55 / 229
第二章 魔導帝国オルテアガ編
エルフの武器屋
しおりを挟む
ハーティがブティックから出て市街を数ブロックほど進むと、武器防具屋が立ち並ぶ通りに出てきた。
ここは昨日ハーティが登録を済ませた冒険者ギルドからも近い場所で、数多くの冒険者達が装備を整えるべく訪れていて賑わっていた。
ハーティは数店舗ある武器屋の中でなんとなく惹かれた一店を見つけると、そのお店に入店した。
「あのーすいま・・・・」
「貴様のような武器を見る目も心の清らかさもない人間に売る武器などない!」
「なんだと!てめえに何がわかるってんだ!」
「ああ、わかるね!われら『エルフ』は『魂の色』を視ることができるってことは噂でも聞いたことがあるだろう!」
「あなたの『魂の色』は暗い!清らかな心を持ってない証だ。そんな人にうちの武器は売れない!」
「はん、『はぐれエルフ』のくせに魂がなんだってんだ!」
「わたしは魔導具の研究の為に帝国に来ているだけだ!私には崇高な目的があって『はぐれエルフ』などではない!そもそも魔導具の研究という目的がなければ、このような野蛮な国など来ぬわ!」
ハーティが店内に入ると、どうやら店主と思われる人とお客が揉めているようであった。
そして、その口論をしている店主らしき人物は『エルフ』と言われる種族であった。
『エルフ』とは、この魔導帝国オルテアガよりも遥か数千キロも南に位置する樹海の中にある『エルフの国リーフィア』という場所にのみ存在するとされる希少な種族である。
『エルフ』は千年を超えると言われる長い寿命を持ち、成人した後は死ぬまで見た目の老化は起こらない種族である。
その為、外観からは当人の年齢は全くわからず、総じて非常に魔導に長けており、男女共に明るい金髪と瞳を持った美しい容姿を持っている。
そして『エルフ』は独自の教義で『女神教』を深く崇拝しており、自分たちが最もかつての神族に近い種族であると主張しているという。
しかし、基本的に『エルフ』はリーフィアのある樹海から外界に出ることがないとされ、その文化は詳しくわかっていないのが特徴である。
その為、普通の人が『エルフ』を見るのはごく稀で、見かけるとすればいろんな理由があってリーフィアから外界に出た僅かな『はぐれエルフ』と言われる存在くらいであった。
「けっ!なんだってんだ。武器屋なら他にもあるんだ。この店で買うなんてこっちから願い下げた!」
「はん!さっさと出ていきな!」
そのエルフは『しっしっ!』と言わんばかりに男を追い出す手振りをした。
「ったく、なんだってんだよ!」
エルフに追い出された男は悪態をつきながらお店を去っていった。
(なんだかややこしそうな人ね・・・)
そう言いながらハーティーは店内を見渡した。
「うっ!」
ハーティーが店内を見て思わず呻き声をあげたのには理由があった。
なぜなら、店内には多数の女神ハーティルティア像が祀られていたからだ。
それを見るに、店主のエルフが狂信的な『女神教』信者であることは想像に容易かった。
(や、やばい・・ここは静かに立ち去ろう・・)
まだ昨日の今日で王都イルティアの噂は流れ着いていないだろうが、『女神教』信者に関わらないに越したことはないと判断したハーティーはお店から出ようとした。
「ん?・・・別のお客さ・・んんん!?」
しかし、そのエルフはハーティーの呻き声に気付いたようであった。
シュバッ!
そしてハーティーを見たエルフは瞳をかっと見開かせて驚きの表情をした後、素早い身のこなしでお店のカウンターからハーティーの目の前に飛び寄ってきた。
「ひぃっ!」
ハーティーがエルフの男の奇想天外な行動に怯んでいると、男はハーティーの前で『最敬礼』のポーズをとって天を仰いでいた。
「なんということだ・・・わたしは今・・大いなる奇跡を目撃している!」
そう言いながら、エルフの男が見開いた瞳からは一筋の涙が溢れていた。
「あー・・お取り込み中みたいですし失礼しますね」
そう言いながら、ハーティーは店から出ようと踵を返した。
「お待ちください!『女神ハーティルティア』様!」
「・・・・・」
エルフの言葉を聞いて、ハーティーは仕方なく振り返った。
「・・私『ハーティルティア』って名前ではないのですが・・人違いじゃないですか?」
ハーティーは半ば諦めながらも、自分の正体を誤魔化す事にした。
「それは新手の冗談ですか?はっ!?もしや神界流のジョークですか!?」
「・・・冗談ではありません」
「ああ、何が事情がお有りなのですね。それで御身の正体を隠されていると。ですが、我らエルフは種族的に『魂の色』を認識することができるのです」
「あなた様の『魂の色』は眩いばかりに輝く『白銀色』です。私はそんな魂の色を見たことがありません。ですから我らエルフ達はあなた様が人の身ではないことを一眼で見破ることでしょう」
「ですがご安心ください!われらエルフやリーフィアにいる全ての同士は魂まで全て女神ハーティルティア様に信仰を捧げています」
「ハーティルティア様がひとたびリーフィアに訪れれば、全てのエルフは女神様の前に平伏すこととなり、あなた様の崇高な目的の手助けとなることでしょう!」
エルフの男は両拳を握りしめて興奮しながら語っていた。
「・・・・・」
この瞬間、ハーティーは『エルフの国リーフィア』にだけは絶対に行かないと心に誓った。
ここは昨日ハーティが登録を済ませた冒険者ギルドからも近い場所で、数多くの冒険者達が装備を整えるべく訪れていて賑わっていた。
ハーティは数店舗ある武器屋の中でなんとなく惹かれた一店を見つけると、そのお店に入店した。
「あのーすいま・・・・」
「貴様のような武器を見る目も心の清らかさもない人間に売る武器などない!」
「なんだと!てめえに何がわかるってんだ!」
「ああ、わかるね!われら『エルフ』は『魂の色』を視ることができるってことは噂でも聞いたことがあるだろう!」
「あなたの『魂の色』は暗い!清らかな心を持ってない証だ。そんな人にうちの武器は売れない!」
「はん、『はぐれエルフ』のくせに魂がなんだってんだ!」
「わたしは魔導具の研究の為に帝国に来ているだけだ!私には崇高な目的があって『はぐれエルフ』などではない!そもそも魔導具の研究という目的がなければ、このような野蛮な国など来ぬわ!」
ハーティが店内に入ると、どうやら店主と思われる人とお客が揉めているようであった。
そして、その口論をしている店主らしき人物は『エルフ』と言われる種族であった。
『エルフ』とは、この魔導帝国オルテアガよりも遥か数千キロも南に位置する樹海の中にある『エルフの国リーフィア』という場所にのみ存在するとされる希少な種族である。
『エルフ』は千年を超えると言われる長い寿命を持ち、成人した後は死ぬまで見た目の老化は起こらない種族である。
その為、外観からは当人の年齢は全くわからず、総じて非常に魔導に長けており、男女共に明るい金髪と瞳を持った美しい容姿を持っている。
そして『エルフ』は独自の教義で『女神教』を深く崇拝しており、自分たちが最もかつての神族に近い種族であると主張しているという。
しかし、基本的に『エルフ』はリーフィアのある樹海から外界に出ることがないとされ、その文化は詳しくわかっていないのが特徴である。
その為、普通の人が『エルフ』を見るのはごく稀で、見かけるとすればいろんな理由があってリーフィアから外界に出た僅かな『はぐれエルフ』と言われる存在くらいであった。
「けっ!なんだってんだ。武器屋なら他にもあるんだ。この店で買うなんてこっちから願い下げた!」
「はん!さっさと出ていきな!」
そのエルフは『しっしっ!』と言わんばかりに男を追い出す手振りをした。
「ったく、なんだってんだよ!」
エルフに追い出された男は悪態をつきながらお店を去っていった。
(なんだかややこしそうな人ね・・・)
そう言いながらハーティーは店内を見渡した。
「うっ!」
ハーティーが店内を見て思わず呻き声をあげたのには理由があった。
なぜなら、店内には多数の女神ハーティルティア像が祀られていたからだ。
それを見るに、店主のエルフが狂信的な『女神教』信者であることは想像に容易かった。
(や、やばい・・ここは静かに立ち去ろう・・)
まだ昨日の今日で王都イルティアの噂は流れ着いていないだろうが、『女神教』信者に関わらないに越したことはないと判断したハーティーはお店から出ようとした。
「ん?・・・別のお客さ・・んんん!?」
しかし、そのエルフはハーティーの呻き声に気付いたようであった。
シュバッ!
そしてハーティーを見たエルフは瞳をかっと見開かせて驚きの表情をした後、素早い身のこなしでお店のカウンターからハーティーの目の前に飛び寄ってきた。
「ひぃっ!」
ハーティーがエルフの男の奇想天外な行動に怯んでいると、男はハーティーの前で『最敬礼』のポーズをとって天を仰いでいた。
「なんということだ・・・わたしは今・・大いなる奇跡を目撃している!」
そう言いながら、エルフの男が見開いた瞳からは一筋の涙が溢れていた。
「あー・・お取り込み中みたいですし失礼しますね」
そう言いながら、ハーティーは店から出ようと踵を返した。
「お待ちください!『女神ハーティルティア』様!」
「・・・・・」
エルフの言葉を聞いて、ハーティーは仕方なく振り返った。
「・・私『ハーティルティア』って名前ではないのですが・・人違いじゃないですか?」
ハーティーは半ば諦めながらも、自分の正体を誤魔化す事にした。
「それは新手の冗談ですか?はっ!?もしや神界流のジョークですか!?」
「・・・冗談ではありません」
「ああ、何が事情がお有りなのですね。それで御身の正体を隠されていると。ですが、我らエルフは種族的に『魂の色』を認識することができるのです」
「あなた様の『魂の色』は眩いばかりに輝く『白銀色』です。私はそんな魂の色を見たことがありません。ですから我らエルフ達はあなた様が人の身ではないことを一眼で見破ることでしょう」
「ですがご安心ください!われらエルフやリーフィアにいる全ての同士は魂まで全て女神ハーティルティア様に信仰を捧げています」
「ハーティルティア様がひとたびリーフィアに訪れれば、全てのエルフは女神様の前に平伏すこととなり、あなた様の崇高な目的の手助けとなることでしょう!」
エルフの男は両拳を握りしめて興奮しながら語っていた。
「・・・・・」
この瞬間、ハーティーは『エルフの国リーフィア』にだけは絶対に行かないと心に誓った。
0
あなたにおすすめの小説
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!
カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地!
恋に仕事に事件に忙しい!
カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる