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第一章 神聖イルティア王国編
邪神の企み
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「リリス!」
「私達も騒ぎを聞いて駆けつけました!負傷者達の治療魔導は任せてください!」
「ありがとう!」
「けど・・何人かは既に亡くなられているみたいですね・・」
そう言うと、リリスは目を伏せた。
もはや、ここまでの状況になった以上、たとえ王族であったとしても、デビッドが何らかの処分を受けることは避けられない状態であった。
「しかし・・あれは・・」
リリスはデビッドから出る『黒い霧』を見て顔を顰めた。
「ええ、邪神の気配を感じるわ」
「と、なれば・・我々と同じで何らかの形でこの世界に復活したということになるのでしょうか・・」
そう言いながらリリスは顔を青ざめさせていた。
「これは・・・素晴らしい」
すると、そこに従者も付けずに1人の高位貴族が入場してきた。
「・・アレクス侯爵」
しかし、その男の様子はハーティが知っているものとは異なっていた。
目の前のアレクス侯爵は白目を向いており、だらしなく開いた口からは涎が垂れ流されていた。
体からは黒い霧が立ち込めており、その動きは草臥れた糸人形のようであった。
「ああ、こいつのことか?こいつはダメだな。思った通り、器としては大したことがない」
「まあいい、そろそろ彼奴に『邪神の残滓』も馴染んできたようだし、動き出すとするか」
「アガガガガッ」
その声と共に、アレクスの成れの果てがガクガクと震えて、一気に体から『黒い霧』が噴き出した。
そして、その霧は空中で一つの塊となり、人のような形を形成し始めた。
ドシャッ!
そして、霧が抜けきったアレクスの体は、糸の切れた人形のようになって崩れ落ちて動かなくなった。
「おのれ!」
リリスはすかさず黒い塊に向けて浄化魔導を放った。
『時が立って貴様も落ちぶれたな。女神リリスよ』
「っつ!貴様その声は・・『邪神イラ』か!?」
「『邪神イラ』!?そんな!?『デスティウルス』の側近の1人だったあなたがなぜ!!」
『・・ふん、貴様は憎き怨敵『ハーティルティア』・・やはり貴様も蘇っていたか・・神界を消し去っておいてよくもまあぬけぬけと・・』
「貴様!ハーティー様を侮辱するのは許せない!!」
そういうと再びリリスはイラに向かって浄化魔導を飛ばした。
しかし、イラはそれをさも興味なさげにはじき飛ばした。
『ふん、まあいい・・この身は不便なものでな。こちらの世界は受肉しなければどうにも力が発揮できん。どちらにしても貴様らを始末するのは後だ。・・私は新しい肉体を頂くのでな』
イラがその言葉と共にデビッドに向けて手をかざす。
すると、今まで激しくユナと戦っていたデビッドが、ピタリと動きを止めた。
「はぁ・・はぁ・・殿下!?」
突然終わった拳の応酬にユナは驚いていた。
「まさか・・!?いけない!デビッド!逃げて!!」
しかし、ハーティーの言葉も虚しく人型の黒い霧が、デビッドの体を包み込む。
「う!ぐ・・・ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、デビッドが激しく苦しみ出した。
「デビッド!!」
「あぁぁぁぁ・・・・・・」
「・・・・・・」
そしてデビッドはしばらく苦しんだ後に、俯いたまま動かなくなった。
「・・・デビッド殿下?」
さっきまでデビッドと戦っていて側にいたユナは、デビッドに向けて手を伸ばした。
すると・・。
バァァン!
「っう、きゃあ!!」
ユナは見えない力によって、猛スピードで吹き飛ばされて地面を転がっていった。
「ユナ!」
「・・殿下!いけません!危のうございます!」
その時、リリスの背後の入り口からマクスウェルが入場してきた。
彼は執務の為、今日の模擬試合には参加していなかったのであった。
「!アレクス侯爵!?それにデビッド・・一体どうしたんだ!?」
「デビッド殿下は『黒い霧』の影響で正気を失っています」
「そして、あの『黒い霧』は、邪神が具現化したものです」
「そんな・・・デビッド・・どうして邪神が・・デビッドに・・」
リリスの言葉を聞いたマクスウェルは力なく項垂れた。
そして、幸い吹き飛ばされただけで、そこまでダメージを受けなかったユナが立ち上がった。
「っく!何としても、止めなければ・・」
やがて完全に『黒い霧』がデビッドに取り込まれると、デビッドはゆっくりと浮かび上がりながら自分の手を開いたり閉じたりしていた。
「ふん、いいぞ・・実にいい気分だ」
デビッドは今まで彼からは見たことが無いような、邪悪な笑みを浮かびながら言葉を溢していた。
「邪神イラ!貴様!デビッド殿下の肉体を乗っ取ったのか!!」
「ふん、この肉体は思った通りよく馴染む。先ほどのアレクスとか言う貴族も邪な心を持っていたが、肉体は大したものではなかった」
「しかし、此奴の『マナの滾り』は思った通りに素晴らしい!」
「此奴の『邪な心』に漬け込んで、この『黒の魔導結晶』を使わせたらすぐに此奴の『マナの滾り』は同調しよったわ!」
そう言いながらイラはデビッドの体で胸元のペンダントを引き出した。
(・・『マナの滾り』とは『マナ出力』のこと!?)
ハーティーはイラの言葉でデビッドが持つ『黒の魔導結晶』が、デビッドから精製出力されたマナを吸収していたことを知った。
どうやら『黒の魔導結晶』は、身につけた者が精製するマナを吸収することができる代物らしかった。
デビッド殿下も髪色が暗い為にユナと同じく『マナ出力』が高いと思われる。
だからこそ『黒の魔導結晶』を媒介して、ユナと同じように『ブースト』を発動していたようだ。
しかし、それと同時にデビッドの体も『黒の魔導結晶』が発する邪神の残滓に蝕まれていったと予想された。
「我は今こうして肉体を得て復活した!」
「そして、今まさに憎き神族共に復讐をする時が来た!」
「邪神デスティウルス様は神族共に滅ぼされる時に、御力の一部を『黒の魔導結晶』として、この世界の各地に産み落とされたのだ!」
「いずれ復活した時に、この『神族共が居なくなった世界』で力をつけて滅ぼした後に、別の異世界に旅立つ為になあ!」
「我はこれからこの『黒の魔導結晶』を集めて邪神デスティウルス様を復活させる!」
「貴様らが復活していたのは予想外であったが、その身ではどうすることもできまい」
「この怨敵ハーティルティアの国は、我らの悲願達成の礎になる為に貴様ら諸共滅びて貰おう!!」
「そんなことさせないわ!」
イラの言葉にハーティは叫んだ。
「ハーティ・・・」
それを見たマクスウェルはハーティの肩に手を置いた。
「邪神!貴様達の思うようにはさせない!この国は、世界は女神ハーティルティア様が創造したもの!必ず守ってみせる!」
「そして、デビッドは必ず返してもらうぞ!」
マクスウェルはデビッドを乗っ取ったイラを睨みつけながら宣言した。
「ふん、せいぜい悪あがきをするがいい。いずれにしても後願の憂いを断つ為に、貴様らには死んでもらう!」
そう言いながら更に高く浮かび上がったイラは、両手をかざして多方向に『黒い霧』を飛ばした。
それらは息絶えた騎士団員達に吸い込まれていく。
すると、息絶えたはずの騎士団員達が虚ろな顔をしながら起き上がってきた。
その姿にハーティは見覚えがあった。
「・・アンデッド」
「せいぜい『人形共』に喰われて、貴様らもアンデッドになるがいい!」
「我は手始めに王都中の人間共を乗っ取って、この憎き王国と偽りの白銀の神殿を滅ぼしてくれる!ふはははは!」
イラは高らかに宣言すると、ハーティ達の前から飛び去っていった。
「っく!待ちなさい!」
ハーティ達の声は、闘技場に虚しく響き渡るだけであった。
「オオオオオ・・・」
そして、ハーティ達の周りには、多数のアンデッドが集まりつつあった。
「私達も騒ぎを聞いて駆けつけました!負傷者達の治療魔導は任せてください!」
「ありがとう!」
「けど・・何人かは既に亡くなられているみたいですね・・」
そう言うと、リリスは目を伏せた。
もはや、ここまでの状況になった以上、たとえ王族であったとしても、デビッドが何らかの処分を受けることは避けられない状態であった。
「しかし・・あれは・・」
リリスはデビッドから出る『黒い霧』を見て顔を顰めた。
「ええ、邪神の気配を感じるわ」
「と、なれば・・我々と同じで何らかの形でこの世界に復活したということになるのでしょうか・・」
そう言いながらリリスは顔を青ざめさせていた。
「これは・・・素晴らしい」
すると、そこに従者も付けずに1人の高位貴族が入場してきた。
「・・アレクス侯爵」
しかし、その男の様子はハーティが知っているものとは異なっていた。
目の前のアレクス侯爵は白目を向いており、だらしなく開いた口からは涎が垂れ流されていた。
体からは黒い霧が立ち込めており、その動きは草臥れた糸人形のようであった。
「ああ、こいつのことか?こいつはダメだな。思った通り、器としては大したことがない」
「まあいい、そろそろ彼奴に『邪神の残滓』も馴染んできたようだし、動き出すとするか」
「アガガガガッ」
その声と共に、アレクスの成れの果てがガクガクと震えて、一気に体から『黒い霧』が噴き出した。
そして、その霧は空中で一つの塊となり、人のような形を形成し始めた。
ドシャッ!
そして、霧が抜けきったアレクスの体は、糸の切れた人形のようになって崩れ落ちて動かなくなった。
「おのれ!」
リリスはすかさず黒い塊に向けて浄化魔導を放った。
『時が立って貴様も落ちぶれたな。女神リリスよ』
「っつ!貴様その声は・・『邪神イラ』か!?」
「『邪神イラ』!?そんな!?『デスティウルス』の側近の1人だったあなたがなぜ!!」
『・・ふん、貴様は憎き怨敵『ハーティルティア』・・やはり貴様も蘇っていたか・・神界を消し去っておいてよくもまあぬけぬけと・・』
「貴様!ハーティー様を侮辱するのは許せない!!」
そういうと再びリリスはイラに向かって浄化魔導を飛ばした。
しかし、イラはそれをさも興味なさげにはじき飛ばした。
『ふん、まあいい・・この身は不便なものでな。こちらの世界は受肉しなければどうにも力が発揮できん。どちらにしても貴様らを始末するのは後だ。・・私は新しい肉体を頂くのでな』
イラがその言葉と共にデビッドに向けて手をかざす。
すると、今まで激しくユナと戦っていたデビッドが、ピタリと動きを止めた。
「はぁ・・はぁ・・殿下!?」
突然終わった拳の応酬にユナは驚いていた。
「まさか・・!?いけない!デビッド!逃げて!!」
しかし、ハーティーの言葉も虚しく人型の黒い霧が、デビッドの体を包み込む。
「う!ぐ・・・ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、デビッドが激しく苦しみ出した。
「デビッド!!」
「あぁぁぁぁ・・・・・・」
「・・・・・・」
そしてデビッドはしばらく苦しんだ後に、俯いたまま動かなくなった。
「・・・デビッド殿下?」
さっきまでデビッドと戦っていて側にいたユナは、デビッドに向けて手を伸ばした。
すると・・。
バァァン!
「っう、きゃあ!!」
ユナは見えない力によって、猛スピードで吹き飛ばされて地面を転がっていった。
「ユナ!」
「・・殿下!いけません!危のうございます!」
その時、リリスの背後の入り口からマクスウェルが入場してきた。
彼は執務の為、今日の模擬試合には参加していなかったのであった。
「!アレクス侯爵!?それにデビッド・・一体どうしたんだ!?」
「デビッド殿下は『黒い霧』の影響で正気を失っています」
「そして、あの『黒い霧』は、邪神が具現化したものです」
「そんな・・・デビッド・・どうして邪神が・・デビッドに・・」
リリスの言葉を聞いたマクスウェルは力なく項垂れた。
そして、幸い吹き飛ばされただけで、そこまでダメージを受けなかったユナが立ち上がった。
「っく!何としても、止めなければ・・」
やがて完全に『黒い霧』がデビッドに取り込まれると、デビッドはゆっくりと浮かび上がりながら自分の手を開いたり閉じたりしていた。
「ふん、いいぞ・・実にいい気分だ」
デビッドは今まで彼からは見たことが無いような、邪悪な笑みを浮かびながら言葉を溢していた。
「邪神イラ!貴様!デビッド殿下の肉体を乗っ取ったのか!!」
「ふん、この肉体は思った通りよく馴染む。先ほどのアレクスとか言う貴族も邪な心を持っていたが、肉体は大したものではなかった」
「しかし、此奴の『マナの滾り』は思った通りに素晴らしい!」
「此奴の『邪な心』に漬け込んで、この『黒の魔導結晶』を使わせたらすぐに此奴の『マナの滾り』は同調しよったわ!」
そう言いながらイラはデビッドの体で胸元のペンダントを引き出した。
(・・『マナの滾り』とは『マナ出力』のこと!?)
ハーティーはイラの言葉でデビッドが持つ『黒の魔導結晶』が、デビッドから精製出力されたマナを吸収していたことを知った。
どうやら『黒の魔導結晶』は、身につけた者が精製するマナを吸収することができる代物らしかった。
デビッド殿下も髪色が暗い為にユナと同じく『マナ出力』が高いと思われる。
だからこそ『黒の魔導結晶』を媒介して、ユナと同じように『ブースト』を発動していたようだ。
しかし、それと同時にデビッドの体も『黒の魔導結晶』が発する邪神の残滓に蝕まれていったと予想された。
「我は今こうして肉体を得て復活した!」
「そして、今まさに憎き神族共に復讐をする時が来た!」
「邪神デスティウルス様は神族共に滅ぼされる時に、御力の一部を『黒の魔導結晶』として、この世界の各地に産み落とされたのだ!」
「いずれ復活した時に、この『神族共が居なくなった世界』で力をつけて滅ぼした後に、別の異世界に旅立つ為になあ!」
「我はこれからこの『黒の魔導結晶』を集めて邪神デスティウルス様を復活させる!」
「貴様らが復活していたのは予想外であったが、その身ではどうすることもできまい」
「この怨敵ハーティルティアの国は、我らの悲願達成の礎になる為に貴様ら諸共滅びて貰おう!!」
「そんなことさせないわ!」
イラの言葉にハーティは叫んだ。
「ハーティ・・・」
それを見たマクスウェルはハーティの肩に手を置いた。
「邪神!貴様達の思うようにはさせない!この国は、世界は女神ハーティルティア様が創造したもの!必ず守ってみせる!」
「そして、デビッドは必ず返してもらうぞ!」
マクスウェルはデビッドを乗っ取ったイラを睨みつけながら宣言した。
「ふん、せいぜい悪あがきをするがいい。いずれにしても後願の憂いを断つ為に、貴様らには死んでもらう!」
そう言いながら更に高く浮かび上がったイラは、両手をかざして多方向に『黒い霧』を飛ばした。
それらは息絶えた騎士団員達に吸い込まれていく。
すると、息絶えたはずの騎士団員達が虚ろな顔をしながら起き上がってきた。
その姿にハーティは見覚えがあった。
「・・アンデッド」
「せいぜい『人形共』に喰われて、貴様らもアンデッドになるがいい!」
「我は手始めに王都中の人間共を乗っ取って、この憎き王国と偽りの白銀の神殿を滅ぼしてくれる!ふはははは!」
イラは高らかに宣言すると、ハーティ達の前から飛び去っていった。
「っく!待ちなさい!」
ハーティ達の声は、闘技場に虚しく響き渡るだけであった。
「オオオオオ・・・」
そして、ハーティ達の周りには、多数のアンデッドが集まりつつあった。
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