのか、ついに彼女は動き出した。
一旦ユナは後方に飛び退いてしゃがんだ姿勢を取る。
そして剣を両手で構えてデビッドに向けて一気に飛び出した。
いわゆる『突き』の姿勢である。
しかし突きは威力も速度も乗りやすいが、回避された場合には無防備になりやすいので、対人戦では使いどころが難しい。
デビッドも回避した後、ユナがガラ空きの背中を見せたタイミングを狙って斬り込むべく構えた。
そして間もなくユナがデビッドに迫ろうとしたその時・・・。
ユナは突如、突きの姿勢で構えた木剣をデビッドに向けて投擲した!
「な・・・にっ!」
デビッドは、突如飛んできた木剣を思わず双剣で弾き飛ばす。
ユナはそのデビッドに向かって、そのまま開いた腕をクロスさせて体当たりをした。
「つ、うわぁ!」
体当たりをされたデビッドは、ユナと共に後方に飛ばされて背中から転倒した。
そして、デビッドは背中に衝撃を感じた直後、転倒したときに思わず瞑った目を開いた。
すると・・・。
ユナはデビッドにマウントポジションを取りながら、いつのまにか彼から奪った双剣のうちの一本を彼の喉元に突き立てようとすべく構えていた。
「・・・っつ、参りました」
「・・・し、勝者、ユナ殿!」
「「「わあああ」」」
ユナのあまりに突拍子もない行動に闘技場では一瞬静寂があったが、ラナウェイの勝者宣言を聞いて再び歓声が沸いた。
「殿下もすげぇけど、やっぱユナさんは強いな!」
「とっさに相手の不意を狙うために自分の得物を犠牲に投擲するなんて、リスクが高いけど実に実践的な動きだったな!」
「はあはあ、ユナさんにマウントしてもらうなんてご褒美じゃないか・・」
「俺も戦ったらマウントしてもらえるかな」
「馬鹿野郎!それは俺がしてもらうんだよ!」
観覧席で観戦していた騎士団員も、ユナの戦いを見て盛り上がっていた。
(また一部邪な声が聞こえるけどね・・・)
試合が終わってデビッドの上から退いたユナが、彼に手を差し出して引き起こした。
「この度は大変ご無礼を。申し訳ありません」
ユナは王族にマウントを取ったことをデビッドに詫びた。
「い・・いや、それはいいんです。試合ですから・・」
「ですが・・やはりまた勝てませんでしたね」
「いえ、私もあんな手を使わないと勝てなかったのです。あれは初見殺しみたいなものなのでもう使えない手ですし・・次回は勝てるかわからないですよ」
「慰めは結構です!結局、あのような技は優れた判断力でするもの。実践的判断ですし、それも実力のうちです」
「自分の実力は・・わかっていますから」
そう言うと、デビッドは踵を返して闘技場を去っていった。
「デビッド・・」
その姿を見たハーティは闘技場から追いかけようとした。
「そっとしておいてやってくれないか。私もあのような時期はあったものだ・・また、立ち直って鍛錬していくごとに強くなっていくものだよ」
マクスウェルは駆け出そうとするハーティを制止した。
「ならいいのだけれど・・・」
そんな二人の死界となる柱の背後で。
一部始終を見ていたアレクス侯爵は不敵な笑みを浮かべていた・・・。
流石は王宮警護を任される騎士団といったところか、先ほどのマクスウェルとユナの戦いに比べると幾らか劣るが、それでもその戦いは非常にレベルの高いものであった。
そして、その団員達の戦いを見ていると、ユナとマクスウェル達がいかに高い戦闘能力をもっているのかというのも実感できた。
「大丈夫?」
ハーティは既に軽装防具を身に着けた状態で観覧席に待機していたデビッドへ声をかけた。
そのデビッドの表情からは緊張している様子が窺えた。
「ええ、大丈夫です・・・やっぱり兄上はすごいですね・・やはり、魔導の才能が無いとダメなのでしょうか」
「前も言ったけど、私やユナだって魔導の才能は全然ないわ。まあ、私は戦うなんでことはないけど・・」
「でもユナだってマクスウェルとあんなに良い試合をしていたじゃない?」
「それは・・そうですが・・」
「ユナはマクスウェルよりも長い時間、こつこつと自分で鍛錬してきたみたいだし、デビッドは本当にこれから頑張って行けばいいのよ」
「・・・僕は、強くなれるでしょうか?」
「努力は必ず実るはずよ。それに魔導が使えなくても今はそれに代わる魔導具とかもあるのだし、これから自分の戦闘スタイルを見つけたらいいんじゃないのかしら」
「・・そうですね、ありがとうございます。義姉さん」
「とにかく、勝っても負けても気にしないで頑張ってね!」
「・・・わかりました!」
ハーティの励ましを聞いたデビッドは、少し元気を出したようであった。
それからしばらくして、いよいよユナとデビッドの模擬試合が始まろうとしていた。
入場の案内を受け、広大な闘技場にデビッドとユナが対峙する。
ユナは先ほどと同じ両手剣のスタイルであったが、デビッドはユナよりも小型の剣を両手に2本携えていた。
どうやらデビッドは双剣で戦うスタイルのようであった。
「双方準備はよろしいでしょうか?」
ラナウェイの声に二人は頷いて肯定した。
「それでは模擬試合、始め!!」
その声を聞いて、マクスウェル戦と同様にユナが先攻で飛び出した。
相変わらず、その速さは凄まじいものであったが、デビッドは双剣をクロスさせてそれを弾き返した。
デビッドに弾き返されたユナは後方に回転しながら見事に着地をした。
その着地の瞬間を狙ってデビッドは既にユナの側まで斬りかかっていた。
「・・・速い!」
あれだけ自分の戦いに自信がないと言っていたデビッドだったが、ハーティが見る限りでは彼の身体能力も相当なものであると感じた。
おそらく、マクスウェルとユナが抜きんでていることから自分のことを過小評価しているのではないかとハーティは思った。
デビッドのそれは、おそらくほとんどの同世代騎士団員たちが彼と戦っても勝てないと予測される程であった。
デビッドも、ユナと同じくスピードで戦うタイプであるようだったが、双剣による手数の多さも特徴的であった。
デビッドは体を回転させてユナに双剣の連撃を与えていく。
ユナはそれを木剣で捌いていたが、その表情は苦しそうであった。
そして、双方は互いにスピードを上げた剣戟で斬り結んで行く。
その速度はかなり速く、常人で視認はできてもそれを正確に捌くのは困難なものであった。
通常であれば速度は女性で小回りが利くユナが勝り、剣戟の強さは男性であるデビッドが勝っているはずであるが、デビッドが双剣であることにより、剣戟の強さが少し低下する代わりに速度が増している戦闘スタイルとなっている。
それにより、二人はお互いに速度も剣戟の強さもほぼ互角の戦いとなっていた。
互いにステップを刻みながら相手の剣戟を受け止めている状態で、しばらく拮抗した戦いが続いていた。
しかし、どうしても女性であるユナの方が持久力において不利である為、このままでは彼女にとってジリ貧であると誰もが感じていた。
それはユナ自身も感じていたのか、ついに彼女は動き出した。
一旦ユナは後方に飛び退いてしゃがんだ姿勢を取る。
そして剣を両手で構えてデビッドに向けて一気に飛び出した。
いわゆる『突き』の姿勢である。
しかし突きは威力も速度も乗りやすいが、回避された場合には無防備になりやすいので、対人戦では使いどころが難しい。
デビッドも回避した後、ユナがガラ空きの背中を見せたタイミングを狙って斬り込むべく構えた。
そして間もなくユナがデビッドに迫ろうとしたその時・・・。
ユナは突如、突きの姿勢で構えた木剣をデビッドに向けて投擲した!
「な・・・にっ!」
デビッドは、突如飛んできた木剣を思わず双剣で弾き飛ばす。
ユナはそのデビッドに向かって、そのまま開いた腕をクロスさせて体当たりをした。
「つ、うわぁ!」
体当たりをされたデビッドは、ユナと共に後方に飛ばされて背中から転倒した。
そして、デビッドは背中に衝撃を感じた直後、転倒したときに思わず瞑った目を開いた。
すると・・・。
ユナはデビッドにマウントポジションを取りながら、いつのまにか彼から奪った双剣のうちの一本を彼の喉元に突き立てようとすべく構えていた。
「・・・っつ、参りました」
「・・・し、勝者、ユナ殿!」
「「「わあああ」」」
ユナのあまりに突拍子もない行動に闘技場では一瞬静寂があったが、ラナウェイの勝者宣言を聞いて再び歓声が沸いた。
「殿下もすげぇけど、やっぱユナさんは強いな!」
「とっさに相手の不意を狙うために自分の得物を犠牲に投擲するなんて、リスクが高いけど実に実践的な動きだったな!」
「はあはあ、ユナさんにマウントしてもらうなんてご褒美じゃないか・・」
「俺も戦ったらマウントしてもらえるかな」
「馬鹿野郎!それは俺がしてもらうんだよ!」
観覧席で観戦していた騎士団員も、ユナの戦いを見て盛り上がっていた。
(また一部邪な声が聞こえるけどね・・・)
試合が終わってデビッドの上から退いたユナが、彼に手を差し出して引き起こした。
「この度は大変ご無礼を。申し訳ありません」
ユナは王族にマウントを取ったことをデビッドに詫びた。
「い・・いや、それはいいんです。試合ですから・・」
「ですが・・やはりまた勝てませんでしたね」
「いえ、私もあんな手を使わないと勝てなかったのです。あれは初見殺しみたいなものなのでもう使えない手ですし・・次回は勝てるかわからないですよ」
「慰めは結構です!結局、あのような技は優れた判断力でするもの。実践的判断ですし、それも実力のうちです」
「自分の実力は・・わかっていますから」
そう言うと、デビッドは踵を返して闘技場を去っていった。
「デビッド・・」
その姿を見たハーティは闘技場から追いかけようとした。
「そっとしておいてやってくれないか。私もあのような時期はあったものだ・・また、立ち直って鍛錬していくごとに強くなっていくものだよ」
マクスウェルは駆け出そうとするハーティを制止した。
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