転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
124 / 229
第三章 商業国家アーティナイ連邦編

二アールとの再会

しおりを挟む
「二アールさんを救うと言うのは一体どう言うことなの?」

 ハーティの問いにナラトスは目を伏せた。

「うむ・・二アールは帝都での戦いの際に長時間、先程渡した『黒の魔導結晶』による影響を受けたのだ」

「それにより二アールの体は今『闇の力』に蝕まれている」

「なんですって!二アールは大丈夫なの!?」

「今は私の治癒魔導で何とか進行を遅らせているが、その感覚も徐々に短くなっている。このままではそう長くは持つまい」

「そんな!?二アール・・」

 クラリスはナラトスから二アールの容態を聞いて顔を歪ませた。

「であるから、女神ハーティルティア。そなたの浄化魔導で二アールを助けて欲しい。私のことはその後で浄化するなり滅ぼすなり好きにするが良い」

「ふっ・・しかし、『邪神』が『女神』に小娘一人を救う為に頭を下げる日が来るとはな・・。長生きはしてみるものだな」

 ナラトスはそう言いながら自嘲気味に笑った。

「・・・ナラトス・・」

「っ!ねえ!ハーティ!お願い!二アールを助けてあげて!あなたならシエラちゃんの時みたいに体を蝕む『闇の力』を浄化出来るんでしょ!?」

「ええ・・分かったわ。とにかく二アールを助けましょう」

「っ!ありがとう!ハーティ!」

 ガバッ!

 感極まったクラリスは、思い切りハーティを抱きしめた。

「ちょ!クラリス!苦しいってば!・・ごほん、で?二アールは今何処に?」

「感謝する。今、二アールは『カームクラン』から東に隣接する港町『ヨークスカ』で私たちが潜伏している宿にいる。正直、今も症状は芳しくない。すまぬがすぐに向かってくれぬか?」

「!!だったらすぐに行きましょう!ハーティ!『プラタナ』を出すわ!」

「ちょっと待って!気持ちはわかるけど慌てないで!?」

 ハーティは再び『プラタナ』を出そうとしたクラリスを制止した。

「流石に『プラタナ』で飛ぶのは目立つわ!いらない騒ぎを起こすのは避けないと!今回は距離も短いし生身で飛ぶわよ!」

「『生身で飛ぶわよ』ってあたしは飛べないわよ!?『神聖魔導甲冑』も無いし・・はっ!?まさか!?」

「クラリス、は得意かしら?」

 ニコリと笑うハーティの顔は、意地悪い様子であった。

「・・・・・・」



 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・。


 キィィィ・・・。

「ほら!クラリス!『ヨークスカ』上空に着いたわよ!」

「ひぃぃぃ!下なんか見れないわよ!」

 ナラトスとユナは自分自身で、ハーティはクラリスを横抱きにして飛ぶことで、一同はあっという間に『ヨークスカ』まで辿り着いた。

「こんなの二度とごめんよ!!次は迷惑覚悟で絶対に『プラタナ』で飛んでやるんだから!!」

「ちょっと!ジタバタしたら落ちるわよ」

「ひぃぃぃ!?」

「取り込み中悪いが、あの宿に二アールがいる。降下しよう」

 ナラトスはそう言いながら眼下の宿屋を指さした。

 キィーン、シュタタタ!

 一同はなるべく目立たないように宿の裏庭に着地をした。

 そして、そのまま何食わぬ様子で表へと回ったのであった。

 ガララ。

 そして、ナラトスが宿の玄関引き戸を開けると、その扉の向こうにはちょうど掃き掃除をしていた一人の女将が居た。

「あら『ストラナ』さん、おかえりんさい。おや、これまた別嬪さんを三人も連れてー!『ソフィ』さんに怒られるわよ!」

 そう言いながら、その女将は箒を持っていない手を腰にやってプンプンと怒っていた。

 そして、ある一人に目をやると驚いた表情をした。

「おや!よく見たら『神聖イルティア王国』の『聖騎士』様じゃないかい!?こりゃたまげたよ!」

 そう言うと、女将は素早くユナへ跪いた。

「何故お分かりに?それより女将さん。立ち上がってください。私はそう言う対応に慣れていないので困りますっ!」

 ユナが慌てて制止すると、女将は立ち上がった。

「いやぁ『聖騎士』様は謙虚ですねぇ、分かるも何も『聖騎士』様任命の話は『女神教会』から『神社庁』にだいぶ前から伝わっていましたからねぇ、それにを見たら『女神教』や『神道』信者が見たらすぐに分かりますよ」

「そ、そうですか」

 ユナは女将の話を聞いて満更でも無い様子で頬を染めた。

「タエよ、彼女達はソフィの治療のために来てもらったのだ」

「ええ!?『聖騎士』様直々にかい!?そりゃ凄い!」

 実際にはそれどころか『女神ハーティルティア』が治癒するのだが、タエと呼ばれた女将には知る由がなかった。

 タエの話を聞いたクラリスは小声でナラトスに話しかけた。

「にしても、家名から取った『ソフィ』はまだしも、あなたの偽名は何とかならなかったわけ?隠す気あんの?」

「うむ、咄嗟に思いついたのがそれであったのだよ」

「はあ、ネーミングセンスはハーティ並みね」

「ちよ!?どう言うこと!?」

「ではタエよ。上がらせてもらうぞ」

「はいよ、どうぞどうぞ」

 そして、タエと挨拶を終えた一同は二階にいる二アールの元へと向かった。

「二アール、入るぞ」

 スス・・・。

 部屋の前に着いたナラトスは、二アールへ一言断ると襖を開いた。

 すると、そこには畳敷の部屋に敷かれた敷布団の上で上半身を起こした二アールがいた。

 彼女の顔色は青白く、弱っているのは誰の目からも明らかであった。


「ナラトス様、おかえりなさ・・・」

 そして、ナラトスの方へ向いた二アールは、ハーティ達を見た瞬間に目を見開いた。

「っ!!あんた達!!ナラトス様をどうするつもり!!」

 ハーティ達がナラトスと自分を追ってきたと勘違いした二アールはその表情を歪めていた。

「二アール・・・」

 そして、それを見たクラリスは表情を暗くした。

「二アールよ。彼女達は私が連れてきたのだ。そなたを治療する為にな」

「ナラトス様・・・」

「見ての通り二アールはこんな様子だ。すまぬが早速お願いできぬか?」

「・・わかったわ。ナラトス、貴方は少し離れていて。浄化魔導の影響を受けるでしょ。貴方は二アールの治療と同時にだったんでしょうけどそうはさせないから!」

「なっ!?」

 ハーティの言葉を聞いた二アールは驚愕し、図星をつかれたナラトスは目を見開いた。

「ふっ・・気づかれていたか・・わかった。ならば私はしばし席を外そう」

 ナラトスはハーティの言葉を聞いて自嘲気味に笑うと、先程開けた襖から退室した。

「さあ、じゃあ始めるわよ」

 そして、ハーティは二アールの元へ歩み寄った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

処理中です...