転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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第二章 魔導帝国オルテアガ編

『邪神』の変化

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 ビシュウウウン!!!
 
 ヴヴヴヴヴヴヴ・・・。

「っく!!」

 クラリスはコクピットの光魔導スクリーンを埋め尽くす白銀の光にたまらず目を閉じた。

 ジュゥゥゥゥ・・・。

『プラタナ』の持つ『魔導収束砲』はあまりに高出力で流れ込んでくるマナに本体が耐えられず、急速に劣化していく。

 ボロボロボロ・・・。

マナによる劣化により『魔導収束砲』から伸びる魔導銀ミスリルケーブルが真っ先に炭化したような状態になり崩れ落ちていくと、続いて砲身が崩れ落ち始める。

 ドォォォォォン!!!

 そして、魔弾の放出が完了する前にマナによる劣化に耐え切れなくなった本体が爆発した。

『な・・・に!?』

『魔導収束砲』から放たれた、まるで光線のような魔弾はまっすぐに『メルティーナ』へと伸びていく。

 ジュン!!

 そして『メルティーナ』の『上級防御魔導』もお構いなしに下半身を瞬時に消し飛ばすと、そのまま遙か彼方の標高が高い山脈まで半分ほど消し飛ばしてしまった。

『魔導収束砲』が破損した為にマナの放出が終わった後は、マナの残滓が遠くの山脈までキラキラとまるで粉雪が陽の光を反射しているかのごとく輝いていた。

 ヒュゥゥゥゥゥン・・・・・ドォォォォン!!

 飛行中に下半身が消し飛ばされた『メルティーナ』は、そのまま地上へと自由落下していった。

 下半身が無くなった『メルティーナ』は、まるで人間が血を流すかのように切断面からマナ伝達用の流体魔導銀ミスリルを吹き出していた。

 それにより『上級防御魔導』が発動できなくなった状態でかなりの高度から落下した為、『メルティーナ』は巨大なクレーターの底で大破した状態になっていた。

「う・・くはっ!がぼっ!」

 いくらコクピットの中とはいえ、数百メートル上空から落下した衝撃は計り知れない。

 二アールは全身を打ち付けたことにより、口から血の塊を吐きながら、既に虫の息になっていた。

『はぁはぁ・・・』

『プラタナ』は『魔導収束砲』が大破した時に駆動系のどこかをやられたのか、跪いた体制のまま動けない状態になっていた。

 そして、クラリスが『プラタナ』から降りて『メルティーナ』の元へと向かおうとしたその時・・。

 キィィィィン!

「ニアール!」

 帝都の外から飛行してきたナラトスが『メルティーナ』の元へと降り立った。

 そのナラトスの表情はどこか焦っている様子であった。

「ニアール!」

 ナラトスはそのまま『メルティーナ』の背部ハッチを開けようとする。

 しかし、落下による変形の為か、ハッチ開閉レバーの操作だけでは開けることが出来なかった。

「ぬううん!」

 ハッチが開かないことを悟ったナラトスは『メルティーナ』の背部ハッチを力技でちぎり取る。

 バァァァン!

 そして数十キロあるハッチを放り投げると、ハッチの中から血塗れになったニアールを引き摺り出して横抱きにした。

「ニアール!しっかりするのだ!」

「なら・・とす・・さま」

 そう言いながらニアールは目蓋をかすかに開いてナラトスに視線を合わせた。

「待ちなさい!ナラト・・」

 ちょうどその時ハーティもナラトスに追いついたが、そのナラトスの様子を見てハーティは思わず空中で止まってしまった。

「すみ・・せんナラトス・・さま。わた・・し・・しくじり・・ました」

「・・気にするでない。今治癒魔導を発動する故、大人しくしておるのだ」

 ナラトスはそう言うとクラリスに対して『上級治癒魔導』を発動した。

 パアァァァァ・・。

 すると、ニアールの傷がみるみる内に回復していった。

「・・・ありがとうございます。ナラトス様」

「・・・・・」

「あの・・ナラトス様・・」

「何だ?」

「あの、私は大丈夫ですので・・その・・この体勢はあの・・」

 ニアールはそう言うと顔を赤らめながら目を伏せた。

「まだ傷が癒えたばかりだ。大人しくしておれ」

「・・ナラトス様・・ありがとう・・ございま・・」

 ニアールは最後まで言葉を伝えることが出来ないままナラトスの腕の中で気絶した。

「傷は癒えた筈だが・・精神的な疲労であるか・・それともの影響であるか・・」

 ナラトスは独り言を呟くと、ニアールを抱えたまま、『メルティーナ』のコクピットからを力技でちぎりとった。

「・・・女神ハーティルティアよ」

「一旦そなたとの戦いはお預けだ」

「えっ・・・?」

「だが忘れるでないぞ。またそう遠くない未来に必ずそなたとは相見あいまみえるであろう」

 ナラトスはハーティにそう宣言すると、気絶したままのニアールを横抱きにしながら『飛翔フライ』の魔導で浮き上がった。

「っつ!ナラトス!待ちなさい!」

 キィィィィン!ドゥン!

 しかし、ナラトスはハーティの言葉を無視してそのまま飛び去って行ってしまった。

「追わないと!!」

 ハーティはすぐさま飛び去ったナラトス達を追おうとする。

『待って、ハーティ!まずはシエラちゃんを助け出さないと!!』

 しかし、それをクラリスは制止した。

「・・っく!そうね!」

 クラリスの言葉に冷静さを取り戻したハーティは『メルティーナ』の元へと降り立つ。

 バシュウウウウ・・・。

 そして、『プラタナ』から降り立ったクラリス
 も『メルティーナ』へと歩み寄った。

 シュウウウ・・・。

 二人が『メルティーナ』の側に寄って胸部の結晶を見ると、すでにそれは落下の衝撃で割れており、内部を満たしていた液体が溢れていた。

「シエラちゃん!ねえ!クラリス!シエラちゃんは大丈夫なの?」

 ハーティに問われたクラリスはその結晶の内部を観察する。

「・・・どうやらこの結晶の内部でシエラちゃんに絡み付いた大量のケーブルはシエラちゃんからマナを吸い出す為にあるみたいね」

「この液体はおそらく、気を失ったまま繋がれた獣人の身体を痛めない為の衝撃緩和剤のような役割をしていたのね」

「多分今は機能停止しているから、そのままシエラちゃんを取り出しても大丈夫よ」

「・・わかったわ!」

 クラリスの言葉に安心したハーティは裸でケーブルに繋がれたシエラを結晶から取り出した。

 救出されたシエラは『メルティーナ』が落下した衝撃によるものか、体の骨が所々折れていて頭から血を流している状態であった。

 しかし、奇跡的にも気を失っているだけで息はある様子であり、それを見た二人はほっと胸を撫で下ろした。

「ごめんなさいシエラちゃん・・あなたを救うにはこうするしかなかったのよ」

 傷まみれになったシエラを見て、クラリスは心を痛めた様子であった。

 シエラの状態を確認したハーティは、すぐさま『上級治癒魔導』を発動する。

 そして、傷が回復するとシエラはゆっくりと目を覚ました。

「ハーティ・・さん?」

 ハーティは収納魔道から仕舞っておいた布の敷物を取り出すと、それをシエラにそっと被せた。

 ヒュウウン!シュタ!

 丁度そのタイミングで帝都市街でゴーレムと交戦していたユナが、市街地の家屋の屋根を跳び伝ってここまでやってきたのか、空からハーティ達の元へと降り立った。

「ハーティさん、大丈夫ですか?すごい光と爆発音がしたので心配しておりました」

「ええ、こっちは大丈夫よ。だけど『邪神ナラトス』は取り逃したわ」

「だけどシエラちゃんは無事よ」

「それはようございました。こちらは市街地のゴーレムを全て無力化しました」

「一人で戦わせてごめんなさいね」

「構いません。ハーティさんと旅をするならこのくらいはこなせないと話になりませんから」

「ユナさん・・あの・・私は一体・・」

「シエラちゃん・・あなたは『邪神ナラトス』に攫われて魔導機甲マギ・マキナ・・転がってるそのやクラリスが乗っているあのね、それの動力源にされていたのよ」

「『邪神』・・・そんな者が現れたなんて・・・ぐっ!?」

「っ!?シエラちゃん!?どうしたの!?」

 ハーティと話していたシエラは、完全に傷が癒えているにも関わらず突然苦しみ出した。

「ぐ・・うああああ!」

 ズズズズ・・・。

 苦しんでいるシエラをよく見ると、彼女の体から黒い霧のようなものが溢れ出していた。

「これは・・・」

 それを見てクラリスは目を見開いた。

「おそらくシエラちゃんからマナを取り出す為に『黒の魔導結晶』を用いて『マナの巡り』を無理やり変えた事による副作用ね・・」

「っ!?と言うことは帝都で討伐したゴーレムに収まっていた獣人達は皆ということですか!?」

「・・多分ね」

「・・でも見た感じデビッドの時ほど深刻ではないわ。きっと『黒の魔導結晶』の影響を受けてから然程時間が経ってないからね」

「これなら私の浄化魔導で回復できるわ」

「・・これから帝都全体に『極大浄化魔導』を発動するわ。『邪神』を倒すわけじゃないから出力を落とすし、王都の時みたいにエーテルを使い切ることはないだろうけど、一応魔道具とかも動かなくなるかもしれないから特にクラリスは気をつけてね」

「あたしの髪飾り収納魔導は『プラタナ』しか入れてないから大丈夫・・・って使ってどう言うことよ!?あなたどれだけマナ出力があるわけ!?」

「とにかく今は時間がないわ!行くわよ」

 そう言うとハーティは目蓋を閉じて集中する。

 ハーティから膨大なマナによる白銀の光が溢れ出すと、その美しい白銀の髪も煌めきながら舞い始めた。

「神技!『女神イルティア・レ・ピューリフィア』!」

 ハーティが高らかに魔導の発動を告げた瞬間・・。

 帝都全体が美しい白銀の光に包まれた。
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